
クスコ (CUSCO) リミテッドスリップデフ LSD 【 type-RS 】(2&1.5WAY) トヨタ GRヤリス RC GXPA16 4WD 1.6L(ターボ) 6MT (リア用) LSD1C8L2
リミテッドスリップデフ(LSD)は、左右のタイヤに発生する回転差を制限し、駆動力を適正に配分する装置です。通常のオープンデフでは、コーナリング時に内側のタイヤが浮いてしまうと、そちらに駆動力が逃げてしまい、本来必要な外側タイヤへのトラクションが失われます。LSDはこの問題を解決し、抜けがちな駆動輪をメカニカルにフォローすることで、意のままにクルマを曲げる性能を実現します。
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コーナリング中の車両では、外側タイヤは内側タイヤよりも遠回りの軌跡を描くため、より速く回転する必要があります。オープンデフではこの回転差を吸収しますが、どちらかの駆動輪の負荷が抜けてしまうと回しやすい方へと駆動力を配分してしまう構造のため、インリフトでタイヤが空転すると駆動力が逃げてしまうのです。LSDはトラクションが抜けた側とは反対のタイヤにきっちりと駆動力を分配する役割を持ち、デフの作動を限定的に制限することで「リミテッド」という名が付いています。
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スポーツ走行においてLSDは必須の機構であり、以前はバキバキ言うとか曲がらなくなるというマイナスの認識もありましたが、今ではその性能も大きく向上しています。駆動輪のトルクを確実に路面に伝えるLSDは、特にハードな旋回性能が要求されるラリーやジムカーナ走行においては必須のパーツとなっています。
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機械式LSD(多板クラッチ式)とトルセン式LSDは、どちらもトルク感応型に属しますが、内部構造と性能特性が大きく異なります。トルセン式はヘリカルギヤが噛み合う構造で、騒音が少なくメンテナンスフリーということから純正採用されていますが、利きの面では機械式に比べ劣ります。一方、機械式は薄いプレートが重ねられている構造で、本来のLSDらしさと自身の腕と好みに合わせてセッティングできるのが最大のメリットです。
参考)https://www.maruhamotors.co.jp/advice/lsdlecture.htm
機械式LSDには1WAY、1.5WAY、2WAYという3つの作動方式があります。1WAYはアクセルON時にのみ利き、自然で扱いやすく「付けてる感」は希薄なため、AWD(MT車)のフロントには最適な選択です。1.5WAYはアクセルON時にLSD効果を発揮し、アクセルOFF時にはわずかに利きを残す絶妙な配分で、AWDのリアに相性が良いとされています。2WAYはアクセルのON/OFF問わずどちらでも利くため、手なずけるだけの運転スキルも必要とされる競技用として理解されています。
トルセン式LSDは静かさとメンテナンスフリー、専用オイルを必要としないなど手間はかかりませんが、利きの面では多板式に比べ劣ります。機械式LSDは動作する度に摩耗粉が発生するため、走行距離でおおよそ3,000〜5,000kmごとのデフオイル交換が必要です。また、街乗り主体の使い方ではおおよそ3万kmごと、競技での使用は最低年1回の分解整備が推奨されています。
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| 項目 | 機械式LSD | トルセン式LSD |
|---|---|---|
| 構造 | 多板クラッチ式 | ヘリカルギヤ式 |
| 効きの強さ | 強力で調整可能 | マイルド |
| 騒音 | バキバキ音が発生 | 静か |
| メンテナンス | 3,000〜5,000km毎のオイル交換必須 | メンテナンスフリー |
| セッティング | 1WAY/1.5WAY/2WAYで調整可能 | 調整不可 |
| 適用シーン | サーキット・競技向け | 街乗り・普段使い向け |
リミテッドスリップデフは、コーナリング時に左右タイヤの回転差を制限することで、駆動力を路面に効果的に伝達します。スポーツ走行では、コーナー内側輪がわずかに浮いているような空転状態となり、本来かかるべきトラクションが内側輪にはかかっていません。LSDは左右輪の回転差を抑えつつデフの作動を制限させることで、パワーを適正に駆動輪に伝えることができます。
参考)https://www.cusco.co.jp/products/2010/03_lsd_p155_p220/03_lsd_p160_p161.pdf
FF車(前輪駆動車)のフロントデフをオープンデフからLSDに変えると、ハンドルを切った方向に進もうとするため回頭性が向上します。交差点を曲がるときの挙動やちょっとしたカーブでステアリングを切ったときの車の曲がり方などが大きく変わるので、今までの感覚とはまたひと味違った感じで楽しめます。街乗りすら楽しくなり、通常の走行には特に問題はありません。
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ラリーやジムカーナなどの競技シーンでは、LSDの効果がより顕著に現れます。このちょっとした効果がコーナリング毎に起きるとラリーで100コーナーあると0.2秒程度のタイム短縮でも20秒の差を付けたぶっちぎりの展開に持って行けるとされています。高速コーナーでは特に威力を発揮し、サーキット走行においては必須の装備となっています。
参考)https://ameblo.jp/ypp-rally/entry-12804464459.html
リミテッドスリップデフは、雪道やぬかるみなどの悪路走行時にも大きな効果を発揮します。オープンデフの車両では、グリップを失った車輪のみが空転し、早く回っている車輪に際限なく駆動がかかり、残りの車輪は全く駆動しなくなります。これにより「0対2」の状態となり、前へ進む力がなくなってしまいます。LSDはこれを防ぎ、もう一方の車輪も駆動させることで走破性を高めます。
参考)『FF車にLSD装着だと、雪道や凍結路の走行性は4WDと..…
雪道や凍結路の登坂では、グリップを失う・空転するのが大きな問題となりますが、LSDを装着していれば構造的に駆動する車輪が増えるわけではないものの、車輪が空転した時には駆動配分が改善され、実際に車が走れている道路では大きな差が生まれます。管理されている道路なら深雪でもその下に圧雪路面があればだいたい走れるようになります。
ハイエースなどのワンボックス車では、悪路走破性を向上させる効果が特に重要視されています。LSDを装着していれば、スタック体験でも車は脱出しやすくなり、横風に対しても強くなるとされています。ぬかるみなどの悪路では本領を発揮し、純正オープンデフよりも格段にトラクション性能が向上します。また、高速道路走行時には左右タイヤの回転差を制限することで、ミニバンやハイエースなどの重心の高いクルマでも安定性が向上します。
参考)【初心者必読】LSDを入れると何が変わる? 走りも安心感もア…
機械式LSDは動作する度に摩耗粉が発生するため、適切なメンテナンスが性能維持の鍵となります。走行距離でおおよそ3,000〜5,000kmごとのデフオイル交換が必要であり、サーキット走行などの連続高負荷運転後は、その度にオイル交換をすることが推奨されています。オイル交換を怠ると、摩耗粉がLSDの動作に悪影響を及ぼし、性能低下の原因となります。
参考)機械式LSDの管理方法を身につけよう! 使い方に関わることを…
機械式LSDは正しく使っていても内部部品の摩耗・劣化により性能が低下していきます。クラッチ板などの摩耗が限界に達すると当然ながら正常な動作ができないため、定期的に分解して内部部品の交換が必要です。街乗り主体の使い方ではおおよそ3万kmごと、競技での使用は最低年1回の分解整備が推奨されています。
| 使用用途 | オイル交換頻度 | 分解整備の目安 |
|---|---|---|
| 街乗り主体 | 3,000〜5,000km毎 | 3万km毎 |
| サーキット走行後 | 走行後毎回 | - |
| 競技使用 | 競技前後 | 最低年1回 |
クラッチ板に加えておく与圧(イニシャルトルク)は比較的低下しやすいため、動作に違和感を感じるようになったらイニシャルトルクの測定と調整を行い、適切な状態を保つようにする必要があります。一方、トルセン式LSDはメンテナンスフリーで、通常のデフオイル交換と同じタイミングでのメンテナンスが可能です。機械式LSD向けのギアオイルはオープンデフにも使えますが、反対にオープンデフ向けのギアオイルを機械式LSD搭載車に使うのは推奨されていません。
LSDの慣らしについては、OS技研によると「一般道を300km程、普通に走れば完了。ただし、3000kmで一度オイル交換して欲しい」とされています。超低速時で街角を曲がるとき(一時停止で左右を確認しながら道に出る、Uターン、駐車時、ビルの中の駐車場やスロープを走るとき)などで、いきなりトルクがかかり、想定外の動きをするときがあるため、慣れるまでは注意が必要です。また、効きが強いほど「バキバキ」という作動音も大きくなり、街乗りで交差点を曲がる時や車庫入れをする時などに音が発生します。
参考)LSDの威力(街乗り~峠走行編):RAVE ロードスター

クスコ ( CUSCO ) リミテッドスリップデフ LSD 【 type-RS 】 (1.5WAY) ホンダ S2000 LSD 380 L15