ロードヒーティングの初期設置費用は、設置面積や選択する動力源の種類によって大きく異なります。一般的な住宅で車2台分、約20㎡前後のスペースに設置する場合の費用相場を見ていきましょう。
参考)ロードヒーティングの設置費用はいくら?ボイラー式などの種類比…
電熱線式(電気式)のロードヒーティングは、比較的安価で43万円~60万円程度が目安となります。路面に電熱線を埋め込む工法で、設置面積が広いほど平米単価は割安になる傾向があります。一方、電気代は高めになるため、ランニングコストとのバランスを考える必要があります。
参考)ロードヒーティングのランニングコストは?札幌の雪対策を解説|…
ボイラー式(灯油式)は58万円~85万円程度と中間的な価格帯です。灯油ボイラーで加熱した不凍液をパイプに循環させる仕組みで、100万円で収まれば安い方という感覚とされています。札幌ロードヒーティング.comのデータによれば、10㎡で57万円、20㎡で63万円、30㎡で72万円と、面積に応じて段階的に費用が上がります。
参考)工事費用
ヒートポンプ式は最も高額で、84万円~90万円が相場となっています。大気の熱を利用する環境に優しい方式ですが、初期投資が大きい分、ランニングコストは抑えられる特徴があります。
参考)ヒートポンプ式ロードヒーティングレポ~ランニングコスト(電気…
なお、これらの費用には舗装費用も含まれますが、土木工事や外構工事が別途必要になるケースもあるため、必ず業者から提示される見積書で総額を確認することが重要です。
ロードヒーティングの運用で最も気になるのが、毎年かかるランニングコストです。動力源によって燃料代や電気代が大きく異なるため、種類別に詳しく見ていきましょう。
灯油式ロードヒーティングは、2023年現在では比較的安価とされており、一冬の燃料代は約5万円~6万円程度が目安です。施工面積20㎡で650時間稼働した場合、灯油価格が85円/ℓなら年間約4.5万円程度となります。ただし、灯油価格は変動しやすく、価格高騰時には想定以上のコストがかかる可能性があります。
参考)ロードヒーティングの維持費はどれくらい?山形の会社が相場をご…
電気式ロードヒーティングは、ランニングコストが最も高額です。施工面積25㎡で600時間稼働した場合、年間の電気代は約8.5万円に達します。2018年の大停電以降、オール電化を選択する方も減少しており、電気代の上昇傾向もあって、現在はあまりおすすめされていません。
ヒートポンプ式は、大気熱を利用するため電気代が最も安く抑えられます。施工面積25㎡で1200時間稼働しても、年間約4万円程度と経済的です。長時間稼働しても低コストで運用できる点が大きな魅力といえるでしょう。
ガス式は都市ガスかプロパンガスかで金額が異なりますが、灯油式と比較すると割高になる傾向があります。ただし、都市ガスの場合は「融雪用季節契約料金」が適用されれば、ランニングコストの低減が可能です。
参考)ロードヒーティング ガス化|札幌の設備会社 恒栄工業
降雪量や気温などの気象条件によってもコストは変動するため、毎日少しずつ降る年とまとまって降る年では稼働日数に差が出ることを理解しておきましょう。
参考)山形の専門家がロードヒーティングのランニングコストについて解…
ロードヒーティングの総コストを考える際、見落としがちなのが定期的なメンテナンス費用です。動力源の種類によって必要な維持管理の内容が異なるため、設置前に把握しておくことが重要です。
ボイラー式(灯油式・ガス式)では、不凍液の定期交換とボイラー本体の点検が必須となります。不凍液は路面を温めるための熱を運ぶ重要な媒体で、経年劣化により性能が低下するため、定期的な交換が必要です。札幌ニップロ株式会社の料金表によれば、防錆不凍液の交換や保守点検には別途費用がかかります。
参考)ロードヒーティング 修理 メンテナンス
ボイラー本体も定期点検が必要で、循環液不足エラーや原因不明の故障が発生するケースもあります。特に灯油タンクを使用する場合は、タンクの補充作業も定期的に行わなければならず、維持管理の手間がかかります。また、平成23年に義務化された地下貯蔵タンクの規制強化により、鋼製一重殻タンクには内面コーティングや電気防食が必要となり、これも維持費に影響します。
参考)ロードヒーティングの種類や選び方を融雪会社が解説!設置による…
youtube
電気式ロードヒーティングは、不凍液交換やボイラー点検が不要なため、設備のメンテナンス費用はほぼ発生しません。この点は電気式の大きなメリットといえるでしょう。
ヒートポンプ式も、ヒートポンプ本体のメンテナンスはほとんど必要ありませんが、不凍液の交換費用は発生します。ただし、設備の寿命が比較的短めであるため、故障時の修理費用が嵩む可能性があります。
参考)ロードヒーティングとは?設置するメリット・デメリットを紹介
長期的な運用を考えると、ランニングコストだけでなく、これらのメンテナンス費用も総合的に判断することが賢明です。
参考)故障・メンテナンス
ロードヒーティングの費用を少しでも抑えるためには、運転方法の工夫や補助金制度の活用が効果的です。具体的な節約テクニックを見ていきましょう。
運転モードの使い分けが最も基本的な節約方法です。在宅時は手動運転にしてコストを抑え、外出時や早朝の積雪に備えて自動運転に切り替えるという工夫が推奨されています。また、予熱運転と遅延運転を状況に応じて使い分けることも重要です。予熱運転は降雪前から地面を温めておく方法で凍結防止に有効ですが、気温によっては温めすぎて無駄な電力を消費する可能性があります。一方、遅延運転は決まった時間運転を続けて雪を完全に溶かしきる方法で、次回使用時のエネルギーを抑えられます。
参考)ロードヒーティングの維持費について山形の業者が解説します
灯油式を選ぶ場合、灯油価格が安い時期にまとめて購入するとコストを抑えられます。また、断熱材を使用することで熱が逃げにくくなり、効率的な運用が可能になります。
補助金制度の活用も見逃せません。札幌市では「融雪施設設置資金融資あっせん制度」があり、金融機関から借入する際の利子を市が負担してくれます。青森市でも同様の制度があり、10万円以上300万円以内の貸付金額に対して、5年以内の返済なら無利子、10年以内なら低利子での返済が可能です。山形県では、克雪化を行うリフォームに対する補助金があり、固定式の設備であれば新規取り付けや更新が補助対象となります。
参考)融雪施設設置資金融資あっせん制度/札幌市
動力源の選択も長期的なコスト削減に影響します。初期費用は高くてもヒートポンプ式を選べば、ランニングコストを大幅に抑えられます。灯油からガスボイラーに変更すると、都市ガスの「融雪用季節契約料金」が適用され、原油価格に左右されない安定した費用計画が立てられます。
これらの節約方法を組み合わせることで、快適さを保ちながらコストを効果的に管理できます。
ロードヒーティングの導入を検討する際には、費用面だけでなく、実際の効果や潜在的なデメリットも理解しておく必要があります。自動車オーナーにとって本当にメリットのある投資なのか、総合的に判断しましょう。
最大のメリットは除雪の手間と時間が大幅に削減できる点です。雪が降り積もると除雪に何時間も時間を奪われますが、ロードヒーティングがあれば朝の忙しい時間に雪かきする必要がなくなります。また、路面凍結による転倒事故や、車の出し入れ時の危険性を軽減できるため、安全面でも大きな価値があります。
参考)ロードヒーティングの新規設置工事/札幌市西区戸建て|施工事例…
一方で、意外なデメリットも存在します。最も見落としがちなのが、ロードヒーティング設置範囲と道路の間に生じる高低差です。駐車場の雪は溶けても道路の雪は残るため、積雪の多い日には20~30cmもの段差ができてしまい、結局雪かきが必要になるケースがあります。
参考)ロードヒーティングとは?メリットとデメリットを解説 href="https://fujimino-gaikou.com/road-heating/" target="_blank">https://fujimino-gaikou.com/road-heating/amp;#82…
豪雪時には設備の能力を超えて雪が溶けきらない可能性もあります。特に一度に大量の雪が降ると、ロードヒーティングだけでは対応しきれず、補助的な除雪作業が必要になることがあります。また、設備の故障やトラブルも考慮すべきリスクです。循環液の不足エラーや原因不明の故障が発生することもあり、冬場に突然使えなくなると大きな不便を強いられます。youtube
参考)ロードヒーティングは豪雪だと溶けない?設置のメリットや種類を…
費用対効果を考える際には、居住地域の降雪量も重要な判断材料です。年間降雪量が約5m、最大積雪量が1m程度の地域であれば、十分な導入効果が期待できるでしょう。一方、降雪が少ない地域では、高額な初期投資とランニングコストに見合わない可能性があります。
後付け設置も可能であるため、新築時に限らず、既存住宅でも導入を検討できます。コンクリートやタイル仕上げの階段にも設置でき、工事は3~5日程度で完了します。ただし、既に工事が完了している場合や着工中の場合は補助金の対象外となるため、計画的な申請が必要です。
参考)ヒロデン株式会社|補助金(助成金)-青森市/融雪施設設置支援…
自動車を守り、冬の生活を快適にするロードヒーティングですが、初期費用、ランニングコスト、メンテナンス費用、そして実際の使用環境を総合的に判断して、最適な選択をすることが大切です。