eHEV 仕組み 2モーター 効率 走行

ホンダが開発したe:HEVシステムは、従来のハイブリッド車とはどう異なるのか。2つのモーターで低速から高速まで自動切り替えするe:HEVの技術的仕組みについて、搭載部品や走行モードから徹底解説。このハイブリッドシステムが実現する高い燃費性能の秘密とは何でしょうか?

e:HEV 仕組みのモーター 効率

ホンダe:HEVの技術革新
2モーターシステムの革新性

e:HEVは走行用と発電用の独立した2つのモーターを搭載。従来のハイブリッドとは異なり、複雑な動力分配機構を排除したシンプル設計が高効率を実現

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3モード自動切り替え機能

EVモード、ハイブリッドモード、エンジンモードを走行状況に応じて知能的に自動切り替え。ドライバーの操作に関係なく最適な動力配分を実行

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市街地と高速の使い分け

低・中速ではシリーズ方式でモーター走行。高速クルーズではエンジン直結で走行。これがe:HEVの最大の特徴で、シリーズ方式とパラレル方式の長所を兼ね備える

e:HEV 仕組みの走行用モーター駆動システム

 

e:HEVの走行用モーターは駆動軸と直結された構造になっており、エンジンと独立して動作します。この独立性が、複雑な動力分配機構を必要としない理由です。発進時の低速域から最大トルクを瞬時に発生できるモーターの特性を、フリクションロスなく活用することで、スムーズで応答性に優れた加速を実現しています。

 

特筆すべき点は、走行用モーターに重希土類フリー磁石が採用されていることです。レアアース資源の供給リスクを軽減しながら、高出力特性を維持しているのは業界における差別化要因となっています。減速時には同じモーターが発電機として機能し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生機能を担当。この二重機能設計が、e:HEVの効率性を大きく向上させています。

 

参考資料:ホンダe:HEVの走行用モーターについて詳細な技術情報を掲載
ホンダ公式 e:HEVハイブリッドシステム技術解説

e:HEV 仕組みの発電用モーターとエンジン連携

発電用モーターはエンジンと直結され、エンジンの出力軸を直接駆動します。エンジンが最も効率よく回転する領域で一定速度で回転させられるため、ガソリンの燃焼ロスを最小化できます。このモーターがエンジンの機械出力を電気エネルギーに変換し、走行用モーターへ電力供給するとともに、バッテリーの充電も並行して実行します。

 

従来のシリーズ・パラレル方式とは異なり、e:HEVではこの発電用モーターの役割が非常に限定的かつシンプルです。複雑な制御を要しないため、システム全体の信頼性が高く、メンテナンスコストの低減につながります。加速時には発電用モーターの回転数を制御することで、エンジン出力の最適化を自動で行う仕様になっており、ドライバーが意識することなく効率的な発電が継続されます。

 

e:HEV 仕組みにおけるアトキンソンサイクルエンジンの効率性

e:HEVに搭載されるエンジンはアトキンソンサイクルを採用しており、これは熱効率が約40%に達する高効率エンジンです。通常のオットーサイクルエンジンと異なり、膨張行程を延長することで、燃焼ガスの持つエネルギーをより多く取り出す仕組みになっています。

 

さらに、直噴システムを組み合わせることで、燃料を直接シリンダー内に噴射し、無駄なく燃焼させます。このアトキンソンサイクルエンジンは、高速クルージング時にエンジン直結モードで最も効率の良い回転域で動作するよう設計されているため、従来のハイブリッド車のエンジンとは異なり、常に効率的な運用が可能です。

 

興味深い点として、e:HEVではこのエンジンが発電に専念する期間が長いため、エンジンの効率性がシステム全体の燃費性能に直結します。だからこそ、ホンダはアトキンソンサイクルというやや特殊なエンジン方式を採用したわけです。エンジン単体の熱効率を最大限に引き出す設計思想が、e:HEV全体のコンセプトに貫通しています。

 

e:HEV 仕組みの電力制御ユニット(PCU)と高電圧バッテリー

パワーコントロールユニット(PCU)は、バッテリーの直流電流を交流に変換するパワードライブユニット(PDU)と、走行用モーターの要求電圧に応じて最大650Vまで昇圧するボルテージコントロールユニット(VCU)を搭載しています。この高度な電圧制御が、走行用モーターの瞬時のトルク応答を実現しています。

 

バッテリーパックはリチウムイオン電池で、制御用ECUと一体化した電源ユニットとして機能します。特に重要なのは、バッテリーの充放電効率が高いという特性です。EVモード走行時だけでなく、ハイブリッドモードでの急加速時にも安定した電力供給が可能です。バッテリー残量が少ないときはEVモードを自動制御で制限し、過放電を防ぐ仕様になっており、バッテリーの長期耐久性を確保しています。

 

e:HEV 仕組みにおけるエンジン直結クラッチと高速走行での効率革命

e:HEVの秘密兵器ともいえるのが、エンジン直結クラッチです。低・中速ではシリーズ方式で走行しますが、高速クルージング時にはこのクラッチが作動し、エンジンの出力軸をタイヤの駆動軸に直接つなぎます。これにより、エンジンのパワーがモーターを経由せず直接車輪に伝わるため、エネルギーロスが最小限に抑えられます。

 

この機構がない従来のシリーズ方式では、高速クルーズでもエンジンが発電機を回し続け、その電力でモーターを高回転させる必要があります。結果として、エンジン出力の大部分が電気エネルギー変換時に失われてしまいます。一方、e:HEVではエンジンが直結される高速走行域で、アトキンソンサイクルエンジンの最高効率領域を活用でき、その領域はマニュアルトランスミッションのトップギア相当のギア比に設定されています。

 

意外かもしれませんが、この直結クラッチの存在こそが、ホンダがe:HEVをシリーズ・パラレル方式と区別する最大の理由です。複雑な動力分配機構ではなく、シンプルな機械的クラッチ一つで走行モード切り替えを実現する設計の妙が、e:HEVの高さを証明しています。

 

参考資料:高速走行時のエンジン直結機構について詳しく解説
ホンダe:HEVと日産e-POWERの比較解説記事

e:HEV 仕組みの3つの走行モード自動制御

e:HEVの高い燃費性能を支える基盤が、3つの走行モードの知能的な自動切り替えです。最初のEVモードは、発進から街中走行まで、バッテリーの電気のみでモーター駆動します。ドライバーのアクセル操作とモーターのパワー出力を緻密に制御することで、スムーズかつレスポンスに優れた走りを実現しています。

 

次のハイブリッドモードは、エンジンの力で発電した電気によってモーターを駆動しますが、加速が必要な場面ではバッテリーからも電力を供給して、パワフルな加速を可能にします。アクセル操作に応じた加速度とエンジン回転数のバランスを最適化することで、ドライバーがリニアな加速感を感じられるように設計されています。

 

最後のエンジンモードは、高速クルーズ時に活動するモード。少ない駆動力で走行できるこの環境では、モーターを高回転させるよりもエンジン走行の方が効率よく走行できるため、エンジンの力をタイヤ駆動軸に直結してロスを最小化します。さらに、減速時や下り坂ではEV回生モードが作動し、タイヤの回転で走行用モーターを逆回転させて発電し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換、バッテリーに蓄えます。

 

この4つのモード(EVモード・ハイブリッドモード・エンジンモード・EV回生モード)が、走行条件に応じて自動で切り替わる制御システムこそが、e:HEVの真の仕組みといえます。ドライバーは減速セレクターを使って減速の強さを4段階で手動調整することも可能で、山道でのエンジンブレーキ感覚を得られます。

 

参考資料:e:HEVの走行モード制御システムについて
ホンダカーズ岐阜によるe:HEV解説

 

 


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