タクシー中型車種類と小型車違い完全解説

タクシー中型車と小型車の基本知識

タクシー中型車の定義と規格基準

タクシー中型車は、小型自動車（5ナンバー車）のうち、自動車の長さが4.6メートル以上で乗車定員が6名以下の車両として定義されています。この規格は日本独特のもので、5ナンバーの全長上限である4.7メートル以下という制約の中で、可能な限り車内空間を確保した設計となっています。

 

興味深いことに、2000cc以下の3ナンバー車も中型タクシーに含まれる場合があり、これは地域によって運用が異なります。この柔軟な分類システムは、日本のタクシー業界が地域の特性に合わせて発展してきた証拠でもあります。

 

現在では、中型タクシーのほぼ全てが5人乗り（乗客は4人まで）となっており、かつて主流だった6人乗り設計は姿を消しています。これは安全性と快適性を重視した結果といえるでしょう。

 

タクシー中型車の代表的車種一覧

中型タクシーの代表的な車種として、トヨタからは「クラウンコンフォート」「クラウンセダン（スーパーデラックスなど）」が挙げられます。これらの車種は長年にわたってタクシー業界の主力として活躍してきました。

 

日産からは「セドリック」「NV200バネット」などが中型タクシーとして使用されています。特にセドリックは2009年9月の改良でベンチシート仕様が廃止されるまで、前部座席がベンチシートの6人乗り仕様が存在していました。

 

これらの車種は、後部座席の居住性に優れており、長距離移動や複数人での利用において快適性を提供しています。特にクラウン系の車種は、その品格と信頼性から多くのタクシー会社に愛用されています。

 

タクシー中型車と小型車の料金体系違い

地域によっては、中型タクシーと小型タクシーで料金が異なる設定となっています。小型タクシーの方が中型タクシーよりも運賃が安く設定されており、小型車専用乗り場が設置されている地域も存在します。

 

しかし、東京特別区では2007年をもってこの料金区分制度が消滅しており、現在は車種による料金差はありません。これは利用者の利便性を考慮した結果といえます。

 

全国的に見ると、多くのエリアでタクシーの区分が普通車・大型車・特定大型車と切り替わっている傾向が見られます。これは小型車と中型車の実質的な違いが少なくなったことが大きく影響しています。

 

タクシー中型車の地域別分布状況

日本全国でのタクシー中型車の分布には明確な地域差が存在します。概ね首都圏・近畿圏・中京圏の三大都市圏では中型車が多く使用されています。これは都市部での需要や道路事情に適応した結果といえるでしょう。

 

一方、北海道・東北・北陸・四国・九州・沖縄では小型車が多く使用されています。これらの地域では、燃費効率や維持費の観点から小型車が選ばれる傾向があります。

 

例外的に京都市や和歌山市では中型車と小型車が半々程度の割合となっており、地域の特性や事業者の方針によって車種選択が行われていることがわかります。この多様性こそが、日本のタクシー業界の特徴といえるでしょう。

 

タクシー中型車の未来と業界変化

現在、タクシー業界は大きな変革期を迎えています。従来の中型車の代表格であったクラウンコンフォートの生産中止により、業界全体で車種の見直しが進んでいます。これにより、逆に「レア車」として人気となる可能性も指摘されています。

 

特に外国人観光客には、東京無線の通称「バッタ」（クラウンコンフォート）が人気を博しており、文化的価値としての側面も注目されています。このような現象は、タクシーが単なる交通手段を超えた存在であることを示しています。

 

近年では、ライドシェアサービスの導入検討や電気自動車の普及など、新たな技術と制度の導入が進んでいます。これらの変化により、従来の中型車・小型車という分類自体が見直される可能性もあり、業界の今後の動向が注目されています。

 

また、環境意識の高まりとともに、燃費効率の良い車種への移行や、バリアフリー対応車両の増加など、社会のニーズに応じた車種選択が重要視されるようになっています。これらの要因が、今後のタクシー中型車の在り方を大きく左右することになるでしょう。