電波法改正2025で車のドライバーが知るべき周波数オークション導入と無線局免許デジタル化の影響

2025年10月から施行される電波法改正により、周波数オークション制度が導入され無線局免許状がデジタル化されます。車載器への影響やドライバーが注意すべき点を解説。最新の制度変更を把握して安心してドライブしませんか?

電波法改正2025の主要変更点

2025年電波法改正の3つの柱
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周波数オークション制度の導入

6GHz超の高周波数帯で価格競争による周波数割当を開始。26GHz帯の5G利用が対象に。

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無線局免許状の完全デジタル化

2025年10月1日から紙の免許状を廃止し、インターネット上で閲覧可能に。

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電波利用料制度の見直し

落札金を周波数移行や共同利用の促進に充当し、電波の有効活用を推進。

2025年4月25日に公布された電波法及び放送法の一部を改正する法律により、日本の電波利用制度が大きく変わります。この改正は2025年10月1日から段階的に施行され、通信インフラの発展と電波の有効利用を目的としています。
参考)【2025年10月施行】電波オークション制度とは?電波法改正…

改正の最大の特徴は、6GHz超の高周波数帯について価額競争(オークション)による周波数割当制度が新設されることです。これまで日本では周波数の割当は総合評価方式で行われてきましたが、26GHz帯や40GHz帯などのミリ波帯域については入札で最も高い価格を提示した事業者に割り当てる方式に変更されます。この制度により、限られた資源である電波の経済的価値が明確になり、より効率的な利用が促進されることが期待されています。
参考)電波政策の動向に関する説明会を開催 (2025年7月31日 …

また、無線局の免許状等が完全にデジタル化され、2025年10月1日以降は紙の免許状が発行されなくなります。従来は紙で交付されていた免許状が、総務省のシステムに記録される免許記録そのものが法的効力を持つようになり、免許人はインターネット上で自分の免許内容を閲覧できるようになります。
参考)アマチュア無線局免許状、2025年10月から完全電子化へ——…

総務省の報道資料。
無線局の免許状等のデジタル化等に関する報道資料

電波法改正2025の周波数オークション制度とは

周波数オークション制度は、通信や放送に利用される周波数帯域の利用権に関して入札を実施し、最も高い価額を提示した事業者に対して割り当てる仕組みです。日本では初めての導入となり、当面は6GHz超の高周波数帯が対象となります。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/001029229.pdf

具体的には、26GHz帯(25.25~27GHz)が最初の対象周波数帯となり、2025年度末までの割当が目指されています。総務省が2025年5月に実施した利用意向調査では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなどの大手通信事業者を含む9者から回答があり、都市部の高トラフィックエリアやスタジアム、大規模イベント等での利用が想定されています。
参考)26GHz帯の電波オークション、実施方法を検討へ 総務省が作…

オークション方式の導入により、以下のメリットが期待されています:​

  • 電波の有効利用促進:落札者は投下資本を回収するため効率的に電波を活用
  • 免許手続きの透明性確保:価額競争実施指針が事前に公表され基準が明確化
  • 国の財源確保:落札金が新たな財源となり周波数移行などに活用可能

一方で、落札金の高騰による事業者負担の増加や、資金力のある事業者による寡占化の懸念もあります。総務省では、新規事業者や地域事業者の参入促進措置として、周波数枠の取り置き(set aside)や入札クレジット(割引措置)などの検討も進めています。​
制度の詳細解説。
電波オークション制度の詳細(契約ウォッチ)

電波法改正2025による無線局免許のデジタル化手続き

2025年10月1日から、無線局の免許状等が完全にデジタル化され、紙の免許状は発行されなくなります。この変更は、政府全体で推進している「デジタルファースト原則」に基づくもので、行政手続の迅速化や効率化、コスト削減を目的としています。
参考)(総務省)無線局の免許状等のデジタル化について

デジタル化の具体的な内容は以下の通りです:​

  • 法的効力の変更:総務省システムに記録される免許記録そのものが法的効力を持つ
  • 閲覧方法:免許人等はインターネット上で免許等の内容を閲覧可能
  • 既存免許:2025年10月1日より前に交付された紙の免許状も引き続き有効
  • 手数料改正:施行日に無線局の免許等の手続の手数料が改正

アマチュア無線局を含むすべての無線局が対象となり、2025年10月1日以降に交付される新しい免許状はすべて電子化されます。これまで手元に届いていた紙の免許状が発行されなくなるため、免許情報の確認方法が大きく変わります。​
免許人は総務省の「電波利用電子申請システム」を通じて、自分の免許記録をオンラインで確認できるようになります。マイナンバーカードと連携した認証システムも活用され、セキュリティを確保しつつ利便性が向上します。​
総務省の免許デジタル化ページ。
無線局の免許状等のデジタル化について(総務省)

電波法改正2025が車載機器ドライバーに与える影響

2025年の電波法改正は主に通信事業者向けの制度変更であり、一般のドライバーが使用するETC車載器、カーナビ、ドライブレコーダーなどの車載機器には直接的な影響はありません。今回の改正では周波数オークション制度や無線局免許のデジタル化が中心であり、車載器の使用規制は含まれていません。
参考)今さら聞けない ETC 2022年/2030年問題~旧規格の…

ただし、車載器に関連する電波法の規制として、ドライバーが注意すべき「ETC 2022年問題」と「ETC 2030年問題」は別途存在します。2022年問題は2005年の電波法改正(スプリアス規制強化)に基づくもので、2007年以前の旧規格で製造された一部のETC車載器が2022年12月1日以降使用できなくなる問題でした。ただし、この問題の影響を受ける機種は限定的で、2007年以前の車載器でも多くは新規格に対応しています。
参考)ETCが使えなくなるって本当? 2022年問題と2030年問…

一方、2030年問題はセキュリティ規格の変更により、より広範囲のETC車載器が影響を受ける可能性があります。国土交通省は新しいセキュリティ規格の導入を発表しており、対象となる車載器は管理番号や識別マークで確認できます。
参考)現在使用しているETC車載器が使えなくなる!? 古い車載器を…

現在使用中の車載器については以下の点を確認しましょう:​

  • 製造年の確認:セットアップ申込書または機器裏側で管理番号を確認
  • 識別マークの確認:新旧セキュリティ対応の識別マークをチェック
  • メーカーへの問い合わせ:不明な場合は各メーカーのサポートに確認

電波法違反で旧規格の車載器を使用した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。​
ETC車載器の確認方法(国土交通省)。
ETC車載器のスプリアス規格について(国土交通省)

電波法改正2025とドライブレコーダー規制の関連性

電波法改正2025とは別に、2025年4月から貨物軽自動車運送事業者(黒ナンバー車)を対象としたドライブレコーダーの装着義務化が施行されました。これは電波法改正ではなく、貨物自動車運送事業法の改正によるもので、EC市場の拡大に伴う配送需要の増加と事故件数の増加を背景としています。
参考)ドライブレコーダー2025年法規制の全変更点と対応方法|Lu…

ドライブレコーダーの装着義務化は、軽貨物運送業界の安全対策強化を目的としており、以下の技術基準が設けられています:​

  • 2カメラ一体型:前方と車内の両方を記録できること
  • 高画質記録:FullHD(200万画素以上)対応
  • 夜間撮影機能:STARVIS 2などの技術搭載で低照度環境でも鮮明な映像
  • GPS機能:位置情報や速度情報を記録
  • 衝撃検知機能:事故発生時に自動で録画を保存
  • 駐車監視機能:駐車中の記録も可能

この規制は貨物軽自動車運送事業者が対象であり、一般ドライバーには適用されません。しかし、一般ドライバーにとってもこれらの基準を参考に高性能なドライブレコーダーを選ぶことで、万一の事故時により確実な証拠を残すことができます。
参考)【軽貨物ドライバー必読!2025年4月法改正で軽貨物運送業に…

また、ドライブレコーダーが電波干渉を起こす場合がありますが、これは電波法の規制とは別の技術的な問題です。電波干渉を防ぐには、アルミホイルで電磁波の放出を防ぐ、ノイズフィルターを使用する、設置場所を変更する、電波干渉を起こしにくい機種を選ぶなどの対処法があります。
参考)ドラレコが電波干渉を起こす原因と対処法について解説車両管理シ…

軽貨物運送事業の安全対策(国土交通省関連)。
国土交通省公式サイト

電波法改正2025年以降のカーナビ通信環境への影響予測

電波法改正2025により導入される周波数オークション制度は、将来的に車載器の通信環境にポジティブな影響を与える可能性があります。特に5Gの26GHz帯が新たに割り当てられることで、高速大容量通信が可能になり、コネクテッドカーやカーナビゲーションシステムの性能向上が期待されます。
参考)総務省、電波オークション制度創設へ 改正法が成立 - 日本経…

26GHz帯の5G利用により、以下のような車載通信の進化が見込まれます:​
📱 高トラフィックエリアでの通信安定化
都市部やスタジアム、大規模イベント等での超高速通信が実現し、カーナビのリアルタイム交通情報がより正確になります。​
🚗 V2X通信の高度化
Vehicle-to-Everything(V2X)通信が高速化し、車両間通信や路車間通信がスムーズになることで、安全運転支援システムが向上します。​
🤖 AI・IoT活用サービスの拡大
AI・IoTを活用したサービスの普及に伴うトラヒックの増加に対応し、自動運転技術の発展を支える基盤が整います。​
総務省が2025年5月に実施した利用意向調査では、携帯電話事業者だけでなく、設備シェアリング事業者や地域事業者も26GHz帯の活用を検討しています。これにより、地域BWA(Broadband Wireless Access)のトラヒック対策や広域的な利用が可能になり、地方部でも高速通信環境が整備される見込みです。​
ただし、26GHz帯のオークション実施は2025年度末を目途としており、実際のサービス開始は2026年以降になる見込みです。一般ドライバーが恩恵を受けるのは数年後となる可能性が高いですが、長期的には車載通信環境の大幅な改善が期待できます。
参考)総務省、5Gの26GHz帯オークション実施へ - ケータイ …

また、無線LAN(Wi-Fi)の高度化も進められており、5.2GHz帯の上空利用が法制化されるなど、車内でのWi-Fi利用環境も向上していきます。
参考)電波法−5.2GHz帯無線LANの上空利用の法制化|日本|国…

5Gの技術動向(総務省資料)。
総務省情報通信政策