トヨタ・カローラfxは、ウェッジシェイプを強調したスポーティな2ボックススタイルが特徴です。リアが著しく短く切られた独特のプロポーションは、当時の欧州コンパクトカー市場での競争力を意識した設計となっています。この「ちょん切れた」と称されるリアデザインは、操縦安定性を高めるために低重心ボディとして設計された結果であり、単なる美的追求ではなく機能的な側面を備えています。
3ドアハッチバックボディの採用により、乗用車としての実用性を損なわない範囲で、スポーティなシルエットを実現しています。全長4095mm、全幅1685mm、全高1375mmというボディサイズは、当時のコンパクトカーのクラスを代表するものでした。ボディカラーには全5色が用意され、特に赤色のGTグレードは市場でも目立つ存在として認識されていました。
トヨタ・カローラfxのフラッグシップモデルであるGTグレードには、1.6L直列4気筒DOHC20バルブエンジン（4A-GE型）が搭載されます。このエンジンは最高出力160馬力（118kW）/7400rpm、最大トルク16.5kg・m（161.8N・m）/5200rpmを発生させ、当時の同クラスコンパクトカーの中でも高い性能を誇っていました。
EFI（電子制御燃料噴射装置）の採用により、吸気効率と燃焼効率が最適化され、レスポンシブな加速フィーリングを実現しています。ハイメカツインカムのSJグレードには115馬力のエンジンが搭載され、日常的な移動性能と燃料効率のバランスを重視したユーザー向けの選択肢となっています。さらに低排気量の1.5Lモデルも用意されており、購入時の税金負担や維持費を抑えたい層にも対応していました。
トヨタ・カローラfxの運動性能を最大限に引き出すのが、スーパーストラットサスペンション搭載モデルです。このサスペンション形式は前後ともストラット式コイルスプリングとスタビライザーを装備し、操縦安定性や旋回時のグリップ限界を大幅に高めるよう設計されています。これはスポーティドライビングを志向するドライバーのための装備であり、通常のSJグレードとは異なる操舵フィールと安定性を提供します。
スポーツABSも装備されたモデルも存在し、急ブレーキ時の横転リスクを軽減しながら制動力を確保する技術が組み込まれていました。最小回転半径は4.8mで、都市部での取り回しにも優れています。ラック＆ピニオン式パワーアシスト付きステアリングにより、軽快で正確なハンドリングが実現され、当時のコンパクトカーとしては先進的な走行性能を備えていたのです。
トヨタ・カローラfxのカタログ燃費は、グレードとトランスミッション選択によって大きく異なります。最も優れた燃費性能は、SJグレードの5速マニュアル車で14.6km/Lを達成しており、これはGTグレードの4速オートマチック車（11.0km/L）と比べて3.6km/Lの差が生じています。
GTのスーパーストラットサスペンション搭載5速マニュアル車では12.6km/Lを記録しており、スポーティな走行性能と燃費のバランスが取れた選択肢となっています。実使用での給油情報が集約されたデータによると、実燃費は測定値より0.5～1.5km/L程度低下する傾向が見られており、市街地走行が多いユーザーではさらに燃費が落ちる可能性があります。無鉛プレミアムガソリン仕様で、燃料タンク容量は50リットルとなっており、航続距離はおよそ550～730kmが期待できました。
トヨタ・カローラfxの新車価格帯は1989年発売の初代モデルで99.5万円から始まり、最終モデルの1994年5月版では206.8万円が最高価格となっていました。1994年のGTグレード4速オートマチック車は184.7万円、スーパーストラットサスペンション搭載4速オートマチック車では206.8万円という価格設定でした。
内装はスポーティな雰囲気で統一され、大型専用3連アナログメーターが採用されて視認性の高い運転環境を実現していました。シートは質素ながら上質で、長時間ドライブでも疲労が少ないように設計されています。1990年代のセーフティ技術では先進的な、運転席エアバッグがオプション設定され、全車ハイマウントストップランプが標準装備されました。マルチインフォメーションディスプレイ搭載モデルでは、13項目のシステム異常や警告機能が実装されており、当時としてはハイテクな機能が完備されていたのです。
トヨタ公式ページ：カローラFXのスペック詳細、全グレード、価格、燃費データが網羅されており、歴代モデルの比較も可能です
カーセンサー：カローラFXの中古車相場、レビュー評価、他車との比較情報が充実しており、購入検討時の参考資料として有用です
みんカラ：カローラFXユーザーの給油情報704件から算出された実燃費データが掲載されており、カタログ燃費との乖離を確認できます
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