キルスイッチをOFFにしたまま何度もセルを回すと、バッテリーが一気に上がって出先で3万円超の修理費がかかることがあります。
バイクのエンジンがかからないとき、最も多い原因のひとつがバッテリートラブルです。セルボタンを押したときに「カチカチ」「ジジジ」という音だけして動かない、もしくは無音という場合は、まずバッテリーを疑いましょう。
バッテリーの状態を確認する最も正確な方法は、電圧計(テスター)を使うことです。エンジン停止時に12V〜13Vあれば正常ですが、11V以下になるとセルモーターを動かすのに必要な電気が足りません。ヘッドライトやウインカーが点灯してもバッテリーが弱い場合はあるので、「電気がついてるから大丈夫」とは言い切れないのがポイントです。
冬場は特に注意が必要です。気温が下がるとバッテリー内部の化学反応が鈍くなり、性能が最大30%ほど低下するケースがあります。夏は問題なく始動できていたバッテリーでも、冬の朝だけエンジンがかからないという症状が出ることがあります。バッテリーの一般的な寿命は2〜3年程度です。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| セルを押しても無音 | バッテリー完全放電 | ジャンプスタートまたは交換 |
| 「カチカチ」音がする | バッテリー電圧低下 | 充電または交換 |
| セルの回転が弱い | バッテリー劣化・低温 | 充電・暖機・交換 |
| ライトが暗い | バッテリー不足 | 充電確認 |
バッテリー交換の費用は、バッテリー本体代(2,000〜10,000円)+工賃(1,000〜20,000円)で、合計10,000〜15,000円程度が相場です。車種や排気量によって差があります。
キャブレター車であれば押しがけによる応急対処が可能な場合もあります。2速か3速にギアを入れてクラッチを切り、バイクを押して速度が乗ったらクラッチをつなぐ方法ですが、スリッパークラッチやバックトルクリミッター搭載車には使えません。また、現代のインジェクション車では押しがけは困難と考えるべきです。
つまり、バッテリーは消耗品として計画的に交換することが基本です。
出先でのバッテリー上がりに備えるなら、ポケットサイズのジャンプスターターを積んでおくと安心です。7,000〜13,000円程度で購入でき、バイク単体でもエンジン始動が可能になります。
【グーバイク】バイクのバッテリー充電・交換費用の目安を詳しく解説
久しぶりにバイクに乗ろうとしてエンジンがかからない場合、ガソリンの劣化が原因であることが非常に多いです。これは知らないと見落としやすい落とし穴です。
ガソリンはタンク内であれば半年〜1年ほどは使用できるとされています。ただし、キャブレター内部に溜まったガソリンは話が別で、3ヶ月ほどで腐り始めます。屋外駐車や高温多湿の環境ではさらに早く劣化が進みます。劣化したガソリンはタール状(チョコレートのような粘度)になり、キャブレターのジェット類に詰まってガソリンの流れを妨げます。
劣化ガソリンの見分け方は色と臭いです。正常なガソリンは淡い黄色で独特の刺激臭がありますが、劣化すると茶色〜黒っぽくなり、酸っぱいような臭いに変わります。タンクキャップを開けてスマートフォンのライトで照らすと、ある程度の判断ができます。
キャブレターが詰まった場合の修理費用は、オーバーホール工賃で20,000〜80,000円程度になることもあります(気筒数や車種による)。単純に古いガソリンを抜いて新しいものに入れ替えるだけでは解決しないケースも多く、費用が大きくなりがちです。痛いところですね。
インジェクション車でも長期放置すればインジェクターが詰まるリスクがあります。インジェクション=メンテナンスフリーと思い込むのは危険です。
長期保管前の対策として、キャブレター車はドレンボルトからキャブ内のガソリンを抜いておくことが有効です。燃料コックのある車種はOFFにしておきましょう。また、ガソリン添加剤(劣化防止剤)をタンクに入れておく方法も、保管前の選択肢として知られています。
【Bike Life Lab】ガソリンは腐る?消費期限の目安と悪影響について
スパークプラグは、混合気(ガソリン+空気)に火花を飛ばしてエンジンを動かすための部品です。このプラグが正常に機能しないと、セルが回ってもエンジンに火が入りません。スパークプラグが原因でエンジンがかからないパターンは大きく分けて2種類あります。
ひとつは「プラグかぶり」です。エンジンをかけてすぐに止める操作を繰り返したり、チョークを引きすぎたりすることで、プラグの先端がガソリンで濡れてしまい火花が飛ばなくなります。冬場に短距離走行を繰り返すライダーに起こりやすい症状です。対処法は、プラグを取り外してウエスで拭き取り、乾燥させてから戻すことです。
もうひとつは「プラグの寿命による劣化」です。大手プラグメーカーのNGK(日本特殊陶業)は、バイクのプラグ交換目安として走行距離3,000〜5,000kmを推奨しています。交換を怠ると、エンジン始動不良のほかにアイドリング不安定・加速の鈍化・燃費悪化などの症状が出てきます。プラグ交換が基本です。
プラグ交換にかかる費用は以下の通りです。
自分でプラグを外して確認する場合は、プラグレンチ(専用工具)が必要です。外したプラグを車体の金属部分に当て、キルスイッチをOFFにした状態でセルを回せば火花が飛んでいるか目視確認できます。ただし、感電防止のためにプラグ本体ではなくプラグキャップを持って作業しましょう。
迷ったら新品に交換するのが確実です。
【バイクマン】古くなったバイクのプラグを交換しないとどうなる?寿命の目安と費用
セルが回るのにエンジンがかからない場合、意外に多い原因がキルスイッチのOFFです。これは初心者だけの話ではありません。普段キーOFFでエンジンを止めている経験豊富なライダーほど陥りやすいと言われています。
キルスイッチはハンドル右側に設置されたエンジン強制停止スイッチで、走行中の緊急時やエンジン停止に使います。何かの拍子に触れてしまったり、駐車中にヘルメットをミラーに引っ掛けた際に接触してOFFになることがあります。また、いたずらでOFFにされているケースも報告されています。
キルスイッチの厄介な点は、OFFになっていてもセルは普通に回ってしまうことです。エンジンがかからないのに焦ってセルを回し続けると、その消費でバッテリーが一気に上がってしまうリスクがあります。これが大きなデメリットです。セルを回しても「キュルキュル」音だけしてかからないなら、まっさきにキルスイッチを確認しましょう。
また、現代のバイクにはエンジン始動を制御するセーフティ装置が複数ついています。
これらは全て安全のための装置なので、焦らず一つずつ確認するのが原則です。
エンジンがかからないときの確認順序として、①キルスイッチON確認、②サイドスタンド収納確認、③ニュートラル確認、④クラッチ握り確認、という手順を頭に入れておくと、出先でのトラブルでも冷静に対応できます。これだけ覚えておけばOKです。
【ヤングマシン】バイクのエンジンがかからない原因と対処法|セルが回る・回らない場合の対応を網羅
半年以上バイクに乗っていなかった場合、エンジンがかからない原因は1つではなく複数が重なっていることが珍しくありません。これが「久しぶりに乗ろうとしたら動かなかった」という状況の厄介なところです。
バイクを放置した期間別に起きやすいトラブルを整理すると、以下のようなイメージになります。
特に盲点となるのが、ガソリンとバッテリーとプラグが同時にトラブルを起こしているケースです。バッテリーを交換したからといってすぐにエンジンがかかるとは限りません。長期放置のバイクの修理をショップに依頼した場合の費用は、複合トラブルだと軽く5万〜10万円以上になるケースもあります。
長期保管前に行う対策として、以下の5つが鉄則です。
再始動の際にエンジンがかからなければ、まずバッテリー電圧の確認、次にガソリンの状態確認、そしてプラグの確認という順番で進めるのが効率的です。
どうしても自分での対応に自信がないとき、出先でエンジンがかかって動けなくなったときに頼りになるのがロードサービスです。バイク専用の任意保険にロードサービスが付帯しているか、加入前に確認しておくことをおすすめします。レッカー搬送・バッテリー上がりの応急対応・ガス欠時のガソリン補給など、出先のトラブルをカバーしてくれます。
【2りんかん】バイクが動かない!7つの原因別対処法と予防策まとめ

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