マツダ新型ロータリー復活・スペック・発電機能

かつてのスポーツカーを彩ったロータリーエンジンが、新世代の発電デバイスとして2023年に復活しました。MX-30 Rotary-EVでどのような進化を遂げ、次世代スポーツカーへの道を切り開いているのでしょうか?
マツダ新型ロータリーエンジン 完全ガイド
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11年ぶりの復活と新世代8C型エンジン

2012年のRX-8生産終了から11年ぶりに、マツダはロータリーエンジン搭載車の量産を再開しました

発電専用としての技術革新

新型ロータリーは発電機能に特化し、電動化時代に適応した次世代パワートレインとなりました

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MX-30 Rotary-EV実装

世界唯一のロータリーエンジン搭載PHEVとして、日本と欧州で量産販売中です

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2027年RX-7後継スポーツ展開予定

ロータリー本格スポーツカーの復活が計画されており、新時代の高性能モデルが期待されています

マツダ新型ロータリー復活・スペック・発電機能

マツダ新型ロータリーエンジン8C型の基本構造

ロータリーエンジンは、独特の角形ローターが回転することで動力を生み出す革新的な構造をもつエンジンです。マツダは1967年の「コスモスポーツ」搭載以来、世界でロータリーエンジンを量産する唯一のメーカーとして歴史を刻んできました。

 

新開発された8C型ロータリーエンジンは、発電専用という新しい役割に対応するため、従来の2ローター方式から1ローター方式へと進化しています。排気量は830ccにアップし、最高出力は53kWを実現。ローター幅が従来の13B型の80mmから76mmへ縮小され、創成半径は105mmから120mmに拡大されました。これらの変更により、小型化と効率化を同時に達成し、燃料直噴化によって低燃費・低エミッション化を実現しています。

 

マツダ新型ロータリーの軽量化と環境対応技術

新型ロータリーエンジンの重要な特徴は、環境配慮設計にあります。従来は鉄製だったサイドハウジングをアルミニウムに変更することで、エンジン単体で15kg以上の軽量化を達成。この軽量化はPHEV車の航続距離を延ばすための工夫であり、カーボンニュートラル社会への対応という大きな目標と直結しています。

 

燃料の直噴化により、燃焼効率を向上させ排出ガスを低減しています。これらの技術革新により、マツダは新時代に適合したロータリーエンジンとして、電動化時代においても「飽くなき挑戦」の精神を貫いています。2024年2月には、RE開発グループが36人の技術者体制で復活し、発電機能を中心とした研究開発を加速させる体制が整えられました。

 

マツダ新型ロータリーを搭載したMX-30 Rotary-EV仕様

MX-30 Rotary-EVは、新型8C型ロータリーエンジンを発電専用に搭載した世界初のPHEV(プラグインハイブリッド車)です。この革新的なパワートレインは、100%モーター駆動によるシリーズ式ハイブリッドシステムとなっています。

 

モーターは油冷構造を採用し、コンパクト設計ながら125kW(170PS)/9000rpmの高出力を実現。最大トルクは260Nm/0~4481rpmです。床下には17.8kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、50Lの燃料タンクと組み合わせて、EV走行107km(WLTCモード)の航続距離を達成しています。

 

普段の買い物などはEV走行で、長距離走行時はロータリーエンジンの発電機能により走行を続けられるという、実用性と魅力を両立した設計となっています。充電は普通充電で約3時間(SOC:0~100%)、40kW以上の急速充電で約25分(SOC:20~80%)が目安です。さらに注目すべき点は、V2H(Vehicle to Home)対応により、家庭への電力供給が可能で、非常時にはバッテリーのみで約1.2日分、バッテリー+エンジン発電で約9.1日分の電気供給ができるという防災性能も備えています。

 

マツダ新型ロータリーの走行性能と運転体験

MX-30 Rotary-EVは、ロータリーの小型軽量性を活かした高い走行性能を実現しています。バッテリー残量が45%になるまでは発電しない仕組みにより、通常走行ではほぼEVと同じなめらかで静かな運転体験が得られます。低速から高速域までどのシーンでも、アクセルを気にすることなくパワフルで気持ちのいい走行フィールが続きます。

 

走行モードはノーマル、EV、チャージモードが設定されており、チャージモードでは充電残量を10%単位で任意に選べるため、自分で計画を立てて賢く電気を使った走り方ができるのが利便性の高さです。最低地上高は130mmとSUVとしては低めで、全車が前輪駆動(2WD)となっています。ほぼ変わらないデザインの観音開きドア「フリースタイルドア」を採用し、ロードスターのようなスペシャリティカーとして使用することで、その魅力が引き出されるクルマとなっています。

 

マツダ新型ロータリーによる2027年スポーツカー復活計画

マツダは、かつてのスポーツカーの栄光を取り戻すため、RX-7後継スポーツカーの開発を計画しています。2027年の登場が予想されており、2ローターのロータリーEVシステムを採用する見込みです。新型モデルは、2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開された「アイコニックSP」というコンセプトが基となり、2ローターのロータリーエンジンを発電に用いるパワートレインが想定されています。

 

興味深いことに、マツダはREを駆動に使うマイルドHEV方式の特許も申請しており、発電専用ではなく直接駆動を行うハイブリッドシステムの開発も並行していることが示唆されています。美しすぎるデザインも評判であり、クルマ好きの期待値を高める存在となっています。2025年秋のジャパンモビリティショーでさらに進化したバージョンが公開される可能性もあり、次世代ロータリースポーツ復活への道筋が確実に近づいています。

 

マツダ公式ニュースルーム:新時代に適合したロータリーエンジンの研究開発加速について、2024年2月1日付での「RE開発グループ」復活体制および電動化時代への取り組み方針が詳細に記載されています
電力のあゆみ:MX-30 Rotary-EV実走レポートでは、新型8C型ロータリーエンジンの詳細スペック(排気量830cc、最高出力53kW)、軽量化実績(15kg以上)、V2H対応の防災性能など技術詳細が確認できます