トヨタ・ヴェロッサは2001年7月から2004年4月まで生産されたFRスポーツセダンです。マークⅡの兄弟車として登場し、クレスタの後継モデルという位置づけでした。車名はイタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」を組み合わせた造語で、情熱の色を車名に込めたエモーショナルセダンとして開発されました。
参考)トヨタ・ヴェロッサ - Wikipedia
開発コンセプトは「エモーショナルセダン」で、落ち着きのある高級車マークⅡに対して、躍動感あるスポーティな性格を持たせることを目指しました。塊から削り出した彫刻のような造形により、躍動感と美しさを表現したエクステリアが最大の特徴です。
参考)ヴェロッサ(トヨタ)の車両情報

タクティー(TACTI) シールキット リヤ V9127-T101 トヨタ ヴェロッサ GH-JZX110 VR25 2500cc 2001年07月~
ヴェロッサには3種類の直列6気筒DOHCエンジンが搭載されていました。すべてのエンジンにVVT-i(可変バルブタイミング機構)が採用され、高い走行性能を実現しています。
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最もパワフルなのは2.5Lターボの1JZ-GTE型エンジンで、280馬力/6200rpm、38.5kgm/2400rpmという自主規制上限値のスペックを発揮します。このエンジンはトヨタ社内で開発されたJZ系をベースにヤマハ発動機が開発および生産したもので、セラミックターボチャージャー2基を組み合わせた名機として知られています。軽量なセラミックタービンにより良好なアクセルレスポンスを有し、ターボラグが極めて小さいのが特徴でした。
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2.5L直噴の1JZ-FSE型エンジンは200馬力/6000rpm、25.5kgm/3800rpmを発生し、2Lの1G-FE型エンジンは160馬力/6200rpm、20.4kgm/4400rpmのパワーを出します。駆動方式はFRと4WDを採用し、トランスミッションは2Lに4速AT、2.5L直噴に5速AT、2.5Lターボには4速ATと5速MTが組み合わされていました。
参考)マークIIとヴェロッサの比較
ヴェロッサのエクステリアは、当時のトヨタ車としては非常に斬新なイタリアンテイスト満載のデザインでした。流麗で洗練されたスタイリングは、当時としてはモダンで先進的であり、「塊から削り出した彫刻のような造形」と表現されています。10人中2人に刺さればいいというデザイン重視のコンセプトで開発されたため、好き嫌いが分かれる個性的な外観となっています。
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インテリアも外観同様に斬新で、センタークラスターから始まる曲線と楕円の金属調リングが特徴的です。ブラック&メタリックで統一された室内には、金属調のリングが配された楕円形のエアコン吹き出し口が目を引きます。メーターは円をモチーフとした大型3連タイプで、立体的なデザインを採用しています。
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夜間のイルミネーションは赤く点灯し、室内照明色を赤色で統一することで情感とスポーティ感を演出しているのも大きな特徴です。シートは人間工学に基づいて立体構成を施したスポーツタイプで、上級グレードでは本革もオプション設定されていました。アルミプレート付きフットペダルやメタル調のスカッフプレートを採用し、スポーティな雰囲気を際立たせています。
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ヴェロッサはマークⅡと同じプラットフォームを共有していますが、性格は大きく異なります。昔のマークⅡ、チェイサー、クレスタと同じ兄弟車の関係で、ヴェロッサはチェイサーの後継という位置づけです。
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両車はフレーム、サスペンション、エンジンといった基本メカニズムは共通していますが、ヴェロッサの足回りはマークⅡよりも固められたスポーティな設定となっています。前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションは同一ですが、チューニングが異なり、より引き締まった「Firm」というキーワードでセッティングされています。
デザイン面では両車は大きく異なり、マークⅡが落ち着きのある高級セダンを目指したのに対し、ヴェロッサは躍動感あるエモーショナルなイタリアンデザインを採用しています。インテリアも完全に別デザインで、マークⅡとは異なる楕円をモチーフとした立体的レジスターとスモークメッキリングにより個性を強調しています。最高出力もヴェロッサが160~300psに対してマークⅡは160~280psと、ヴェロッサの方がわずかに上回っています。
ヴェロッサの中古車相場は2025年7月時点で平均価格が249万円から255万円程度となっています。価格帯は25万円から415万円程度と幅広く、状態や走行距離によって大きく異なります。新車時の価格は229万円から395万円でしたので、発売から20年以上経過した現在でも一定の価値を保っています。
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買取相場については、過去最高買取実績が26.7万円で、グレードや年式によって3.8万円から26.7万円程度となっています。ターボ車以外は比較的安価で取引されており、走行5万kmで50万円程度というケースもあります。特に2.5Lターボの1JZ-GTEエンジン搭載モデルは人気が高く、相対的に高値で取引される傾向があります。
参考)https://kakaku.com/kuruma/used/maker/%83g%83%88%83%5E/%83%94%83F%83%8D%83b%83T/
維持費については、10・15モード燃費が9.4~12.4km/Lとなっており、実燃費はカタログ値の90%程度と想定されます。ターボモデルの燃費は8.3km/L程度で、年間10000km走行した場合の燃料代はハイオクガソリン190円/Lとして約22万8920円になります。2.5L直噴モデルは燃費10.5km/L程度で、年間10000km走行時の燃料代は約17万6190円です。古い車両のため整備費用も考慮する必要がありますが、基本的にはマークⅡと部品が共通のため、外装パーツ以外の整備部品には困らないという利点があります。
参考)トヨタ ヴェロッサの口コミ・クチコミ・評価・評判|中古車なら…
ヴェロッサはFRレイアウトと直列6気筒エンジンを搭載しているため、カスタムやチューニングのベース車両として人気があります。特に1JZ-GTEターボエンジンを搭載したモデルは、ドリフトやサーキット走行を楽しむユーザーから高い評価を受けています。
参考)ヴェロッサ【JZX110改】
代表的なカスタム例としては、BNスポーツなどのエアロパーツ装着、車高調による足回りのセッティング変更、LSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)や強化クラッチといった駆動系の強化が挙げられます。5速マニュアルミッションへの換装も人気のカスタムで、公認取得済みの車両も流通しています。
エンジンチューニングでは、リビルトタービンへの交換、インタークーラーやオイルクーラーの追加、燃料ポンプの強化、ECUの書き換えなどが一般的です。排気系や冷却系の強化も定番メニューとなっています。内装面では社外ステアリングやフルバケットシート、追加メーターの装着が人気です。
チューニングパーツのメーカーとしては、HKS、TRUST、TOMEI、CUSCO、APEXiなどの製品が多く使用されています。F-CON V ProやVX-ROMといったチューニングCPUも選択肢として存在します。基本的にマークⅡやチェイサーと共通のプラットフォームを使用しているため、これらの車種向けパーツが流用できるのも大きなメリットです。
参考)トヨタ ヴェロッサのパーツレビュー|みんカラ