日本車が「強い」と思って現地を訪れたら、会場の6割が中国EVで埋まっていた。
タイ国際モーターエキスポ(Thailand International Motor Expo)は、毎年11月末から12月上旬にかけてバンコク近郊のノンタブリ県ムアントンタニにある大型コンベンション施設「IMPACTチャレンジャーホール」で開催される、タイ最大規模の自動車・二輪車展示販売会です。
2025年開催の第42回を数えるほど歴史が深く、第1回は1984年にまで遡ります。毎回40以上の自動車ブランドと15以上の二輪車ブランドが参加し、最新モデルや注目の電動車両を一堂に集める場となっています。
来場者数という点では圧倒的な規模を誇ります。2025年開催では12日間で152万1,296人が来場しました。これは東京モーターショー(現ジャパンモビリティショー)の来場者数に匹敵し、東南アジア最大級の自動車イベントとして国際的にも注目されています。
単なる「見る」展示会ではない点も特徴です。日本のモーターショーとの最大の違いは、会場での「商談・受注」が主目的となっている点にあります。2025年は会期中に乗用車7万5,246台、二輪車5,263台の販売予約を成約しており、平均販売価格は112万2,347バーツ(約561万円)に達しました。これは東京ドーム(収容約5万5,000人)を約27個ぶん埋め尽くせるほどの規模に相当するほどの経済効果とも言えます。
開場時間は平日が12時〜22時、土日・祝日は11時〜22時と長く、仕事帰りや週末に家族連れで訪れるスタイルが一般的です。入場料は100バーツ(約500円)という手頃な設定で、誰もが気軽に足を運べるよう設計されています。
JETROによる第42回タイ国際モーターエキスポ2025のレポート(中国ブランドの販売台数・シェア詳細)
会場となるIMPACTムアントンタニは、バンコク中心部(スクンビット界隈)から北西へ約20〜25kmほど離れた場所に位置しています。車で高速道路を使えばおよそ30〜45分ですが、開催期間中は会場周辺が大渋滞になることで有名です。
実際に2025年開催時には、開幕翌日(11月30日)に会場周辺の道路が完全に麻痺状態となり、ライドシェアアプリを使ってもドライバーが周辺渋滞を理由にキャンセルするほどの混雑が報告されました。これは注目すべき点です。
公共交通機関でのアクセスが現実的です。バンコク地下鉄(MRT)ブルーラインのタランデーン・バンパイ駅からシャトルバスが無料運行されており、この無料シャトルバスを利用するルートが最もストレスが少ないとされています。また、会場内には複数の有料駐車場があるものの、週末は満車状態になることも多く、遠方の駐車場から歩く必要が出てくることもあります。
開催中の服装・マナーについて補足すると、2025年は主催者がタイ国内の服喪期間(ラーマ9世崩御の追悼行事など)に配慮した演出を求め、出展者・来場者にも黒や落ち着いた色の服装を推奨するという異例のガイドラインが出されました。これは海外からの観光客には盲点になりやすいポイントです。渡航前に現地の社会的背景を確認しておくことが大切です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開催場所 | IMPACT Challenger Halls 1〜3(ノンタブリ県ムアントンタニ) |
| 開催時期 | 毎年11月末〜12月上旬(約12日間) |
| 開場時間 | 平日12:00〜22:00 / 土日祝11:00〜22:00 |
| 入場料 | 100バーツ(約500円) |
| アクセス | MRTブルーライン最寄り駅よりシャトルバス(無料) |
| 2025年来場者数 | 152万1,296人(12日間) |
Motor Expo公式サイト(会場情報・開場時間・2026年開催日程などの最新情報)
2025年のモーターエキスポで最も注目を集めた現象は、中国系EVブランドの圧倒的な台頭です。つまり「タイの自動車市場は今や中国系が主導している」という現実が数字で証明された年と言えます。
ブランド別の販売予約台数を見ると、1位トヨタ(1万872台)、2位ホンダ(6,278台)と日系が上位を死守したものの、3位以降はBYD(6,212台)、OMODA&JAECOO(5,217台)、GAC(5,019台)、GEELY(4,831台)、MG(4,827台)、GWM(4,609台)、DEEPAL(4,586台)と中国系が続きました。上位10ブランドのうち7ブランドが中国系という構図は、2022年時点(中国系3ブランド)から比べると激変の一言に尽きます。
国籍資本別のシェアで整理するとさらに鮮明です。
中国系は2024年に日系を初めて逆転したあと、2025年には差がさらに拡大しました。これは衝撃的な数字ですね。
一方で、日系メーカーも手をこまねいているわけではありません。トヨタは2025年に10年ぶりの全面刷新となる新型ピックアップ「Hilux Travo」のEV版(149万バーツ)を投入し、bZ4X(159万バーツ)も以前では考えられなかった価格帯で市場に投じました。ホンダはEVを中国生産モデルで補完し、マツダも電動セダン「Mazda 6E」を披露するなど、各社がEVシフトを本格化させた回でもありました。
重要なのが「価格帯の変化」です。2025年のエキスポの平均販売価格は前回比で約1割下落し、112万2,347バーツとなりました。中国系ブランドが積極的な値引きキャンペーンを展開したことが要因のひとつとされており、消費者にとっては割安感が生まれたイベントになっています。
2025年モーターエキスポの国別シェア詳細分析(2023〜2025年のトレンド比較あり)
2025年のエキスポで特に来場者の関心を集めたモデルをカテゴリー別に整理します。販売予約ランキングで上位に入ったモデルは以下のとおりでした。
このラインナップから読み取れる重要なトレンドがあります。それは「日系はHEV(ハイブリッド)で勝負、中国系はBEV(純電気)で勝負」という棲み分けです。
SUVが全体の58.4%を占めてカテゴリー首位に立ち、セダンが27.8%、MPVが7.6%、ピックアップが4.5%と続きました。タイはピックアップの聖地と言われてきた市場ですが、SUVへの需要シフトが急速に進んでいることも分かります。
EVが全体の50%を占めた点も見逃せません。タイ政府の「EV 3.0補助政策(2025年末終了)」と「2026年からの新物品税適用」が購入タイミングを前倒しさせ、EV需要を一時的に押し上げた側面があります。補助政策の終了後にどれほどEV需要が持続するかが、2026年のエキスポを占う鍵になりそうです。
また、BYDについては2025年エキスポで台数を前年より落として3位に後退しました。理由としては、トヨタの本格的な巻き返し、GelyなどBYDの独壇場だった低価格帯への競合参入、そして「BYD一強時代の終焉=競争の激化」が挙げられます。これは面白いですね。
バンコク週報によるモーターエキスポ2025の全ブランド別予約台数ランキング(38ブランド掲載)
日本国内ではあまり語られない視点として、モーターエキスポを「ビジネス機会の場」として活用する動きが広まっています。単純な観光や自動車愛好家向けのイベントにとどまらず、東南アジア・ASEAN市場を調査したい法人・個人にとっても価値ある場となっています。
たとえばカノラマジャパンなどの市場調査会社が「Motor Expo視察ツアー」を組んで販売しており、現地の自動車市場動向をリアルに把握したいビジネスパーソンが参加しています。東京から直行便でバンコクに飛び、1〜2日間現地視察をして帰国するという短期集中型のスタイルが人気です。費用は渡航費込みで1人30〜50万円程度が相場とされています。
現地を実際に訪問するうえで知っておくと役立つ点が3つあります。
第一に「週末は早朝から行動すること」です。先述のように土日は会場へのアクセスが極端に悪化します。午前11時の開場直後を狙うか、平日の12時〜15時台に訪れるのが混雑回避の定石です。
第二に「ブランドごとのキャンペーン内容を事前にチェックすること」です。エキスポ期間中は各ブランドが金利0%ローンや購入特典(アクセサリーパッケージ、無料点検など)を会場限定で展開します。特に中国系ブランドは会期末2日間に追加値引きを出すケースが多く、最終日近くに交渉するのがお得な買い方とされています。
第三に「試乗エリアの混雑に注意すること」です。一部のブランドは敷地外に試乗コースを設けており、人気モデルは数時間待ちになることもあります。試乗を目的に来場するなら開場直後の平日が最も待ち時間が短いです。
2026年の第43回モーターエキスポは、2026年12月1日(プレスデー&開幕式)、12月2日(グランドチャリティーデー、入場100バーツ)、12月3日〜13日(一般公開日)という日程で、引き続きIMPACTチャレンジャーホールでの開催が告知されています。自動車業界・ASEAN市場に関心のある方は、早めに渡航計画を立てておくと、現地の旅程もスムーズに組めるでしょう。
MarkLinesによるタイ国際モーターエキスポ2025の詳細レポート(全出展ブランドと技術動向の専門分析)

VekAuto エンジンモーターマウント 三菱エキスポ LRV 1994対応 耐摩耗性 メタル ブラック エンジンマウント