10・15モード燃費と実燃費の差と測定方法

10・15モード燃費と実燃費にはなぜ差が生じるのでしょうか?カタログ値と実際の燃費が異なる理由から、正確な測定方法、燃費を改善するテクニックまでを詳しく解説します。あなたの愛車の本当の燃費を知りたくありませんか?

10・15モード燃費と実燃費

10・15モード燃費と実燃費の基礎知識
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10・15モード燃費とは

1991年に国土交通省が定めた燃費測定方法で、市街地と郊外の走行パターンを想定した試験値です

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実燃費とは

実際に車を走行させて測定した燃費で、ガソリン1リットルあたりの走行距離を表します

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カタログ値との差

10・15モード燃費は実燃費の約63%程度が目安とされ、大きな乖離があります

10・15モード燃費の測定方法と特徴

10・15モード燃費は、シャシダイナモと呼ばれる試験装置上で測定される燃費値です。この測定方法は、市街地を想定した「10モード」と郊外を想定した「15モード」を組み合わせたもので、1991年にそれ以前の10モードに15項目の走行パターンが追加されて誕生しました。10モード燃費測定では、アイドリング状態から始まり、20km/hや40km/hまでの加速、一定速度での走行、減速を繰り返すパターンで構成されています。
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測定条件として、3000kmの慣らし走行後の車両を使用し、完全暖機状態(60km/hで15分暖機後)で測定が行われます。また、搭載電装品は全てOFF状態、エアコンもOFF状態という理想的な環境下で計測されるため、実際の使用状況とは大きく異なります。走行抵抗の設定では、車両の空車状態に110kg(2名乗車分)を加算した重量で計算されます。
参考)10・15モード燃費 - Wikipedia

15モード燃費測定では、アイドリング状態から50km/hや70km/hまでの加速を含む15項目のパターンで測定が実施されます。10モードの走行パターンは都心部の靖国通り、15モードは郊外の甲州街道での走行パターンをモデルにしたとされています。
参考)https://cars-japan.net/fuel/nen02.html

10・15モード燃費と実燃費の乖離が生じる原因

10・15モード燃費と実燃費の間には大きな差が生じることが知られており、一般的に10・15モードの約63%程度が実燃費の目安とされています。この乖離が生じる主な原因は、測定環境と実際の走行環境の違いにあります。具体的には、完全暖機状態での測定は実際のエンジン始動時の燃料消費を考慮していません。
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測定時の速度設定も実際の公道の平均速度よりも低く、加速に掛ける時間も極めて長いため、実際の運転状況を反映していないという問題があります。また、エアコンや電装品が全てOFF状態での測定は、夏場のエアコン使用や音響機器の使用など、日常的な車の使い方とは異なっています。​
運転者の癖や腕による影響も大きく、急発進や急加速を繰り返すと燃費は悪化します。試験を担当するのは運転のプロですが、一般のドライバーとは運転スタイルが異なるため、この点でも乖離が生まれます。渋滞や信号の多い市街地走行、気象条件なども実燃費に影響を与える要因となっています。
参考)燃費表示が10・15モード、JC08モード、WLTCモードと…

10・15モード燃費から現代の測定方法への進化

10・15モード燃費は2011年4月よりJC08モードに変更されました。JC08モードは2006年に策定された日本独自の燃費試験モードで、エンジンが冷えた状態からの測定を含むなど、10・15モードより実際の走行に近い条件で計測されます。JC08モードでは最高速度が81.6km/h、平均速度が24.4km/hと、10・15モードより高速域での測定が含まれています。
参考)https://www.faq.mazda.com/faq/show/6635?category_id=1274amp;site_domain=default

一般的に、JC08モード燃費は10・15モード燃費の約85%に換算できるとされています。例えば10・15モードで30.0km/リッターの車両は、JC08モードでは25.5km/リッター程度の表記となります。さらに2018年秋以降、国際的な測定方法であるWLTCモードが導入されました。
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WLTCモードは市街地モード、郊外モード、高速道路モードの3つの走行モードで測定され、より実際の使用環境に近い燃費値を提供します。測定条件としては、最高速度97.4km/h、平均速度36.4~36.6km/h、測定時間約25分と、JC08モードと比較してより高速で長時間の測定となっています。WLTCモードでは、JC08モードの約70%程度が実燃費の目安とされ、測定精度が向上しています。
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10・15モード燃費時代の実燃費を計算する方法

実燃費を正確に測定するには「満タン法」と呼ばれる方法が最も一般的で信頼性が高いとされています。満タン法の手順は、まずガソリンスタンドで燃料を満タンにし、その時点でトリップメーターをリセットします。次に、給油ランプが点灯するくらいまで通常通り運転してガソリンを消費します。
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再度ガソリンスタンドで満タンになるまで給油し、その際の給油量をレシートなどで記録しておきます。最後に、トリップメーターに表示されている走行距離を給油量で割ることで、実燃費を算出できます。例えば、トリップメーターが300kmを示し、給油量が30リットルだった場合、「300km÷30リットル=10km/L」が実燃費となります。
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この満タン法を定期的に実施することで、運転方法や季節による燃費の変化を把握することができます。また、最近の車両には平均燃費を表示する機能が搭載されているモデルもあり、満タン法と併用することでより正確な燃費管理が可能になります。計算式は「走行距離÷給油量=実燃費(km/L)」というシンプルなもので、誰でも簡単に実施できます。
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10・15モード燃費車の実燃費を改善するテクニック

燃費を改善するための最も効果的な方法は、エコドライブの実践です。発進時には、アクセルを滑らかに踏み込み、エンジンの回転数を上げないよう心がけることが重要で、これは「ふんわりアクセル」と呼ばれています。急発進や急加速は燃料消費が大きくなるため避けるべきで、AT車の場合はアクセルを優しく踏み込んで早めにシフトアップすることで燃費向上につながります。
参考)今日からはじめる燃費向上テクニック - セーフティドライブ・…

走行中は一定速度を保つことが燃費改善のポイントで、先の状況をよく見て無駄な加減速を減らすことが効果的です。赤信号を見つけたら早めにアクセルをオフにしてフューエルカットを活用し、エンジンブレーキで減速することで燃料消費を抑えられます。停車時には、一定時間以上停車する場合はアイドリングストップを実施することも有効です。
参考)4つの走行パターンと燃費(誰でもできるエコ運転術)

エアコンの使用も燃費に大きな影響を与える要因で、特に冷房使用時はコンプレッサーが作動してエンジンに負荷がかかるため、燃費が悪化します。真夏にエアコンをMAXで効かせると、エアコンを使わないときと比べて60%近くも燃費が悪化することがあります。適切な温度設定(日本車の場合は25℃前後)を心がけ、必要以上に低温設定にしないことが重要です。また、タイヤの空気圧を定期的にチェックし、適正値を維持することも燃費改善に効果があります。不要な荷物を車から降ろし、車両重量を軽くすることも地味ながら燃費向上に寄与します。
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国土交通省交通安全環境研究所による公表燃費と実際の燃費の差に関する詳細な研究資料
JAFによる燃費表示の変遷(10・15モード、JC08モード、WLTCモード)に関する公式解説