予防的通行止め 国土交通省が立ち往生防止へ

予防的通行止め 国土交通省の安全対策

予防的通行止め 国土交通省が実施する運用方法

予防的通行止めは、大雪が予想される気象状況において、実際に降雪があり、かつ今後も降雪予測がある場合に、事前に高速道路や国道を通行止めにする制度です。単純に雪が降る区間だけに実施するわけではなく、天候予測、路面状況、隣接する国道の状況などを総合的に踏まえ、関係機関と協議を重ねたうえで判断されます。

 

首都圏においては、降雪前から高速道路の広範囲な計画的・予防的な通行止めが行われる可能性があるため、高速道路に並行する国道、高速道路に接続する国道については、段階的な対応が取られます。通行止めにする区間は運送事業者などにメール等で早めに周知し、別の道路への迂回を求めています。

 

予防的通行止め後も緊急車両の通行は可能とする配慮がなされており、通行止めを実施している間に集中的な除雪作業が行われます。これにより、降り積もる雪を一気に排除することが可能になり、結果的に通行止めの早期解除につながります。

 

予防的通行止め 区間の設定基準と過去の滞留実績

首都圏における予防的通行止め区間は15区間、総延長204.6kmが設定されています。これらの区間は昨年度2月の大雪時の経験と過去の車両滞留実績に基づいて選定されました。国土交通省関東地方整備局は、過去の立ち往生実績を踏まえて予防的通行止め区間を設定し、毎年度実績を検討して更新しています。

 

設定区間は、高速道路との関係によって6つの分類に分けられます。（A）高速道路に並行する放射状地方部では並行する高速道路と同時に通行止めを実施。（B）高速道路に並行する放射状都市部では並行する高速道路の通行止めと同時に車両滞留を防ぐ取組を集中的に実施し、降雪状況等から判断して通行止めを実施。（C）高速道路に並行する環状道路では交差する道路が多く、迂回路としての機能が不可欠なため慎重な判断がなされます。

 

（D）高速道路に接続する道路では接続する高速道路と一体的な運用が不可欠なため同時に通行止めを実施。（E）ランプ部では縦断勾配が大きく立ち往生の実績がある箇所で、降雪状況から必要と判断した場合に通行止めを実施。（F）国道独自の要注意箇所では立ち往生等が発生しやすい高架部や急勾配の区間が対象です。

 

予防的通行止め 実施時の国土交通省の段階的対応

国土交通省が予防的通行止めを実施する際には、まずStep1として「要注意箇所の体制強化」を行います。並行する高速道路が通行止めすると同時に、いつでも通行止めを実施できる体制を整えます。設定された要注意箇所の体制を強化し、状況監視（パトロール及び薬剤散布）や緊急救助（緊急脱出用装置の配備等）など、滞留を防ぐ取り組みを集中的に実施します。

 

Step2では「状況により通行止め」として、降雪状況（圧雪状態になる前）や要注意箇所の状況から必要と判断した場合に、通行止めを実施します。この時点では既に本局や応援事務所、協定会社の人員・機械が事前配備され、現場の体制が増強されています。

 

具体的な対応としては、大型の立ち往生車両に対して緊急的にチェーンを装着して脱出させるレッカー用車両の配備、路面が圧雪等の状況となった場合に出動する除雪車の配備が行われます。さらに国土交通省は、通行止めの解除を早めるため、雪が特に多い区間に除雪車両を集中させ、効率的に除雪を行うシステムも構築しています。

 

予防的通行止め 運用時の交通への影響を最小化する工夫

国土交通省が予防的通行止めを実施する際に配慮している独自視点の対応として、高速道路と並行する国道の通行止め解除のタイミング調整があります。並行する国道の通行止め解除が高速道路の通行止め解除より遅れる場合、高速道路から国道への出口の通行止めを継続したまま、高速道路本線のみを先に通行止め解除することを可能としています。

 

また、通行止め区間の前後区間の本線路側帯には簡易LED板等により、広域迂回を促す情報提供を実施しています。高速道路（NEXCO中・東）と関東地方整備局は連携協力体制を強化し、災害に関する情報提供、災害対策車両・通信機器等の貸与、人員派遣、保有機材・資材の貸与等を速やかに可能とする協定を締結しています。

 

さらに最新技術の導入も進んでいます。過去に急勾配で車両滞留が発生した国道298号小塚山トンネル付近では、ロードヒーティングを試験導入。このシステムはサーモグラフィーで温度変化を監視し、発熱開始から30分で路面温度を34.7℃まで上昇させることができ、氷結防止に効果的です。

 

予防的通行止め 運転者が準備すべき知識と対策

運転者が予防的通行止めに対応するためには、まず最新の気象情報・道路情報の確認が必須です。気象庁のホームページでは「今後の雪」で6時間先までの雪を予報しており、国土交通省関東地方整備局のホームページでは「関東甲信地方の冬道ポータルサイト」に冬の気象情報・道路情報をまとめています。

 

予防的通行止めが実施されると、通行止めにする区間は運送事業者などにメール等で早めに周知されます。そのため、大雪が予想される場合は事前に情報を確認し、別の道路への迂回計画を立てることが重要です。

 

走行中に立ち往生やスリップで走行できなくなった場合、国土交通省では橋梁やアンダーパス、坂道など道路勾配が大きな箇所に「砂箱」を設置しています。砂箱の中には砂入りの土のう袋が設置されており、スコップで砂を車両の駆動輪周りに撒くことで脱出できます。車両が動いたら、まずは路肩に移動させて車線を開放し、チェーンを装着した上で再発進することが安全です。

 

関東甲信地方の冬道ポータルサイト：気象情報と道路情報をリアルタイムで確認できる公式サイト
気象庁「今後の雪」：6時間先までの降雪予報で予防的通行止めの判断時期を把握
日本道路交通情報センター：全国の道路交通規制情報を提供する公式情報源

 

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