地方揮発油譲与税法と車のガソリン税配分仕組み

ガソリンを給油するたびに払っている地方揮発油税が、どのように都道府県や市町村に配られ、私たちの暮らす地域の道路財源となっているかご存知ですか?

地方揮発油譲与税法とガソリン税の配分

📊 地方揮発油譲与税の基本構造
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国税としての徴収

ガソリン1リットルあたり5.2円(暫定税率適用時)の地方揮発油税を国が徴収し、地方揮発油譲与税として全額を地方自治体に配分します

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都道府県への配分(58%)

総額の58%が都道府県および指定都市に、道路の延長と面積を基準に按分されて譲与されます

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市町村への配分(42%)

残りの42%が市町村に対し、市町村道の延長と面積を基準として按分され、地域の道路整備財源となります

地方揮発油譲与税法は、ガソリンに課税される地方揮発油税を地方自治体に譲与するための法律です。この制度により、国が徴収した地方揮発油税の全額が都道府県と市町村に配分され、地域の重要な財源となっています。
参考)地方揮発油税 - Wikipedia

ガソリン価格には揮発油税48.6円と地方揮発油税5.2円の合計53.8円(暫定税率適用時)が含まれており、これらを総称してガソリン税と呼ばれています。地方揮発油税の本則税率は4.4円ですが、暫定税率として0.8円が上乗せされ、現在は5.2円となっています。
参考)ガソリン暫定税率廃止はどうなる?ガソリン税の内訳や二重課税に…

地方揮発油譲与税の都道府県と市町村への配分割合

地方揮発油譲与税の配分は、総額の58%が都道府県および指定都市に、残り42%が市町村に譲与される仕組みです。都道府県分については、一般国道・高速自動車国道・都道府県道の延長と面積を基準に按分されます。
参考)https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/08/1375425882.pdf

市町村分は、各市町村が管理する市町村道の延長と面積によって按分されますが、人口や道路の種類・幅員などによる補正も行われています。この配分基準により、道路が多い地域ほど多くの譲与税を受け取れる仕組みとなっています。
参考)e-Gov 法令検索

令和7年度の地方揮発油譲与税の総額は約3,077億円が見込まれており、地方自治体の重要な財源として機能しています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000624019.pdf

地方揮発油譲与税の使途と道路整備財源

平成21年度の道路特定財源の一般財源化に伴い、地方揮発油譲与税の使途制限は廃止されました。それまでは道路整備のみに使途が限定されていましたが、現在は条件や制限なく自由に使用できる一般財源となっています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000576562.pdf

しかし実態としては、配分基準が道路の延長と面積であることから、地方揮発油譲与税の大部分は道路財源に用いられています。地方自治体は道路等の行政サービスの供給にかかる財源として、この譲与税を活用している状況です。
参考)地方揮発油譲与税譲与金|静岡県公式ホームページ

総務省「地方譲与税について」では、地方揮発油譲与税を含む各種譲与税の制度概要が詳しく解説されています

地方揮発油譲与税法の歴史と制度改正

地方揮発油譲与税法は、もともと地方道路税を財源とする地方道路譲与税として昭和30年に創設されました。昭和29年度に第1次道路整備五箇年計画がスタートし、揮発油税が道路整備のための特定財源とされたことに始まります。
参考)https://www.hido.or.jp/itsapq/jsp/auth/trab/no90/report-18-24.pdf

平成21年4月1日、道路特定財源制度の廃止に伴い、地方道路税が地方揮発油税に改称され、法律名も地方道路譲与税法から地方揮発油譲与税法に改正されました。この改正により使途制限が廃止され、一般財源化が実現しています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000320200.pdf

令和16年度からは、揮発油税から地方揮発油税に税源移譲が行われ、その増額分が新譲与分として都道府県に配分される予定です。この新譲与分は自家用乗用車(登録車)の課税台数で按分されることになっています。
参考)https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/589267_4865407_misc.pdf

地方揮発油譲与税の計算方法と譲与時期

地方揮発油譲与税の税額は、揮発油1キロリットルにつき5,200円(暫定税率適用時)の税率で計算されます。1リットルに換算すると5.2円となり、これに揮発油税48.6円を合わせた53.8円がガソリン税として徴収されています。
参考)https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/575275.pdf

譲与時期は年3回に分けて行われ、第1期が6月(3月~5月分)、第2期が11月(6月~10月分)、第3期が3月(11月~2月分)となっています。各期ごとに、道路台帳に基づく道路の延長と面積のデータを使用して、各自治体への譲与額が算定されます。
参考)e-Gov 法令検索

都道府県知事および指定市の長は、道路の延長と面積に関する資料を総務大臣の定めるところにより提出する義務があり、これに基づいて正確な配分計算が行われています。​

地方揮発油譲与税と車ユーザーの負担の関係

自動車ユーザーが負担する税金の総額は、令和7年度の当初予算で約8.6兆円にも及び、国全体の租税収入の8.1%という高い水準です。このうち、地方揮発油税の税収は約2,114億円とされており、車を運転する人々が直接的に負担している税金です。
参考)暫定税率廃止が地方財政に与える影響は|ヤット

ガソリン価格の約4割は税金が占めており、レギュラーガソリンが1リットル170円の場合、ガソリン税53.8円が含まれています。もし暫定税率が廃止されれば、平均的なガソリン消費量の家庭では年間7,000円~9,670円の家計負担が軽減されると予測されています。
参考)ガソリンの課税と補助金 | 税理士法人シグマパートナーズ

しかし、暫定税率の廃止により地方揮発油譲与税が15.4%減少すると、日本全国の市町村合計で約136億円の収入が減少することになります。このため、自動車ユーザーの税負担軽減と地方財政の安定確保のバランスが重要な政策課題となっています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/001030561.pdf

財務省「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料」では、最新の税率や制度の詳細が確認できます