ロータリー標識は、運転者に対して「前方に円形の交差点が存在する」「通常の十字路とは異なる進行方向への変更が必要」という情報を伝える重要な標識です。黄色いひし形の標識は、ひと目で危険箇所や注意が必要な場所であることを認識させる設計になっており、遠くからでも識別しやすい配色となっています。
標識に描かれた3つの矢印は時計回りの回転を表し、ロータリー内での進行方向が時計回りであることを示しています。この回転する矢印は、標識を見た運転者に対して円形の交差点構造を直感的に理解させるための工夫です。
ロータリー標識は警戒標識の一種であるため、他の警戒標識と同じく黄色いひし形の基本デザインを採用しています。同じ種類の標識として「落石のおそれあり」や「車線数減少」などが存在し、統一された設計思想に基づいています。
ロータリーと環状交差点(ラウンドアバウト)は形状は似ていますが、法律上の定義と通行ルールが全く異なります。ロータリーの標識は黄色いひし形の警戒標識であるのに対し、環状交差点の標識は青い円形の規制標識であり、標識の色と形で簡単に区別できます。
標識の色と形の違いだけでなく、標識の設置箇所にも大きな違いがあります。ロータリー標識は見通しの悪い場所にのみ設置されるのに対し、環状交差点の標識は規制標識であるため、法律で指定されたすべての交差点に設置されています。環状交差点の標識を見かける頻度は、ロータリー標識よりもはるかに高いのが実情です。
多くの運転者が「ロータリーと環状交差点の違いを理解していない」ため、標識の見間違いが事故につながるケースが報告されています。黄色いひし形と青い円形の区別は、事故防止に直結する重要なポイントです。
ロータリー標識を見たら、ロータリー内のすべての進行は時計回りであることを認識することが安全運転の第一歩です。どのような進行方向を目指す場合でも、ロータリー内では必ず時計回りで進行する必要があります。目的地が直進方向であっても、ロータリーの形状によっては時計回りで半周以上進行しなければならない場合もあります。
ロータリーに合流する際には、左折のウインカーを出して進行方向を明確に示すことが重要です。ロータリーの出入り口には信号機や一時停止の標識が設置されている場合が多く、その指示に従ってから合流します。道路の形状によっては左折ウインカーが不要な場合もありますが、基本的には左折での合流を心がけるべきです。
ロータリーから出る際にも同様に左折のウインカーを出して、退出方向を他の運転者に知らせます。ロータリー内での急加速や急減速は避け、周囲の車両と歩行者に注意を払いながら、落ち着いた運転を心がけることが安全の鍵となります。
ロータリー標識が示すロータリーは、その大きさや交通量によって通行ルールが異なる特徴があります。小さな駅のロータリーではロータリーに進入する車が優先される傾向にある一方で、交通量が多い大規模なロータリーではロータリー内を周回している車が優先される場合があります。
ロータリーに設置されている標識や信号機の指示に従うことが、安全運転の基本原則です。一時停止、徐行、進入禁止、速度規制など、複数の標識が設置されているロータリーも少なくありません。同じように見えるロータリーでも、優先される車両の方向や一時停止が必要な箇所が異なることもあります。
ロータリー内の通行優先権は「このロータリーの方がロータリーに進入する車より優先」と一律に決まっているわけではなく、その場所の道路管理者が道路交通法第36条第1項に基づいて設置した標識に従う必要があります。見通しのよい駅前のロータリーと見通しの悪い郊外のロータリーでは、通行優先権が異なる場合もあります。
運転者の間でよくある誤解として、ロータリー標識を環状交差点の標識と間違えてしまうケースが挙げられます。環状交差点の標識は青い円形で、マークの色は白色です。この「青い円形」という特徴が一般的な規制標識の外観デザインであり、「黄色いひし形」のロータリー標識とは視覚的に大きく異なります。
ロータリーと環状交差点の標識を混同した場合、通行方法の理解が根本的に異なってしまう可能性があります。環状交差点の標識は規制標識であり、法的強制力があり、すべての環状交差点に設置されています。一方ロータリー標識は警戒標識であり、見通しの悪い限られた場所にのみ設置されています。
環状交差点では、円形の中を走る車が優先され、進入する車が環状交差点内を通行する車の進行妨害をしてはいけません。これはロータリーと大きく異なる原則です。見分けにくい類似標識への理解を深めることで、事故の予防につながります。
<参考リンク>
警戒標識と規制標識の法定設置基準について詳しく解説した資料。ロータリー標識が警戒標識として扱われる理由が明確に理解できます。
国土交通省 道路局「こんな道路標識知っていますか?」
ロータリーと環状交差点の法的定義および通行ルールの違いについて、道路交通法に基づいた詳細な説明がされています。
実例写真で覚える道路標識「ロータリーあり(201の2)」
ロータリー標識を見かけたときの具体的な運転方法と注意点について、実践的な情報が豊富に掲載されています。
「【車の安全運転】ロータリー交差点のルールとマナー」