ギアオイル エンジンオイル 違いとは?役割、粘度、交換時期を徹底解説

車の快適な走行に欠かせないギアオイルとエンジンオイルですが、その違いを正しく理解していますか?使用場所や役割、粘度規格など両者の特徴を詳しく解説します。適切なオイル選びで愛車を守れますか?

ギアオイル エンジンオイル 違い

この記事でわかること
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使用場所の違い

ギアオイルは駆動系装置に、エンジンオイルはエンジン本体に使用される潤滑油です

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役割の違い

ギアオイルは潤滑と保護が主で、エンジンオイルは5つの役割を担います

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規格と粘度

それぞれ異なる規格と粘度表記が使われており、混同は厳禁です

ギアオイルとエンジンオイルの使用場所の違い


ヤマハ(YAMAHA) 二輪車用エンジンオイル ヤマルーブ スタンダードプラス MA2 10W-40 4サイクル用 1L 90793-32159

 

ギアオイルとエンジンオイルは、車内で使われる場所が大きく異なります。ギアオイルは、エンジンが生み出した動力をタイヤへ伝える駆動系装置全般に使われる潤滑油です。具体的には、MT車のトランスミッション、デファレンシャルギア、ステアリングギアなどの装置で使用されています。
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一方、エンジンオイルは動力を生み出すエンジン本体に使われる専用の潤滑油です。エンジン内部のピストンやクランクシャフトなど、1分間に数百~数千回もの激しい運動を繰り返す金属部品を保護する役割を担っています。
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このように、両者は車の中で全く異なる部分に使用されるため、用途に応じた専用設計がなされています。ギアオイルを駆動系装置に、エンジンオイルをエンジンに使うという基本原則を守ることが、車の正常な動作を維持するために不可欠です。
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ギアオイルとエンジンオイルの役割の違い

ギアオイルとエンジンオイルでは、担う役割の数と内容に明確な違いがあります。ギアオイルの主な役割は、歯車の表面に油膜を張ることで潤滑性を高め、防錆性を向上させることです。ギアオイルには極圧剤と呼ばれる添加剤が配合されており、ギアの表面に強力な被膜を形成して、歯車同士がかみ合う際の強い圧力から保護します。また、摩擦や摩耗によって生じる金属粉などの汚れを結合し、装置内部を清潔に保つ働きもあります。
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これに対してエンジンオイルは、より多様な5つの役割を担っています。第一に潤滑作用として部品間の摩擦を軽減し、第二に冷却作用で燃焼熱や摩擦熱を吸収して冷まします。第三に清浄作用でスラッジなどの汚れを吸着・分散し、第四に防錆作用で水分や酸化から金属部品を守ります。最後の第五として密封作用があり、ピストンとシリンダーの隙間を埋めて燃焼効率を高めます。
参考)https://www.yoro-store.com/blogs/useful/role-of-engine-oil

このように、ギアオイルは主に潤滑と保護に特化しているのに対し、エンジンオイルはより多機能な設計となっているのが大きな違いです。​

ギアオイルとエンジンオイルの粘度規格の違い

ギアオイルとエンジンオイルでは、粘度を表す規格が異なります。ギアオイルの粘度は、SAE規格のJ300に基づいて評価され、「80W90」や「75W90」といった数字とアルファベットの組み合わせで表記されます。前半の数字とWは低温時の粘度と対応可能な最低気温を示し、後半の数字は高温時の粘度を表します。例えば、80Wは約マイナス26度まで対応可能で、75Wはマイナス40度まで対応できることを意味します。​
一方、エンジンオイルも同じくSAE規格ですが、「0W-20」や「10W-30」といった異なる数値範囲で表記されます。数字が大きいほど粘度が高くドロドロした硬いオイルとなり、数字が小さいほど粘度が低くサラサラしたオイルになります。
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粘度が高いギアオイルは油膜が厚くなるため部品の保護性が上がりますが、その分流動性は下がります。このため、ギアオイルとエンジンオイルを混同して使用することは絶対に避けなければなりません。車のメーカーが推奨する粘度・品質・等級のオイルを使用することが重要です。
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ギアオイルの等級規格とエンジンオイルの違い

ギアオイルには、API規格に基づいたGL-1からGL-6までの6段階の等級が設定されています。現代の一般的な自動車に適用されているのは、主にGL-4またはGL-5の2種類です。GL-4は、デファレンシャルやトランスミッション、ステアリングギアなど、さまざまな車の駆動系装置に使用されます。GL-5は、GL-4よりも過酷な条件下のハイポイドギアに使用され、高速低トルク、低速高トルク、高速衝撃荷重に耐える性能を持ちます。
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重要な点として、GL規格には下位互換性がなく、GL-5をGL-4指定のギアに使用することはできません。極圧添加剤の量が異なるため、誤って使用すると装置にダメージを与える可能性があります。
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一方、エンジンオイルもAPI規格で評価されますが、ギアオイルとは全く異なる分類体系が使われています。エンジンオイルの規格はSグレード(ガソリン車用)やCグレード(ディーゼル車用)などで表され、ギアオイルのGL規格とは混同できません。このため、両者を取り違えて使用することは重大なトラブルの原因となります。​

ギアオイルとエンジンオイルの交換時期の違い

ギアオイルとエンジンオイルでは、交換が必要となる時期が大きく異なります。ギアオイルの交換時期は、前回の交換から走行距離にして10,000~20,000km、または使用期間にして2年が経過した時点のいずれか早い方が目安となります。MT車の場合は2~5万kmごとの交換が推奨され、AT車やCVT車の場合は10万km程度が目安となっています。
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ただし、山道を頻繁に走行したり、スポーツ走行をする場合などのシビアコンディションでは、劣化が早く進むため、より早めの交換が必要です。ギアチェンジの際に異音や違和感がある場合は、早めに整備士に相談することが重要です。​
一方、エンジンオイルはより頻繁な交換が必要で、一般的には5,000~15,000km、または半年~1年ごとの交換が推奨されています。エンジンオイルは燃焼熱や摩擦熱に直接さらされるため、ギアオイルよりも劣化速度が速いのが特徴です。​
交換を怠ると、ギアオイルの場合は異音やギアチェンジ不良、最悪の場合は駆動系の故障につながります。エンジンオイルの場合は、エンジン内部の摩耗や焼き付きなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。​

ギアオイルとエンジンオイルを混ぜるリスク

ギアオイルとエンジンオイルを混ぜて使用することは、絶対に避けなければならない危険な行為です。両者は使用場所も役割も異なり、配合されている添加剤の種類と目的が全く異なるためです。ギアオイルには極圧剤という強力な添加剤が配合されており、これはギアの表面に強力な被膜を形成する特性を持ちます。一方、エンジンオイルには摩擦低減や冷却、清浄を目的とした添加剤が使われています。​
異なる種類のオイルを混ぜると、添加剤同士が反応して予期せぬ化学変化を起こし、オイル本来の性能が損なわれる可能性があります。また、粘度が適正範囲外になることで、理想的な潤滑状態が得られず、エンジンや駆動系装置の性能低下や損傷につながります。
参考)https://www.yoro-store.com/blogs/useful/mix-engineoil

特に注意すべきは、同じオイルであっても粘度やベースオイルが異なるものを混ぜる場合です。鉱物油と全合成油を混合すると、オイルの劣化を早める可能性があり、スラッジの発生や粘度変化などの問題を引き起こします。
参考)https://yebisu-tool.jp/blogs/useful/about_mixing_engine_oil

緊急時を除き、オイルの混合は避け、車のメーカーが指定する適切な種類のオイルを単独で使用することが、愛車を長く安全に保つための鉄則です。​

 

 


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