廃油を排水溝に流すと、知らなくても1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
自分でオイル交換をする際に、最初につまずきやすいのがエンジンオイル選びです。カー用品店に行くと棚いっぱいに並ぶオイル缶に圧倒されますが、選ぶべき基準は明確に決まっています。
まず確認するのは「粘度」です。エンジンオイルの缶には「0W-20」「5W-30」といった表記があります。この数字の意味を簡単に説明すると、左側の数字(WはWinterのW)が低温時の流れやすさを示し、右側の数字が高温時の粘り強さを表しています。つまり、「0W-20」のオイルは「5W-30」よりも低温でサラサラに流れ、高温でも比較的薄めです。
自分の車に合った粘度は、車の取扱説明書またはボンネット裏のステッカーに記載されています。これが原則です。指定粘度と大きく異なるオイルを使い続けると、エンジン内部の油膜が正しく形成されず、最悪の場合エンジンが焼き付くリスクがあります。
次に確認するのが「規格・グレード」です。API規格(SN、SPなど)やILSAC規格(GF-5、GF-6など)がラベルに記載されています。最近の国産車の多くはILSAC GF-5以上、または日本独自のJASO MA規格に対応したオイルが推奨されています。オイルの量も重要です。一般的な軽自動車は約2〜3L、普通車(1,500〜2,000cc)は約3〜4L程度が目安ですが、こちらも取扱説明書で必ず確認してください。
| 確認項目 | 確認場所 | 間違えると |
|---|---|---|
| 粘度(例:0W-20) | 取扱説明書・ボンネット裏 | エンジン損傷リスク |
| 規格(例:ILSAC GF-6) | 取扱説明書 | 保護性能不足 |
| 規定量(例:3.5L) | 取扱説明書・オイルキャップ付近 | 過多・過少による故障 |
DIYで自分でオイル交換する最大のメリットは、こだわりのオイルを自由に選べることです。店頭に置いていない高品質化学合成油や特定ブランドのオイルを試したい車好きにとって、セルフ交換は大きな楽しみになります。これは使えそうです。
参考:エンジンオイルの粘度・規格の読み方(オートバックス公式)
エンジンオイル基礎知識|オートバックス公式通販サイト
道具の準備が、DIYオイル交換の成否を分けます。下抜き(ドレンボルトを外してオイルを抜く方法)を行う場合に必要な工具は以下の通りです。
上抜き(オイルレベルゲージ穴からポンプで吸い上げる方法)を選ぶ場合は、ジャッキアップ用品・メガネレンチ・トルクレンチ・ドレンパッキンが不要になる代わりに、オイルチェンジャーという専用ポンプが必要になります。つまり、必要な道具が方法によってガラリと変わるということですね。
ただし上抜きにも注意点があります。車種によってはオイルレベルゲージの穴の形状やオイルパンの構造上、ホースがうまく奥まで入らず、オイルが完全に抜けきれないケースがあります。トヨタ・ホンダ・スズキ・マツダなど国産各社の一部車種で報告されているため、事前に愛車の対応を確認してから選択してください。
実際の作業手順を確認しましょう。下抜きの流れは大きく「準備→排出→締め直し→注入→確認」の5ステップです。
ステップ1:作業前の準備
エンジンを5分ほどアイドリングさせてオイルを温め、その後30分以上冷ましてから作業を始めます。熱いオイルは急に噴き出すため、火傷リスクを避けることが条件です。平らな場所でジャッキアップし、必ずリジットラック(ウマ)で車体を固定してください。ジャッキだけで支えた状態で車の下に潜るのは非常に危険です。
ステップ2:古いオイルの排出
ボンネットを開けてオイルフィラーキャップとオイルレベルゲージを引き抜いてから、車体下部のドレンボルトを緩めます。ここで初心者がよくやってしまうのが、オイルパン近くにあるATF(オートマチックトランスミッションフルード)のドレンボルトと間違えることです。ATFは赤みがかった色をしているので、ポタポタと垂れてきた液体が赤い場合はすぐに作業を止めてください。
ステップ3:ドレンパッキン交換とボルトの締め直し
古いオイルが完全に抜けたら、ドレンパッキンを必ず新品に交換します。古いドレンパッキンが廃油BOXの中や、オイルパン側に張り付いているケースがあるため、必ず取り除いてから新品を装着することが原則です。二重にパッキンが重なると確実にオイル漏れが発生します。その後、トルクレンチを使って規定のトルクで締め直します。
ステップ4:新しいオイルの注入と量の確認
オイルジョッキを使い、1Lずつゆっくり注入します。エンジンオイルは少なすぎてもエンジンが焼き付き、多すぎてもクランクシャフトがオイルを泡立てて圧力が狂う原因になります。オイルレベルゲージのFull(上限)とLow(下限)の間に収まるよう、こまめに確認しながら注入してください。
ステップ5:オイル漏れの最終チェック
エンジンをかけて1〜2分アイドリングし、ドレンボルト周辺からオイルが滲んでいないかを確認します。エンジンを止めた後に再度オイルレベルゲージで量を確認して終了です。作業が終わりましたね、という状態で一度深呼吸して最終確認するのがおすすめです。
参考:オイル交換の上抜き・下抜きのメリット・デメリット(オートバックス)
オイル交換を自分でやる際に、道具のリストに入れ忘れがちなのがオイルフィルター(オイルエレメント)です。オイルフィルターはエンジン内の金属粉・スラッジ・不純物をこし取るフィルターで、これが目詰まりするとせっかく交換した新しいオイルが汚れをエンジン内に循環させ続けてしまいます。
交換の目安はエンジンオイル交換2回につき1回、つまり走行距離でいうと約1万〜2万kmごとです。つまり毎回交換する必要はありません。ただし以下のケースでは頻度を上げることを検討してください。
オイルフィルターの交換にはフィルターレンチという専用工具が必要です。これは下抜きの道具リストに追加しておきましょう。フィルター本体はメーカー・車種・排気量によって異なるため、品番を確認してから購入することが条件です。オートバックスやイエローハットなどのカー用品店では車種を入力するだけで適合品を検索できます。
フィルターを外す際は、エンジン側に古いOリング(ゴムパッキン)が残っていないか必ず確認してください。2枚重なったまま新品を取り付けるとオイル漏れが発生します。これはドレンパッキンの二重装着と同じ理屈です。
参考:オイルフィルターの交換時期・役割の解説(JMSカーライフ)
オイルフィルター(エレメント)の適切な交換時期は?役割・必要性を解説|JMS
DIYでオイル交換をする際に、最も見落とされやすく、実は最もリスクが高いのが廃油の処理方法です。廃油(使用済みエンジンオイル)は廃棄物処理法の対象であり、下水・川・土壌への投棄は不法投棄として5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。法人の場合は最大1億円まで罰金が上がります。
「少しくらい排水溝に流しても大丈夫だろう」と思いがちな行為ですが、実際に家庭での廃油投棄が通報・摘発されたケースも存在します。厳しいところですね。
正しい廃油処理の3つの方法:
廃油BOXは容量選びも重要です。3L交換なら4.5L容量のBOXを用意するのが基本です。溢れてしまうと地面にこぼれ、土壌汚染につながります。少し余裕を持ったサイズを選ぶことに注意すれば大丈夫です。
参考:エンジンオイルの廃棄方法の正しい手順(イエローハット)
エンジンオイルの廃棄はどうする?具体的な廃棄方法を解説|イエローハット