非常点滅表示灯は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第41条の3で定義される車両装備です。故障、事故、盗難などの非常時に、他の交通に対して危険を警告し、自動車の存在を知らせるための点滅型の表示灯です。この装置は交通事故を未然に防ぎ、道路上での安全を確保する極めて重要な役割を担っています。
保安基準における非常点滅表示灯の規定は、単なる光源の装備ではなく、灯光の色、明るさ、点滅のパターン、取付位置、そして操作方法に至るまで、実に細かく定められています。これらの基準を満たさない製品は、いかに優れた性能を持っていても車両への装備は認められません。特に業界では、この基準への適合性が製品開発の大前提となっており、各自動車メーカーは厳格な検査を経て認可を得ています。
保安基準では、原則として全ての自動車に非常点滅表示灯の装備を義務付けています。しかし、いくつかの例外があります。二輪自動車や側車付二輪自動車、幅0.8メートル以下の小型自動車、最高速度が時速40キロメートル未満の自動車、およびカタピラやそりを有する軽自動車は装備義務が除外されます。また、これらの自動車により牽引される被牽引自動車についても、同様に装備義務は適用されません。
この除外規定の背景には、車両の構造上の制限や、実用性の観点から装備が困難であることが挙げられます。特に二輪車については、ハザードランプが古くから装備されているにもかかわらず、法令上の義務化がなされていないという背景があり、業界内でも一度の議論の対象です。一方、大型特殊自動車についても、工事現場での使用形態を考慮した配慮がなされています。
灯光の色は、保安基準の中でも特に厳密に定められています。基本的には黄色または橙色が標準色として規定されていますが、特別な条件下では異なる色の使用が許可されます。例えば、点滅を前方に表示するための灯火は白色または乳白色、点滅を後方または後側方に表示するための灯火は赤色とすることができます。これは、交通の流れ方向に応じた視認性を最大化するための工夫です。
明るさについては、点滅を表示する方向30メートルの距離から表示部の形状が確認できることが基準となります。この基準値は、実際の道路交通状況を想定した厳密な検査基準に基づいており、単なる明るさだけでなく、形状認識の可能性まで含めた総合的な評価が求められます。さらに、灯器が損傷していたり、レンズ面が著しく汚損している場合は、保安基準を満たさないものと判定されるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
非常点滅表示灯は、全ての灯火が同時に作動する構造であることが必須要件です。左右対称に取り付けられた灯火については、同時に点滅する構造が求められ、この場合の連鎖式点灯では、一つ以上の光源が点灯を開始した時点で点灯状態と判断されます。対を成す灯火の点灯位相は対称である必要があり、片方が先に消えるなどの非対称な動作は保安基準違反となります。
基本的に、非常点滅表示灯は手動操作によるものでなければならないと規定されていますが、例外として、緊急制動表示灯の作動停止時、衝突事故時、運転者異常時対応システムの作動時、盗難防止装置の設定・解除表示時、そして自動運行装置による信号発生時には、自動作動が許可されています。特に盗難防止装置については、3秒を超えない範囲での点滅使用が認められており、業界でも一般的に活用されている機能です。
非常点滅表示灯の取付位置は、方向指示器に関する規定を準用する形で定められており、車体の特定の位置に固定されることが求められます。照明部、個数、取付位置の測定方法については、別添94「灯火等の照明部、個数、取付位置等の測定方法」に詳細が規定されており、この測定基準に従った厳密な検査が実施されます。
指定自動車等に備えられたものと同一の構造を有し、同一の位置に備えられた非常点滅表示灯であって、その機能を損なう損傷等がないものは、自動的に保安基準に適合するものと見なされます。また、法第75条の3第1項に基づき灯火器等の装置指定を受けた自動車に備える灯火と同一構造、または準ずる性能を有するものについても認可されます。このような規定により、後付けや交換時の手続きが簡潔になっており、メーカー互換性も確保されています。
道路運送車両の保安基準の詳細について(国土交通省)。
第41条の3「非常点滅表示灯」の法令規定
非常点滅表示灯の技術基準書(国土交通省)。

Vilenstark 回転灯 ソーラー&USB充電対応 回転 点滅 LED警告灯 非常信号灯 表示灯 防水シェル SOS 1個