パワーユニットとエンジンの最も大きな違いは、その範囲にあります 。エンジン(内燃機関:ICE)は、燃料を燃焼させて動力を生み出す装置単体を指し、車の心臓部として機能します 。一方、パワーユニットは2014年以降のF1で使用されるようになった用語で、エンジンにモーターやバッテリーなどのハイブリッドシステムを組み合わせた総合的な動力源システムを表します 。
参考)【F1】パワーユニットとは?何馬力?エンジンとの違いとその仕…
従来の自動車業界では「エンジン」と「パワーユニット」は明確に使い分けされていませんでしたが、近年のハイブリッド技術の発展により、動力源が複雑化したことで区別が必要になりました 。現在では、エンジン単体を指す場合は「エンジン」、モーターやバッテリーを含む統合システムを指す場合は「パワーユニット」と呼び分けることが一般的です 。
参考)F1用語:エンジンとパワーユニットの違いとは?
現代の自動車には多様なパワーユニットが存在し、それぞれ異なる構成要素を持ちます 。ガソリンエンジン車のパワーユニットは、エンジン、トランスミッション、駆動系の3つの主要要素から構成されています 。これに対し、ハイブリッド車(HV)は、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたパワーユニットを搭載し、それぞれの長所を活かして燃費効率を向上させています 。
参考)車の心臓部!パワーユニットを徹底解説 - クルマの大辞典
プラグインハイブリッド車(PHEV)では、さらに大容量のバッテリーが追加され、外部充電が可能な構造になっています 。電気自動車(EV)のパワーユニットは最もシンプルで、「モーター」「コントローラー」「駆動用バッテリー」の3つの主要部品で構成され、ガソリン車の3~10万点に対し、EVは約1~2万点程度の部品数となっています 。
参考)「トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー/スバル レックス」コン…
各パワーユニットには独自のメリットとデメリットがあります。ガソリンエンジン車は、低コストで高出力を実現でき、車両価格が安く、給油時間も短いというメリットがあります 。しかし、燃費がハイブリッド車に劣り、CO2排出量が多く環境負荷が高いというデメリットがあります 。
参考)燃費だけじゃない! EV/PHEVからガソリン車までメリット…
ハイブリッド車は優れた燃費性能を誇り、実用燃費で30km/Lを超えるモデルもあり、ガソリン車の2~3倍の燃費を実現しています 。また、モーターによる静粛性や低速からの力強いトルクも魅力です。一方で、車両価格が高く、バッテリーの交換費用がかかるデメリットがあります 。
参考)車の種類・ボディタイプ・パワーユニットを一気にご紹介!
パワーユニットの種類によってメンテナンス要件は大きく異なります。ガソリンエンジン車では、エンジンオイルの定期交換が必須で、平均的な使用条件では走行距離15,000kmごと、または1年おきの交換が推奨されています 。エンジンオイルの他にも、オイルフィルター、エアフィルターなどの消耗品交換が必要で、メンテナンス費用はEVより高くなる傾向があります 。
参考)カーメンテナンスの初歩 エンジンオイルの交換時期と選び方
ハイブリッド車は、エンジンとモーター両方のメンテナンスが必要ですが、エンジンの稼働時間が短いため、オイル交換頻度は従来車より少なくなる場合があります。電気自動車(EV)は、エンジンやトランスミッションがないため、整備頻度が少なく、メンテナンス費用の削減につながります 。ただし、駆動用バッテリーの劣化による交換費用は高額になる可能性があります。
参考)電気自動車(EV)メリットと、今までの車との構造の違いとは
適切なパワーユニットの選択は、使用環境と個人のニーズによって決まります。市街地での短距離走行が中心なら、静粛性と燃費に優れたハイブリッド車や電気自動車が適しています 。長距離ドライブが多い場合は、給油時間が短く航続距離の長いガソリンエンジン車が実用的です 。
参考)https://www.ncsol.co.jp/telematics/column/c_001.html
現在の自動車市場では6つのパワートレイン(ガソリン、ディーゼル、HV、PHEV、EV、FCV)から選択可能で、日本は「パワートレイン天国」と呼ばれる状況にあります 。将来的には、環境規制の強化により電気自動車の普及が進む見込みですが、2030年以降も内燃機関とのハイブリッドシステムが重要な役割を果たすと予想されます 。パワーユニット選択の際は、初期費用、燃料費、メンテナンス費用を総合的に検討し、自分の使用パターンに最適なものを選ぶことが重要です。
参考)301 Moved Permanently