クラウンコンフォート サスペンション交換と乗り心地改善

クラウンコンフォートのサスペンション交換について、純正ショックアブソーバーの特徴から交換費用、1G締めの重要性まで詳しく解説。タクシー車両でも長く愛されたクラウンコンフォートの足回りメンテナンスを知りたくありませんか?

クラウンコンフォート サスペンション

クラウンコンフォート サスペンションの特徴
🚕
タクシー専用設計

長距離走行と乗り心地を重視した業務用サスペンション

🔧
シンプルな構造

メンテナンス性に優れた実用重視の足回り設計

⚙️
耐久性重視

20万キロ以上の走行に耐える高耐久設計

クラウンコンフォート サスペンションの基本構造と特性

クラウンコンフォートは、トヨタ自動車がタクシー用途を前提に開発した商用セダンで、2018年まで20年以上にわたり生産が継続されました。このモデルのサスペンションは、タクシーとしての過酷な使用環境を想定し、耐久性と乗り心地のバランスを重視した設計となっています。フロント、リアともにシンプルな構造を採用し、修理やメンテナンスのしやすさを確保しています。
参考)トヨタ・クラウンコンフォート - Wikipedia

クラウンコンフォートの全長は4,695mm、ホイールベースは2,785mmと、エンジンルームとトランクのオーバーハングを減らした設計です。この設計により、室内空間を広く確保しながらも、サスペンションのストロークを十分に取ることで、乗り心地と安定性を両立させています。
参考)トヨタクラウンコンフォート - ナムウィキ

タクシー専用車両として開発されたため、クラウンコンフォートのサスペンションは「軽快なハンドリングを求める車ではなく、仕事のクルマ」として位置づけられ、快適性と耐久性が最優先されています。通常のクラウンシリーズと比較すると、コンフォート(快適)という名称の通り、乗り心地を重視した調整が施されています。
参考)『クラウンの乗用系よりコンフォートのほうが圧倒的に乗り心..…

クラウンコンフォート 純正サスペンション交換の必要性

クラウンコンフォートのショックアブソーバーは、走行距離が20万キロを超えるとオイル漏れや減衰力の低下が顕著になります。タクシー車両では20万キロでもまだ新車扱いとされることが多いですが、乗り心地の悪化や車検不適合のため交換作業が必要になるケースが増えてきます。
参考)クラウンコンフォートのリヤショック交換

ショックアブソーバーのオイル漏れが発生すると、コーナリング時や発進・ブレーキング時に車両が不安定になり、船酔い状態のような乗り心地になります。KYB(カヤバ)製の補修用ショックアブソーバーが純正品番48511-43011に対応しており、交換用パーツとして広く利用されています。
参考)https://search.kakaku.com/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%20%E8%BB%8A%E7%94%A8%20%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%20%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%96%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC/

サスペンション交換が必要な症状としては、以下のような兆候が挙げられます。オイルが漏れてショックアブソーバーが黒く濡れている状態、振動が大きくなり乗り心地が悪化した場合、車高が下がってきた場合などです。これらの症状が見られたら、早めの交換をおすすめします。
参考)ショックアブソーバーとは?交換を要する症状や費用について徹底…

クラウンコンフォート サスペンション交換費用と作業時間

クラウンコンフォートのサスペンション交換にかかる費用は、ショックアブソーバー本体の価格と工賃を合わせて、一般的に7万円程度からとなります。純正品または補修用ショックアブソーバー4本セットの価格は約4万円程度からで、工賃が3万円程度加算されます。​
作業時間については、ショックアブソーバーの取り外しと取り付けだけであれば片側5分程度で可能ですが、1G締め作業に時間がかかるため、全体で7時間程度を要することもあります。持ち込みパーツでの交換の場合、工賃は2万円程度から依頼できる整備工場もあります。
参考)TSS13Y クラウンコンフォート ダウンサス取付け ブッシ…

費用を抑える方法として、オークションなどで新車外し品の中古サスペンションキットを入手する選択肢もあります。走行距離11万キロの車両で、純正新品をアッパーマウントまでフルセットで揃えると高額になりますが、中古品を利用することで大幅なコスト削減が可能です。ただし、中古品の場合は品質を十分に確認する必要があります。
参考)クラウン AWS210 純正サスペンション交換 四輪アライメ…

クラウンコンフォート ブッシュ1G締め作業の重要性

サスペンション交換時に欠かせない作業が「1G締め」です。1Gとは、クルマの重さをサスペンションが支えている状態を指し、この状態でサスペンションアームのボルトを締め付けることで、ブッシュにねじれが発生しない状態を作ります。
参考)サスペンションの新常識! 1G締めがもたらす驚きの効果とは?…

多くの自動車メーカーでは、アームが伸び切った0G状態でボルトを締め付けているため、ブッシュがよじれている可能性が高くなります。1G締めを行うことで、乗り心地が改善されたり、ハンドリングが向上したりする効果が期待できます。クラウンコンフォートの整備実績でも、ダウンサス取付け後にブッシュの1G締め直しと四輪アライメント調整を実施するケースが報告されています。
参考)GRS202 クラウン ダウンサス取付け ブッシュ1G締め直…

1G締め作業は、一旦ブッシュを締めているボルトを緩めてからジャッキから降ろし、車両の重さをサスペンションに載せた状態で再度ボルトを締め込む必要があります。この作業には専門的な知識と設備が必要で、サスペンション交換と同じくらいの時間を要することもあります。しかし、この工程を省略すると、せっかく新しいサスペンションに交換しても本来の性能を発揮できません。
参考)クラウン GRS200 サスペンション交換 四輪アライメント…

クラウンコンフォート リアショック交換の独自ノウハウ

クラウンコンフォートのリアショック交換には、いくつかの注意点があります。まず、リフトで車両を上げた状態から、リアアクスルのセンター部分にあるデフの下にジャッキをかけて固定します。次に、リアショックの下側取り付けボルトを緩めて仮止めしておくことが重要です。​
20万キロ走行したタクシー車両の場合、ショックアブソーバーからオイル漏れが発生し、黒く塗れた状態になっていることが多くあります。この状態で走行を続けると、コーナリング時や発進・ブレーキング時に車両が不安定になるため、早急な交換が推奨されます。​
組み込み時の注意点として、トップナット下の皿の向きやブッシュの方向が逆になっていないか確認する必要があります。また、ナックルとロアアームのボルトには、クラウン専用のロック付き特殊ナットが使用されているため、正しいボルト・ナットを使用することが重要です。これらの細かい部分にも意味があり、純正で種類を変えている理由を理解して作業することで、本来の性能を引き出すことができます。​
下回りに砂が付着している場合、交換作業時に砂が落ちてくることがあります。クラウンコンフォートにはインナーカバーが装着されているため、その部分に砂が付着しやすく、作業前の清掃が推奨されます。​