自動車の保管場所の確保等に関する法律第11条とは罰則や違反ケースを解説

道路を車庫代わりに使用したり、長時間駐車すると車庫法第11条違反となり厳しい罰則が科せられます。知らないうちに違反していませんか?

自動車の保管場所の確保等に関する法律第11条

📋 車庫法第11条の重要ポイント
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道路使用の禁止

道路上の場所を自動車の保管場所として使用することは法律で禁止されています

長時間駐車の制限

日中12時間以上、夜間8時間以上の連続駐車は違反行為に該当します

⚖️
厳格な罰則規定

違反すると罰金刑や懲役刑が科され前科がつく可能性があります

自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)第11条は、道路を自動車の保管場所として使用することを禁止する重要な規定です。この法律は昭和37年に制定され、道路の適正な利用と交通の円滑化を目的としています。具体的には、何人も道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならないと定めており、違反した場合には厳しい罰則が科せられます。
参考)https://yamanakahieidaira.net/180110shakohou.pdf

車庫法第11条の違反は、一般的な道路交通法違反とは異なり、反則金制度が適用されません。そのため、違反が発覚すると警察での取り調べ、書類送検、簡易裁判という刑事手続きを経て罰金刑が確定することになり、前科がつく可能性があるため注意が必要です。
参考)車庫法違反の罰則と刑事処分:知っておくべきポイント

自動車の保管場所法第11条第1項の禁止事項


自動車ビジネス
車庫法第11条第1項では「何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない」と明確に規定されています。これは道路を車庫代わりに使用する行為、いわゆる「青空駐車」を禁止するものです。道路とは、道路法に規定する道路および一般交通の用に供するその他の場所を指し、私有地であっても不特定の人や車が自由に通行できる状態になっている場合は道路として扱われます。
参考)青空駐車の罰則&路上駐車の反則金を分かりやすく解説

違反した場合の罰則は非常に厳しく、3ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金が科されます。さらに運転免許の違反点数も3点加算されるため、ドライバーにとって大きな影響があります。この罰則の重さは、道路を車庫として使用する行為が社会的に許容されない悪質な行為であることを示しています。
参考)罰則 警視庁

自動車保管場所法第11条第2項の長時間駐車規制

第11条第2項では、道路上での長時間駐車を具体的に禁止しています。第1号では「自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為」、第2号では「自動車が夜間(日没時から日出時までの時間)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為」が禁止されています。
参考)Q.車庫法違反を取り締まってもらう方法は?│通報・検挙につい…

この規定に違反した場合、20万円以下の罰金に処せられ、運転免許の違反点数2点が加算されます。日中と夜間で時間が異なる理由は、夜間の方が交通量が少なく違反の発見が難しいこと、また住民の生活環境への影響が大きいことが考慮されているためです。なお、日中12時間と夜間8時間の両方の時間帯にまたがって駐車している場合、両方の違反が重複して適用される可能性があります。
参考)https://ai-iro-jp.blue/2016/10/24/jidosha-no-hokan-basho-no-kakuho-to-ni-kansuru-horitsu/

車庫法第11条違反の罰則と刑事処分の流れ

車庫法第11条違反が発覚した場合、一般的な交通違反とは異なる厳格な手続きが進められます。まず警察により違反状態が確認されると、出頭通知が届きます。指定された日時に警察署に出頭し、調書が作成された後、簡易裁判が行われます。処分が確定するまでには約1ヶ月程度かかり、悪質なケースでは検察へ書類送検され正式な裁判に進むこともあります。​
罰金刑や懲役刑が確定すると前科が記録されるため、就職や資格取得に影響が出る可能性があります。また、道路交通法違反のような反則金制度は適用されないため、必ず刑事手続きを経ることになります。過失による違反であっても故意とみなされるケースが多く、「知らなかった」という弁解は通用しにくいのが実情です。
参考)車庫の使用場所を偽って申請すると・・・

自動車保管場所の虚偽申請と車庫飛ばしの罰則

車庫法では第11条の道路使用禁止だけでなく、虚偽の保管場所証明申請、いわゆる「車庫飛ばし」も厳しく取り締まられています。虚偽の自動車保管場所証明申請を行い、運輸支局において自動車登録を行った場合、20万円以下の罰金に処せられます。車庫飛ばしとは、実際に車を保管する場所とは異なる場所で車庫証明を取得し、車検証に記載された住所と実際の保管場所が一致していない状態を指します。
参考)虚偽の車庫証明申請による罰則。車庫法の両罰規定をご存知ですか…

保管場所が変更になった場合は、変更日から15日以内に保管場所届出を行う必要があります。この届出を怠ったり虚偽の届出をした場合も、10万円以下の罰金が科されます。引っ越しで駐車場が変わった場合、借りていた駐車場が変更になった場合、引っ越しにより駐車場が自宅から2km以上離れてしまった場合などが違反になりやすいケースです。
参考)引っ越しでの車庫証明の手続き| 忘れたらどうなる? 住所変更…

自動車の保管場所要件と2km規制の実務

車庫証明を取得するためには、自動車の使用の本拠地(個人の場合は自宅、法人の場合は事業所)から保管場所まで直線距離2km以内でなければならないという要件があります。この距離は道路に沿って測った長さではなく、地図上での直線距離で測定される点に注意が必要です。かつては500mという厳しい要件でしたが、自動車販売会社等からの要望により2kmに緩和された経緯があります。
参考)車庫証明の保管場所の要件とは?2kmルールや駐車場の条件を名…

保管場所として認められるには、この距離要件に加え、自動車が支障なく入出庫できる広さがあること、道路上の場所でないこと、保管場所として使用する権原を有していることなどの条件も満たす必要があります。もし引っ越しによって保管場所が2kmを超えてしまった場合は、新たに2km圏内の駐車場を確保し、15日以内に変更届を提出しなければなりません。
参考)車検証の住所変更をせずに15日過ぎたらどうなる?対応方法を紹…

車庫法違反を防ぐための注意点と対策

車庫法第11条違反を防ぐためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。まず、引っ越しや駐車場の変更があった場合は必ず15日以内に保管場所届出を行うことです。手続きを忘れると10万円以下の罰金が科される可能性があります。また、警察署の窓口受付は平日午前8時30分から午後4時30分までとなっていることが多いため、時間に余裕を持って手続きを行いましょう。
参考)車庫証明の手続きをしないとどうなる?注意点・罰則規定について…

道路での長時間駐車については、たとえ自宅前であっても12時間以上(夜間は8時間以上)の連続駐車は違反となります。やむを得ず一時的に道路に駐車する必要がある場合でも、時間制限を厳守し、できるだけ早く適切な保管場所に移動することが重要です。火災や出水などやむを得ない事情で保管場所を使用できない場合は、警察署長に届け出ることで一時的な道路使用が認められるケースもありますが、これは例外的な措置です。
参考)車庫証明関係法令

車庫法違反の実例と警察の取り締まり実態

車庫法第11条違反の取り締まりは、近隣住民からの通報がきっかけとなることが多くあります。日中12時間または夜間8時間駐車している状態を写真撮影し、証拠として警察に提出することで違反の構成要件が整います。ただし、所管の警察署によって受け付けてくれる場合と受け付けない場合があり、対応にはばらつきがあるのが実情です。
参考)車庫法とは?罰則の流れや取り締まりの実情についても解説|旧車…

実際の違反事例としては、マンションやアパートの駐車場契約をせず路上に常時駐車しているケース、引っ越し後に車庫証明の変更手続きを怠っているケース、希望するナンバーを取得するために虚偽の住所で車庫証明を取得するケースなどがあります。特に悪質な車庫飛ばしについては、ディーラーが組織的に関与している場合もあり、事業者には行政処分や営業停止のリスクも伴います。
参考)車庫飛ばしとは?違法行為のリスクと罰則を徹底解説

最高裁判例では、車庫法第11条第2項の罪について故意の有無が争点となったケースがあり、路上継続駐車の罪の主観的要件について判断が示されています。このように車庫法違反は単なる行政処分ではなく刑事事件として扱われるため、十分な注意が必要です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e12f950afd9a473590a901cedc5248b3125564a3

警視庁公式サイトの車庫法違反の罰則一覧
車庫法第11条の詳しい罰則内容と違反点数については、警視庁が公開している公式情報で確認できます。虚偽申請、不届け、道路使用、長時間駐車のそれぞれの違反類型と対応する罰則が一覧表示されており、自動車を所有する方にとって重要な参考資料となります。

 

車庫証明の虚偽申請による両罰規定の解説
車庫飛ばしの具体的なケースと罰則規定について、行政書士による詳細な解説が掲載されています。どのような場合に虚偽申請とみなされるのか、両罰規定とは何か、法人と個人の責任の違いなど、実務的な観点から理解を深めることができます。

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