Vモーショングリルは2010年6月に発売された初代ジュークから採用が始まりました 。当初のVモーショングリルは、エンブレム周りを囲むように小さくデザインされた控えめなものでした 。この時点では、既存のグリルにV字パーツを組み込んだ形で、統一性よりも個別車種のデザインを重視した採用方法でした 。
参考)Vモーショングリルとは?日産車に採用されているフロントフェイ…
初代ジュークのVモーショングリルは立体感を持たせたデザインが特徴で、シグネチャーLEDタイプのポジションランプと組み合わせることで新世代の日産車デザインテーマを表現していました 。2014年7月のマイナーチェンジでは、より太いデザインに変更され、Vモーションの存在感がさらに強調されました 。
参考)ジューク
2013年は日産がVモーショングリルを本格的に全車種展開し始めた重要な年でした。2013年6月には4代目マーチ後期型のマイナーチェンジでVモーショングリルが採用され 、同年12月には3代目エクストレイルがフルモデルチェンジでVモーションシェイプを導入しました 。
参考)日産・マーチ K13 - Wikipedia
マーチでは、フロントグリルにVシェイプのメッキ加飾が加えられ、フロントの日産CIもフロントグリルに組み込まれる形でデザインが一新されました 。このマイナーチェンジにより、初期型よりも好評を得ることができました 。エクストレイルでは「Vモーションシェープ」としてグリルからエンジンフードへつながるデザインが採用され、ブーメラン型のLEDヘッドランプシグネチャーと組み合わせることで都会的なデザインに進化しました 。
参考)エクストレイル(日産)2013年12月〜2022年6月販売終…
2014年から2017年にかけて、日産の主要車種に順次Vモーショングリルが採用されていきました。2016年11月には2代目ノート後期型がマイナーチェンジでVモーショングリルを採用し、レンジエクステンダーのe-powerにはVモーションに沿ってブルーラインの加飾が施されました 。
参考)Vモーショングリルで印象チェンジ!日産ノートe-POWERの…
同じく2016年11月には商用モデルのADが車名を「NV150」に改めるマイナーチェンジで、グリル内では未塗装ながらVモーショングリルが採用されました 。2017年9月には電気自動車のリーフが2代目にフルモデルチェンジした際にVモーショングリルを採用し、グリル全体を囲む大きく目立つデザインに変更されました 。これらの展開により、日産の主要ラインナップにVモーショングリルが定着していきました。
2022年11月に発売された最新セレナを皮切りに、日産は「デジタルVモーション」という新世代のグリルデザインを導入しました 。デジタルVモーションは従来のV字型メッキパーツによる直接的な表現から、細い横型のメッキやLEDランプに分解することで「0と1」というデジタルな表現に進化させたものです 。
参考)「デジタルVモーション」で日産が表現したいものとは
2023年4月にマイナーチェンジした軽自動車ルークスで初めて「デジタルVモーション」の名称が正式発表され 、その後デイズ、ノート、ノートオーラにも順次採用されています。現在では4車種に採用されており、セレナやキャラバンにも似たようなデザインが取り入れられています 。横長のヘッドライトとシームレスに融合させることで、フロントビュー全体をワイドに見せる効果も持っています 。
参考)日産「新型ノート」初公開! 3年ぶり大刷新でhref="https://kuruma-news.jp/post/725487" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/725487quot;斬新顔href="https://kuruma-news.jp/post/725487" target="_blank">https://kuruma-news.jp/post/725487quot;に! …
日産がVモーショングリルを統一デザインとして採用した背景には、ブランドアイデンティティの確立という明確な意図がありました。Vモーション以前の日産は、セダン、クロスオーバー、トラック、EV、ミニバンなど5パターンものグリルデザインが存在し、統一性が見えない状況でした 。
参考)【2017 デトロイトショー】【インタビュー】日産の新型コン…
トヨタの「キーンルック」、レクサスの「スピンドルグリル」、三菱の「ダイナミックシールド」、マツダの「魂動デザイン」など、他の自動車メーカーが統一的なデザインアイコンを採用する中で、日産も自社ブランドを象徴するデザインの必要性を感じていました 。約7年前から検討を始め、約5年前にショーカーに仕立てて、すべて一貫してVモーションの統一を進めたのです 。この戦略により、2017年時点でほとんどの車種にVモーショングリルが採用され、日産の顔として定着しました 。