フェアレディZ受注再開と405馬力の進化

2025年6月に全グレード受注が再開されたフェアレディZについて、最新の納期情報や価格、NISMOモデルの性能、そして今購入すべき理由まで詳しく解説。スポーツカー好きなら知っておくべき、フェアレディZの魅力とは何か?

フェアレディZ受注再開と性能の全貌

フェアレディZ受注再開のポイント
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2025年6月の全グレード受注再開

2022年8月の発売直後から注文が殺到して受注停止が続いていたフェアレディZですが、2025年6月11日に全グレードの受注が再開されました。この発表は日産の公式SNSで行われ、瞬く間にSNS上で話題となり、スポーツカーファンから大きな歓迎を受けています。

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大幅に短縮された納期

受注再開前は4年以上の待機が発生していましたが、現在の納期は最短3~4ヶ月程度に短縮されています。グレードやボディカラーによって多少変動しますが、初期の異例の長期納期と比べれば劇的な改善です。

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受注台数が1万台を突破

受注再開後の反響は予想を上回り、わずか数ヶ月で累計受注台数が1万台を超えました。これは多くの消費者がこの機会を待っていたことを示す明確な指標であり、市場からの需要の高さを物語っています。

フェアレディZ受注再開までの経緯

 

2022年8月にデビューしたRZ34型フェアレディZは、発売直後から注文が殺到し、翌月には受注が停止されました。その背景には単なる人気だけではなく、複数の深刻な問題が存在していました。最大の要因は、生産を担当する日産栃木工場の塗装工程における技術的トラブルです。このトラブルにより、高品質の塗装が施された車両を安定的に供給することが困難になったのです。

 

さらに、世界的な半導体供給不足も大きな影響をもたらしました。エンジンコントロール、トランスミッション制御、インフォテインメントシステムなど、現代の自動車に搭載される数多くの電子制御システムが半導体に依存していており、その供給不足が生産ペースの低下につながりました。これらの複合的な要因が相まって、フェアレディZは長期にわたる受注停止を余儀なくされたのです。

 

2025年1月になると、日産は2025年度生産分の新規注文受付を開始しました。この時点で、塗装工程の問題は相当程度改善され、半導体供給も正常化していたと考えられます。その後、2025年6月11日に待ちに待った全グレード受注再開のアナウンスが行われたのです。

 

フェアレディZ受注再開後の価格体系と構成

現在購入できるフェアレディZは、大きく2つのカテゴリに分かれています。1つは標準のフェアレディZで、もう1つはハイパフォーマンスモデルの「フェアレディZ NISMO」です。

 

標準モデルのラインアップは、ミッション選択に応じて6つのグレードに分かれています。6速MT仕様では、ベースグレード(5,497,800円)、Version S(6,347,000円)、Version ST(6,759,500円)が用意されています。9速AT仕様では、ベースグレード(5,497,800円)、Version T(5,959,800円)、Version ST(6,759,500円)が設定されています。興味深いことに、9速ATの価格は6速MTと同一であり、これはATの利便性を求める顧客にとって非常に魅力的な選択肢となっています。

 

フェアレディZ NISMOは9速AT専用で、新規受注が再開された最上位モデルとして位置付けられています。その価格は9,302,700円と、標準モデルから大きく離れていますが、その差に相応する性能向上が施されています。全ての価格に消費税が含まれており、ユーザーは支払い総額を明確に把握できるようになっています。

 

フェアレディZ受注再開時の405馬力ツインターボエンジン

フェアレディZのハートとなるのは、3.0リッターのV型6気筒ツインターボエンジンです。最高出力は298kW(405馬力)を6,400回転で発揮し、最大トルクは475N・m(48.5kg・m)を1,600~5,600回転の広い回転域で供給します。この特性は、低回転から高回転まで幅広い場面で力強い加速を提供することを意味しており、市街地走行からサーキット走行まで対応する実用的なパワー特性を実現しています。

 

2つのターボチャージャーを採用することで、排気量あたりの出力密度を大幅に高めることができました。燃焼効率の最適化や吸気系統の改善により、ツインターボながら応答性の良い加速フィーリングが実現されています。ただし、燃費性能は6速MT仕様で9.5km/Lという数字であり、405馬力のハイパフォーマンスエンジンとしては実用的なレベルを保っています。

 

トランスミッションは6速MTと9速ATから選択でき、6速MTはシフト感度を高めるための新型シンクロナイザーを採用、9速ATはワイドレンジ化とクロスレシオ化により、エンジンの性能を最大限に引き出す設計になっています。

 

フェアレディZ受注再開後のNISMOモデルの高性能化

フェアレディZ NISMOは、標準モデルをベースにした最高峰のパフォーマンスバージョンです。エンジンに関しては、NISMOエンジニアによる独自チューニングが施されており、最高出力を309kW(420馬力)に高め、最大トルクを520N・m(53.0kg・m)にまで引き上げています。これは標準モデルの405馬力から15馬力、トルクでは45N・m上乗せされた数字です。

 

NISMOのチューニング内容は非常に緻密です。GT-R NISMOで開発された気筒別点火時期制御システムが導入され、各気筒の燃焼を最適に制御することで、エネルギー損失を最小化しています。また、ターボブースト圧の制御も独自開発されており、安定した高出力を確保しながら、長期的な耐久性も両立しています。

 

トランスミッションもNISMOチューニングが施されており、クラッチプレート枚数の増加とクラッチストローク短縮により、シフト速度が大幅に向上しました。SPORT+ドライブモード時には、バルブタイミング変更と新型スロットル制御により、アクセルレスポンスがさらに敏感になります。これらの施策により、フェアレディZ NISMOは単なる高出力エンジンの搭載ではなく、トランスミッションから冷却系統まで総合的にチューニングされた高性能マシンなのです。

 

フェアレディZ受注再開後の設計思想と走行性能

RZ34型フェアレディZは、歴代モデルの伝統であるFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトを継承しています。このレイアウトは単なる伝統の継承ではなく、スポーツカーとしての本質的な要求仕様を満たすための選択です。リアドライブのダイレクト感と、前後重量配分による安定性は、高い運動性能を求めるドライバーたちから長年支持され続けています。

 

シャシーの剛性は先代Z34型比で約10%向上しており、サスペンション取付部の補強と構造材の強化により、コーナリング時のボディねじれを最小化しています。前輪にはダブルウィッシュボーン式、後輪にはマルチリンク式サスペンションを採用し、路面追従性とコーナリング時の接地感を高めています。これにより、街乗りでは快適な乗り心地を保ちながら、サーキット走行では高いグリップ力と操舵応答性を発揮できるバランスが実現されているのです。

 

エクステリアデザインは「伝統の継承と現代的進化」をコンセプトに設計されており、初代フェアレディZから連綿と受け継がれた丸型ヘッドライトなどのアイコニックな要素が随所に組み込まれています。同時に、現代のエアロダイナミクスに基づいた空力特性も無視されず、高速走行時の安定性向上に貢献しています。

 

フェアレディZ受注再開後の中古車市場動向

興味深いことに、フェアレディZの受注が再開される以前から、中古車市場では独特の価格動向が観察されていました。新規受注が停止されていた期間中、オーナーが納車を待つ間に市場に出た初期ロット車は、限定的な供給と継続的な需要の下、プレミアム価格を形成していました。

 

2025年6月の全グレード受注再開は、この中古車市場に大きな変化をもたらしました。新規注文が受け付けられるようになったことで、高価な中古車を購入するよりも、新車を待つという選択肢の価値が相対的に上昇したのです。結果として、一部の中古フェアレディZの価格が急落し、市場が調整を始めました。

 

この現象は市場メカニズムの良い例です。供給が大幅に増加し、納期が短縮されることで、希少性に基づいていた中古車プレミアムが消滅したわけです。ただし、希少なボディカラー(ミッドナイトパープルなど)や特別仕様車については、依然として中古車市場で高い評価を保っています。

 

参考リンク1:日産フェアレディZ公式情報
日産フェアレディZの最新仕様・グレード情報が掲載されており、正確な価格やオプション設定を確認できます。
参考リンク2:フェアレディZ受注・納期情報
月別の納期推移データが詳細に記載されており、購入を検討する際の納期予測に役立ちます。
参考リンク3:NISMOパフォーマンス仕様
NISMO独自のチューニング内容や性能指標が技術的詳細とともに解説されています。

 

 


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