茨城県つくば市に拠点を構えるヴェイルサイドは、鬼才・横幕宏尚氏が率いる日本を代表するカスタムビルダーです。社名の由来は代表の苗字を逆さにして英訳したもので、Veil(幕)とSide(横)を組み合わせた独自のブランド名となっています。ヴェイルサイドの最大の特徴は、トレンドを取り入れながらも芯の一本通った高い表現力と、それを市販品に落とし込む独自のFRP成型技術にあります。元々国産車系からスタートしたブランドは瞬く間に輸入車へと進出し、現在ではフェラーリやランボルギーニなどのハイエンドスポーツモデルにも力を注いでいます。
参考)ヴェイルサイド - Wikipedia
スープラに対するヴェイルサイドのアプローチは、JZA80の時代から続く長い歴史があります。計算し尽くされた陰影と反射光から描き出される美しいシルエットは、まるで名画のような奥ゆかしさを持ち、思わず息を飲むほどの完成度です。エッジの利いたラインが最大の特徴で、どっしりとした印象を受ける80系スープラに軽快な印象をもたらすことができます。流麗な曲線が複雑に絡み合うデザインを採用し、フラット感を完全排除したサイドアプローチは、ヴェイルサイドならではの独創性を示しています。
参考)「この迫力はヴェイルサイドならでは!」伝説的エアロ『フォーチ…
最新のGRスープラに向けて開発された「フォーチュン」シリーズは、全身をプロテクトする戦闘服、つまり甲冑をテーマとしています。フォーチュンのデザインは繊細にして壮麗で、事前情報なしにこの車両を見たら異国の高級スポーツカーと見間違えてしまうほどのクオリティです。ボンネットからフロントバンパーにかけて彫り込まれたラインが統一感のある仕上がりとシャープな印象を作り出しており、全幅はヴェイルサイド史上最大レベルの2070mm(純正比プラス205mm)というワイド幅を誇ります。
ヴェイルサイドのスープラ用エアロパーツは、複数のグレードとモデルが用意されており、価格帯も幅広く設定されています。80系スープラ用の基本的なパーツ構成では、フロントバンパースポイラーが92,000円、サイドスカートが81,000円、リアアンダースポイラーが36,000円、リアウイングが92,000〜113,000円となっています。オーバーフェンダーは71,000〜118,000円、エンジンフードは92,000〜123,000円、アイラインは11,000円という設定です。
参考)https://magazine.cartune.me/articles/3710
最も人気の高いコンプリートモデル「4509GTR」は、2011年に誕生したJZA80スープラベースのフルコンプリートエアロで、ボディキット単体の価格は300万円に達します。このキットはかなりのハイプライス設定ですが、海外を含めてすでに100セット以上をデリバリー済みという実績があり、ヴェイルサイドブランドの強さを証明しています。4509GTRはコンプリートカーとしても販売されており、完成車は600万円からという設定でした。シングルフレームグリルを中心とした重厚感溢れるフロントセクションにはアウディR8純正ヘッドライトを使用し、欧州スーパースポーツのようなアピアランスを醸し出します。
参考)Document moved
最新のGRスープラ向け「フォーチュン」ボディキットは、フルコンプリート仕様で264万円という弩級のプライス設定となっています。このキットの製作過程をインスタグラムにアップしたところ、世界中からオーダーに関する問い合わせが舞い込んだといい、世界のセレブリティ達は依然としてヴェイルサイドを求めていることが分かります。グラマラスな立体的造形ラインとアウトレットダクトがピュアスポーツらしい力強さを感じさせ、リヤのワイドフェンダーとドアパネルを結ぶアウタートリムには「鋲」をセットして和を表現するなど、細部にまでこだわりが見られます。
ヴェイルサイド公式のフォーチュンGRスープラの詳細
フォーチュンの製作背景やデザインコンセプトが詳しく解説されています。
ヴェイルサイドのスープラが世界的な知名度を獲得したきっかけは、ハリウッド映画「ワイルドスピード」シリーズへの登場です。2001年に公開された「ワイルドスピード」の1作目に主人公ブライアン刑事(故ポール・ウォーカー)が所有する車として80スープラが登場し、実際の劇中車は55万米ドル(約6000万円)という高額で落札されました。この映画での登場により、ヴェイルサイドのエアロキットは世界中で高い人気を博するようになりました。
参考)https://news.livedoor.com/article/detail/21602533/
ワイルドスピード仕様のレプリカは現在でも高い人気を誇り、2022年にはバレット・ジャクソン カーオークションで11万5500米ドル(約1334万6000円)で落札された事例があります。このレプリカはエクステリア全体にヴェイルサイドのボディキットとリアスポイラー、スピーカーボックスを装着し、インテリアにはスパルコのレーシングシートとステアリングを採用していました。パワートレインは3リッター直列6気筒エンジンにHKS製のターボチャージャー、インタークーラー、エアインテーク、アフターマーケットラジエター、電動ファン2基、カスタムステンレスエキゾーストで強化されています。
参考)1300万円のトヨタ「スープラ ワイスピ仕様」登場! オレン…
最新のGRスープラ向けフォーチュンも、ワイルドスピードを意識したカラーリングが採用されています。横幕代表自身が「エアロパーツのラインでボディカラーを塗り分けて、様々な表情を楽しめるように設計している。このクルマはオレンジとブラックの2トーンにするつもり。ワイルドスピード仕様だね」と語っており、映画の世界観を現代に蘇らせる取り組みが続いています。ヴェイルサイドは「ワイルドスピード」登場車両の製作を手がけたことで培った技術とノウハウを、最新モデルにも活かし続けているのです。
参考)Document moved
コンバットシリーズは、ヴェイルサイドが展開するスープラ用カスタムラインナップの中でも特に人気の高いモデルです。80系スープラを「ヴェイルサイド・コンバット」でイマ風にカスタムした事例では、オーナーにとって2台目となる愛車として長年愛されており、こだわりのポイントが随所に見られます。コンバットシリーズの特徴は、戦闘的なイメージを持ちながらも洗練されたデザインを両立させている点にあり、スポーツカーとしてのアグレッシブさを最大限に引き出すエアロ構成となっています。
参考)https://tasug.jp/matome/golden_ages/veilside-history-2
プラモデルメーカーからも「1/24 ヴェイルサイド 80スープラコンバット」として製品化されており、メーカー希望小売価格2,200円(税込)で販売されています。このような模型化は、ヴェイルサイドのデザインが一般のカーマニアにも広く認知されていることを示しており、自社パーツを装着した車両がフジミ模型、青島文化教材社といったメーカーから幾つかキット化されている実績があります。コンバットシリーズは、ヴェイルサイドの長い歴史の中で培われたデザイン哲学が凝縮されたモデルと言えるでしょう。
参考)1/24 ヴェイルサイド 80スープラコンバット
ヴェイルサイドのスープラを所有する際の維持管理には、通常のカスタムカー以上の注意が必要です。FRP製エアロパーツは、適切なメンテナンスを行うことで長期間美しい状態を保つことができます。定期的な洗車では、FRP表面を傷つけないよう柔らかいスポンジや専用クロスを使用し、研磨剤入りのコンパウンドは避けることが推奨されます。また、直射日光による紫外線劣化を防ぐため、可能な限り屋内保管が理想的です。
オーバーフェンダー装着時には純正リアフェンダーの加工が必要となるため、将来的なノーマル復帰を考える場合は慎重な判断が求められます。ヴェイルサイドのC-Ⅱ MODELオーバーフェンダーは、フロント約2cm、リア約5cmのワイド量を誇り、効果的にワイドでスポーティーな印象を演出しますが、同社製エアロとの相性は抜群となっているため、一緒に取り付けることが推奨されています。車高調整の際も、エアロパーツの地上高を常に確認し、縁石や段差での接触を避けるよう注意が必要です。
参考)JZA80 スープラ ヴェイルサイド C-Ⅱ MODEL オ…
ヴェイルサイドの強みは、切った張ったのワンオフではなく量産を前提としたパーツ作りにあります。つまり、JZA80スープラのベースフレームを加工することなくインストールすることが可能で、これは一般のカスタムショップでは真似できない技術力の証です。横幕代表は「チューニングは外注で行っている」という噂に対して、自社ファクトリーを近隣に持ち、塗装からエンジンパーツ組み立てまでそこで作業していると明言しており、ブランドイメージの構築や「華やかな部分だけを見て欲しい」という思想からその存在を隠してきたと語っています。この一貫した製造体制が、ヴェイルサイドの高品質を支えているのです。
4509GTRの詳細スペックと製作背景
ヴェイルサイドの技術力と100セット以上の販売実績が確認できます。