速度計誤差と保安基準ルール

車の速度計は実速度と異なる誤差を持つことをご存知ですか?この誤差は国の保安基準で厳格に規定されており、車検合格の鍵を握っています。実は誤差は車の安全性に大きく関わるのですが、その仕組みを理解していない運転手が多いのが実態。速度計の誤差がどのように計算されるのか、何が原因なのか、そして許容範囲はどこまでなのか、詳しく知りたくありませんか?

速度計の誤差と保安基準

速度計の誤差と保安基準の関係
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保安基準が定める速度計の基準

国土交通省の保安基準では「速度計の指度は、平坦な舗装路面での走行時において、自動車の速度を下回らず、かつ、著しい誤差のないものであること」と規定されています

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誤差許容範囲の基準式

平成19年1月1日以降製造車の場合、計算式は「10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1」で表され、V1は速度計表示、V2は実測速度を示します

車検合格に必要な誤差範囲

スピードメーター表示が40km/hの場合、実速度が30.9~42.55km/hの範囲なら合格基準を満たします

速度計誤差を規制する保安基準の構造

 

自動車の速度計は単なる計測器ではなく、国家レベルで統一された基準に基づいて検査される安全装置です。道路運送車両法に定められた保安基準により、メーターの誤差範囲は細かく規定されています。興味深いことに、この基準は製造年によって2つのレベルに分かれており、より新しい車ほど厳しい基準が適用されている点が特徴です。

 

平成18年(2006年)12月31日以前の車と平成19年(2007年)1月1日以降の車では、許容誤差の計算式が異なります。新しい車ほど精度が求められるという製造技術の進歩を反映した規制設計になっています。これは単なる技術基準ではなく、道路交通全体の安全性を担保するための仕組みといえます。

 

速度計誤差の具体的な計算方法と新旧基準の違い

速度計の誤差を判定する方法は、単純な±○km/hではなく、複雑な計算式によって定められています。平成18年以前製造車では「10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1」、平成19年以降製造車では「10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1」という数式が適用されます。

 

実際の車検現場では、スピードメーターが40km/h表示の状態で実速度を計測します。平成18年以前の車では30.9~44.4km/hが許容範囲で±約9~4.4km/h、平成19年以降の車では30.9~42.55km/hで±約9~2.5km/hとなります。この違いは、電子制御技術の発展に伴う精度向上を基準に反映させたものです。以下は時速別の誤差範囲目安です。

  • 時速30km表示:実速度22.7~31.9km/h(平成19年以降)
  • 時速50km表示:実速度42.5~53.2km/h(平成19年以降)
  • 時速60km表示:実速度51.0~63.8km/h(平成19年以降)
  • 時速80km表示:実速度68.0~85.1km/h(平成19年以降)
  • 時速100km表示:実速度85.1~106.4km/h(平成19年以降)

速度計の重要な設計思想と誤差許容の根拠

非常に興味深い事実として、スピードメーターは意図的に実速度より高い数値が表示されるように設計されています。なぜなら、メーターが実速度より遅く表示されることは極めて危険だからです。もしメーターが実速度より低い数値を示した場合、運転手は法定速度を守っていると思い込みながら実際には速度超過している可能性があります。これはカーブでの横転事故、雪道でのスリップなど重大事故の直接的な原因となる恐れがあります。

 

さらに事故発生時の法的問題も関係します。メーター表示が実速度より低い場合、ドライバーが「法定速度を守っていた」と主張しても、実測速度が異なれば責任の判定が複雑になります。メーカーとユーザー間の訴訟リスクも考慮した結果、意図的に高めの表示設定がなされているのです。このため保安基準では「実速度を下回らず」という厳格な条件が設けられているのです。

 

速度計誤差が生じる技術的メカニズムとタイヤの影響

速度計の誤差はメーター自体の不良ではなく、測定方式の根本的な特性に由来します。スピードメーターは距離÷時間の原理で速度を推定する計算システムであり、実測ではなく計算値です。具体的には、トランスミッションの回転に連動した速度センサーがパルス信号をメーター表示回路に送信し、数値化される仕組みです。

 

重要な点として、このシステムは「タイヤの外径が新車時装着タイヤと同じで変化しない」という前提で設計されています。しかし実際のタイヤは常に変化しており、ここが誤差の主原因です。走行摩耗によるすり減りで外径が小さくなると、同じ回転数でも進む距離が短くなり、実速度は遅くなります。逆に外径が大きくなると、メーター表示より実速度が速くなります。タイヤの空気圧低下も同様に外径に影響を与えます。

 

さらに多くのドライバーが純正タイヤから異なるサイズのタイヤに交換することも、誤差の重要な要因です。

  • タイヤ摩耗による外径縮小:スリップサイン出現まで走行するとメーター誤差が累積
  • 空気圧不足による外径縮小:3気圧不足で約1~2%の外径変化が生じる
  • タイヤサイズ変更:純正規格外のサイズに交換した場合が最大の誤差原因
  • 季節タイヤ交換時の規格ずれ:冬用タイヤが純正と異なる場合

速度計誤差が車検不合格になる実態と誤差判定の実務

興味深い実態として、スピードメーターのみを原因とする車検不合格は「極めてまれ」です。その理由は、現代の自動車の速度計がほぼ全て電気式または電子式であり、精度が非常に高いからです。かつての機械式メーターと異なり、電子制御技術により精密な計測が実現されています。

 

実務的には、誤差が許容範囲内であれば車検は必ず合格します。保安基準には「著しい誤差のないものであること」と記載されており、この「著しい」という表現が重要です。つまり許容範囲内の誤差は「著しくない」と判定され、問題なしとされます。また、初期設定時点で安全側に高めに設計されているため、時間経過による劣化よりもタイヤの状態の方が誤差に大きく影響します。

 

実際の車検現場では速度計試験機を使用し、40km/h固定で実速度を計測する実施方法が採用されています。この時の誤差が規定範囲内に収まれば合格です。指定整備記録簿では誤差の±数値が記載され、ドライバーは自分の車がどの程度の誤差を持つかを確認できます。万一許容範囲外であれば、タイヤ交換等の調整で対応することになります。

 

国土交通省の速度計等に関する保安基準告示:正規の基準文書であり、速度計の取付位置、精度等に関する詳細な技術規定が記載されています

 

必要な情報が揃いました。これで記事作成に進みます。

 

 


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