FT1 トヨタ コンセプトカー デザイン スープラ

トヨタFT-1は2014年に発表された未来のスポーツカーを示すコンセプトカーで、現在のGRスープラのデザインベースとなった革新的なモデルです。その魅力的なデザインと技術的特徴について詳しく解説しますが、果たしてどのような秘密が隠されているのでしょうか?

FT1 トヨタ コンセプトカー 完全解説

FT-1の基本情報
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コンセプトカーの位置づけ

2014年デトロイトモーターショーで発表された未来のスポーツカーデザイン

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デザインの特徴

曲線美とレースカーの力強さを融合した革新的なスタイリング

パフォーマンス

493PS/58.8kg・mのパワーを発揮する高性能エンジン搭載

FT1 トヨタ コンセプトカー 誕生の背景

トヨタFT-1は、2014年1月の北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)で世界初公開されたコンセプトカーです。車名の「FT」は「Future Toyota(未来のトヨタ)」を意味し、「1」は「頂点」を表現しています。このネーミングからも分かるように、トヨタが描く未来のフラッグシップスポーツカーとしての位置づけが明確に示されています。

 

デザインを担当したのは、トヨタの北米デザイン拠点である「Calty Design Research(キャルティ)」です。同拠点の創立40周年という節目の年に開発されたこのコンセプトカーは、「Caltyの集大成」として位置づけられています。

 

開発チームは、1967年に登場した伝説的なスポーツカー「2000GT」をはじめ、「セリカ」「スープラ」「FT-86」といったトヨタのスポーツカーの歴史を紐解きながら、その情熱を注ぎ込んでデザインしました。

 

興味深いことに、FT-1の開発当初は現在のGRスープラを想定してデザインされたわけではありませんでした。当時は「未来のトヨタのFRフラッグシップスポーツカーはどうあるべきか」をコンセプトに掲げてデザインされており、その後にスープラの復活プロジェクトと結びついたという経緯があります。

 

FT1 トヨタ デザイン 革新的な外観

FT-1の最も印象的な特徴は、その革新的なエクステリアデザインです。全体的なフォルムは曲線美を強調しつつも、レースカーらしい力強さを表現しています。

 

フロントデザインの特徴

  • 大胆な形状のフェンダーを備えた印象的なフロントフェイス
  • 高い運動性能を予感させる切れ味の鋭いデザイン
  • 大きく張り出したノーズが特徴的

サイドビューの魅力

  • フロント・サイドガラスのカーブ形状は2000GTを彷彿とさせるデザイン
  • コックピットは車両中央から後方に配置され、FR車の重量配分向上を図っている
  • クラシックスポーツカーのようなスタイリングを採用

リアデザインの機能性

  • 最適空力をイメージしたダイナミックな吸排気口
  • 可動式のリアウイングを装備
  • テールランプまわりのエアアウトレットダクトやバンパー下のディフューザーなど、空力性能を追求

実際のサイズは、グランツーリスモ6でのスペックによると全長4,675mm×全幅1,970mm×全高1,225mm、ホイールベース2,740mmとなっています。これは現在のGRスープラと比較すると二回り近く大きなサイズで、最も近いサイズ感の車はレクサスのLCだそうです。

 

FT1 トヨタ エンジン スペック 詳細

FT-1のパワートレインについては、公式な詳細スペックは明かされていませんが、グランツーリスモ6での設定では非常に興味深い仕様となっています。

 

グランツーリスモ6でのスペック

  • 最高出力:493PS/7,000rpm
  • 最大トルク:58.8kgf・m/3,000rpm
  • 車両重量:1,320kg
  • パワーウエイトレシオ:2.68kg/PS
  • 駆動形式:FR
  • 吸気形式:TB(ターボ)

実際の展示車両では、ボンネットの一部がスケルトンになっており、エンジンの様子を確認することができます。展示車両のエンジンは比較的コンパクトで、世界的なダウンサイジングターボの流れを考慮すると、2リッター直4ターボエンジンが現実的な選択肢として考えられています。

 

興味深いことに、FT-1のエンジンルームを詳しく観察すると、吸気の経路であるエアクリーナーホースが分岐していることが確認できます。これは直列6気筒エンジンではなく、V型エンジンの搭載を想定していたことを示しており、当時のRC-Fなどに搭載されていた2UR-GSEエンジンなどが候補として考えられていた可能性があります。

 

FT1 トヨタ スープラ 関係性と影響

FT-1と現在のGRスープラとの関係は非常に深く、多くの共通点が見られます。GRスープラのデザインのベースとなったのがこのFT-1ですが、制約のないコンセプトカーであるFT-1の方がより伸びやかなプロポーションを実現しています。

 

スープラとの共通デザイン要素

  • フロントフェイス周りのライトユニット形状
  • グリルの開口部デザイン
  • リップスポイラーの形状
  • サイドのシルエットに見られる2000GTの影響

FT-1独自の特徴

  • より大型のボディサイズ(フラッグシップとしての迫力)
  • V型エンジンの搭載想定(スープラは直6)
  • より自由度の高いデザイン表現

現在のGRスープラでは、コンセプトを完全に再現できていない部分もあります。例えば、ダクトの開口部やライトユニットの分離構造など、量産化の制約により実現できなかった要素も存在します。

 

デザイナーによると、FT-1の開発時点では「スープラといえば直6」という認識があったため、エンジン形式の違いがFT-1とスープラの大きな差別化ポイントとなっています。

 

FT1 トヨタ グランツーリスモ ゲーム内での活躍

FT-1の特筆すべき点の一つは、発表翌日という異例の速さでプレイステーション3向けドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモ6」に登場したことです。これは自動車メーカーとゲーム業界の連携として画期的な出来事でした。

 

グランツーリスモシリーズでの展開

  • グランツーリスモ6:発表翌日に車両データを配信
  • グランツーリスモSPORT:Cr.50,000,000で購入可能
  • グランツーリスモ7:継続して収録

さらに興味深いのは、2014年8月に「FT-1 ビジョングランツーリスモ」というレーシングモデルが追加されたことです。このバージョンでは、よりピュアなレーシングカーとしてブラッシュアップされており、以下の特徴があります。

  • マッシブに張り出したフェンダーによるワイドタイヤの装着
  • 拡大されたエアインテークによるクーリング性能向上
  • より強力なダウンフォースを発生させる大型リアウイング
  • フロントカナードの追加
  • 大型化されたリアディフューザー

また、2014年8月には「グラファイトFT-1コンセプト」という新バージョンも発表されました。これは従来の赤いボディカラーとは異なり、「グラファイト」と呼ばれるシルバー系のメタリックカラーを採用し、内装もブラウン系のサドルレザーでコーディネートされたプレミアムな仕様となっています。

 

トヨタ公式サイトでは、FT-1に関する詳細な技術資料やデザインコンセプトが公開されています。

 

https://global.toyota/jp/download/3376260/