エンジンドライブモード 仕組みと燃費 切り替え ハイブリッド車の効率

エンジンドライブモードはハイブリッド車が高速走行時にエンジン動力を直接タイヤへ伝える効率的な走行方式です。燃費向上の仕組みや他のモードとの違いについて知りたくありませんか?

エンジンドライブモード 仕組み 燃費

エンジンドライブモードの基本概要
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高速走行時の効率化

エンジンと駆動輪を直結してエネルギーロスを最小化する走行方式

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燃費向上の仕組み

モーターの高回転駆動より効率的な直接駆動で燃料消費を抑制

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3モード切り替え

EVモード・ハイブリッドモードと組み合わせて最適な走行を実現

エンジンドライブモードとは何か

エンジンドライブモードは、ハイブリッド車が高速域でクルーズ走行する際に、エンジンと駆動輪を直結するエンジン直結クラッチを繋ぐことで、エンジンの動力を直接タイヤに伝える走行モードです。このモードは、少ない駆動力で走行できる高速クルージング時に、モーターを高回転させるよりもエンジン走行の方が効率よく走れるという特性を活かしています。従来のガソリン車と同様の駆動方式を採用することで、電力変換によるエネルギー損失を回避できます。
参考)https://www.goo-net.com/knowledge/12392/

ハイブリッド車には通常、EVモード・ハイブリッドモード・エンジンモードの3つの走行モードが搭載されており、走行状態に合わせてシステムが自動的に最適なモードを選択します。エンジンドライブモードはこの中で最も高速走行に適したモードとして位置づけられています。高速道路などでの定常走行時には、このモードによって効率的な燃費性能を実現できるのです。
参考)https://www.honda.co.jp/factbook/auto/CR-V/201808/P11.pdf

車両の速度や加速状況、バッテリーの充電状態などを総合的に判断し、コンピューターが自動的にモード切り替えを行うため、ドライバーが意識することなく常に最適な走行状態が保たれます。
参考)https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/freedehev/2025/details/323456789001861.html

エンジンドライブモードの仕組みと構造

エンジンドライブモードの仕組みは、エンジン直結クラッチを締結してエンジンの出力軸とタイヤの駆動軸を物理的に直結することで成立します。このクラッチ結合により、エンジンで発生した機械的動力がダイレクトにタイヤへ伝達されるため、発電用モーターと走行用モーターを経由する電気的な動力変換プロセスを省略できます。
参考)https://www.mdpi.com/2032-6653/6/2/325/pdf

Hondaの「SPORT HYBRID i-MMD」システムでは、高速クルージング時にエンジン直結クラッチを締結し、高速クルージングに適したギアレシオとアトキンソンサイクルでの高効率運転により、低燃費でのクルージングを可能にしています。このシステムでは約80km/h以上の高速域で主にエンジンドライブモードが使用され、バッテリー充電状況に応じてEVドライブモードとも使い分けられます。​
エンジンドライブモード時でも、必要に応じてバッテリーからの電力供給によりモーターをアシストしたり、モーターを発電機として作動させてバッテリーを充電したりする複合的な制御が行われます。この柔軟な制御により、単純なエンジン駆動だけでなく、状況に応じた最適なパワー配分が実現されています。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2412/20/news153_2.html

エンジンドライブモードの燃費向上効果

エンジンドライブモードの燃費向上効果は、高速走行時の電力変換ロスを削減できる点にあります。ハイブリッドモードでは、エンジンの機械的動力を一旦発電用モーターで電気エネルギーに変換し、その電力を走行用モーターで再び機械的動力に変換するため、この変換過程で約10~15%のエネルギー損失が発生します。エンジンドライブモードではこの変換プロセスを経由しないため、高速域での効率が大幅に向上するのです。
参考)ホンダ次世代ハイブリッド技術についてのメモ|Yoshi

次世代のHonda e:HEVでは、エンジンドライブモードにおいてエンジン直結時のトルク伝達効率を向上させるとともに、バッテリーアシストの活用によって高速巡航中にも高効率にエンジンドライブモードを維持できるよう改良されています。これにより、従来は燃費が悪化しやすかった高速走行時の燃料消費を大幅に削減できます。
参考)次世代e:HEV パワートレーンの進化|テクノロジー|Hon…

エンジンドライブモードの頻度を増やすことで燃費を向上させる取り組みも進んでおり、エンジンモードでのストイキトルク向上などにより、より幅広い走行条件でエンジン直結走行を実現できるようになっています。​

エンジンドライブモードと他のモードの切り替え

ハイブリッド車の走行モード切り替えは、基本的にシステムが自動的に判断して行います。発進時や低速走行時にはEVモードでモーターのみによる静かな走行を行い、加速時や登坂時などの負荷が大きい場面ではハイブリッドモードでエンジンとモーターを併用します。そして高速クルージング時には、最も効率的なエンジンドライブモードへ自動的に切り替わります。​
モード切り替えの判断基準には、車速、アクセル開度、バッテリー充電状態、エアコン作動状況などが含まれており、これらの情報を統合してコンピューターが最適なモードを選択します。例えば、高速道路を走行中でもバッテリー残量が十分にある場合には、エンジンドライブモードではなくEVドライブモードが選択されることもあります。
参考)https://www.volvocars.com/jp/support/car/s60-recharge-plug-in-hybrid/article/ca483191b998bf13c0a80151347cdd8d

一部の車種では、ドライブモードセレクトスイッチによって「ノーマル」「スポーツ」「エコ」などの運転モードを手動で切り替えることができます。ただし、これはエンジンドライブモードなどの内部的な走行モード切り替えとは別の機能で、アクセル応答性やトランスミッション制御などの特性を変更するものです。
参考)「ドライブモード切り替え」のからくりとは? 裏でどんな制御を…

エンジンドライブモード搭載車の実例と性能

Hondaのハイブリッド車に採用されている「SPORT HYBRID i-MMD」システムは、エンジンドライブモードを搭載した代表的なシステムです。CR-Vやフリード、インサイトなどの車種に採用されており、3つのドライブモードをシームレスに切り替えることで高効率な走行を実現しています。このシステムでは約0~20km/hでEVドライブモード、20~80km/hでハイブリッドドライブモード、80km/h以上でエンジンドライブモードが主に使用されます。
参考)https://www.honda.co.jp/factbook/auto/INSIGHT/201812/P21.pdf

最新のHonda e:HEVでは、次世代パワートレーンの進化により、各ドライブモードの高効率化が図られています。エンジンドライブモードでは、エンジン直結時のトルク伝達効率向上やストイキトルク向上により、エンジンモード頻度を増やすことで燃費を向上させています。また、EVモードやハイブリッドモードにおいても、モーター効率の向上やエンジン高効率化により、総合的なシステム効率が大幅に改善されています。
参考)「Honda e:HEV 事業・技術取材会」においてe:HE…

これらの技術により、ハイブリッド車は発進から高速走行まで、あらゆる速度域で最適な駆動方式を選択できるため、ガソリン車と比較して大幅な燃費向上を実現しています。特に高速道路の長距離走行では、エンジンドライブモードの効果により、モーター主体のハイブリッドシステムでありながら高速域でも優れた燃費性能を発揮できます。
参考)ハイブリッド車は走行中に充電できる?仕組み・メリット・注意点…

ホンダのCR-VにおけるSPORT HYBRID i-MMDシステムの詳細な走行モード切り替えメカニズムと各モードの動作条件
次世代Honda e:HEVの技術解説とエンジンドライブモードの効率化技術
エンジンドライブモードの基本的な定義と役割についての解説