外環道 開通予定は2030年代。進捗状況と今後の見通し

外環道の関越~東名間の開通予定はいつなのか。2025年11月現在の工事進捗状況や、大深度地下シールドトンネル工事の難しさ、そして完成までの予定について最新の情報を解説します。あなたの通勤ルートはどう変わるでしょう?

外環道 開通予定と工事進捗

外環道の現状と今後
🚗
開通予定は未定のまま

NEXCO公式では中央JCT~大泉JCT間(約16.2km)の開通予定年度が「未定」と表記されています。2020年の計画では2030年開通を目指していましたが、2020年10月の調布市での陥没事故によって計画が大幅に変更されました。

⚙️
工事内容は大深度地下化

外環道の関越~東名間はほぼ全線が地下40m以上の大深度地下のシールドトンネルで建設されています。4基の本線シールドマシン(直径約16m)が並行して掘り進められており、同時にランプトンネル工事も進行中です。

🔨
複雑な分岐・合流工事

難度の高い分岐・合流部(JCT)の地中拡幅工事が2025年から本格化しています。特に東名JCTでは本線シールド2本とランプシールド複数本を地中で一体化する工事が進行中で、この工法は国内でも極めて珍しい施工技術です。

📊
2025年10月時点の掘進状況

本線トンネル北行・南行の大泉南区間、中央JCT南側のランプ工事、東名JCT東側のランプ工事で掘進中です。一方、中央JCT北側ランプや東名JCT東側Hランプなど複数区間では既に掘削が完了しており、地区によって進捗状況が大きく異なります。

💡
今後の予定と完成効果

開通後は世田谷区から関越道で新潟方面、練馬区から東名で名古屋・大阪方面へ、都内を南北に横断する「信号ゼロ」の高速ルートが誕生します。現在の都心部の渋滞を大幅に緩和し、周辺道路の安全性も向上する効果が期待されています。

外環道 開通予定が発表されない理由

 

外環道の関越~東名間は、現在のところ開通予定年度が「未定」と公式に表記されています。これは単なる延期ではなく、工事の難しさと過去の経験に基づいた判断です。2020年10月13日、調布市内の外環道工事現場で大規模な陥没事故が発生し、周辺住宅が被害を受けました。この事故以降、工事体制の見直しが行われ、当初予定していた2030年開通というスケジュール自体が大幅に見直されることになったのです。

 

NEXCO東日本の公式ウェブサイトでも「開通予定年度:未定」と明記され、事業計画の具体的な完成時期についての発表は慎重になっています。工事の進捗状況は毎日更新される「東京外環プロジェクト」の専用ウェブサイトで追跡可能ですが、全体的な完成時期については今後の工事状況次第となっているのが現実です。

 

かつての高度経済成長期の大型公共事業と異なり、都市の地下に超大深度トンネルを掘削する工事は、地表への影響予測が難しく、安全性を最優先とする現代的な施工管理が求められます。そのため「見通しが立つまで発表しない」という姿勢が取られているのです。

 

外環道 工事を進める大深度地下シールド工法とは

外環道の関越~東名間(約16km)の工事では、地下40メートル以上の大深度に位置するシールドトンネルが採用されています。これは従来の地表付近のトンネル工事と大きく異なり、極めて特殊な掘削技術です。

 

本線トンネルの掘削には、直径約16メートルという国内最大級のシールドマシン4基が投入されています。各機械には可愛らしい愛称が付けられており、「カラッキィー」「みどりんぐ」「がるるん」「グリルド」という4つのシールドマシンが、大泉方面から中央JCT、そして東名JCTへと向けて掘り進められています。

 

シールドマシンは前方の土砂を掘削しながら同時にセグメント(コンクリート製のリング)を組み立てることで、トンネルを形成していきます。大深度地下では地圧が非常に高いため、この工法がなければ施工は不可能です。従来のトンネル掘削工法では、地表の建物や地盤に与える影響が大きすぎるため、地下深くに埋設することで周辺環境への影響を最小限に抑える設計になっています。

 

外環道 陥没事故後の工事体制強化

2020年10月13日に発生した調布市の陥没事故は、外環道工事の歴史において最も深刻な事態となりました。地下70メートル付近を掘削していたシールドマシンが、上部の地盤に影響を与え、地表で大きな穴が開いたのです。この事故の原因は複合的でしたが、主に施工管理体制と地盤状況の把握に関する課題が指摘されました。

 

事故後、工事事業者は全面的な体制見直しを実施しました。シールド機械の性能向上、地表沈下のモニタリング強化、地盤改良工事の追加実施、そして工事管理体制の充実化が図られています。現在、工事現場では日々のモニタリングデータが詳細に記録・分析され、異常検知時には即座に対応できる体制が整備されています。

 

この事故は日本の大深度トンネル工事における重要な教訓となり、以後の都市部での大型地下工事の安全基準向上につながりました。そのため、現在の工事期間の延長や開通予定の見直しは、安全性を最優先とした判断の現れなのです。

 

外環道の難工事 地中拡幅部における分岐・合流工事

外環道の工事の中でも最も高度な技術を要するのが、地中拡幅部における分岐・合流工事です。特に重要な4カ所(大泉JCT南側、中央JCT南北側、東名JCT東側)では、複数のトンネルを地中で立体的に交差・合流させる必要があります。

 

従来の大深度地下トンネル工事では、複数のトンネルを個別に施工してから接続するのが一般的でした。しかし外環道では、本線シールド2本とランプシールド複数本を同一の地中拡幅部で一体化する工法が採用されています。これは、限定的な地下空間で複数のトンネル断面を形成し、それらを溶接のようにつなぎ合わせる極めて複雑な施工です。

 

東名JCTでは、このような高度な技術を要する工事が2025年1月下旬から本格化しました。セグメント製作の精度、掘進ルート管理、地盤沈下防止対策など、同時に複数の困難な課題に対応する必要があります。この工事がスムーズに進捗すれば、今後の大都市地下工事のモデルケースとなる可能性を秘めています。

 

外環道 開通後の交通ネットワークと地域への影響

外環道の関越~東名間が完成すると、首都圏の交通状況は根本的に変わります。現在、東京23区西部や多摩地域の住民が関越道から東名への移動を望む場合、都心を経由して首都高速を使用せざるを得ません。この動線は常に混雑の原因となっており、渋滞損失時間が年間で膨大になっています。

 

外環道の完成後は、この南北移動が「信号ゼロ」で実現可能になります。練馬区の大泉JCTから中央JCTを経由して、世田谷区の東名JCTまで、高速道路だけで接続されるため、都心を経由する必要がなくなるのです。これにより、既存の首都高速の交通量が大幅に低減し、中央環状線内部の渋滞が現在より3割以上減少することが国土交通省の試算で示されています。

 

また、千葉区間(2018年開通済み)の経験から、外環道が開通した地域では物流施設の立地が約5.5倍に増加しており、経済活動の活性化効果も期待されています。周辺道路の安全性向上も確認されており、外環道と並行する国道298号での交通事故件数が約3割減少しているデータもあります。

 

東京外環プロジェクト公式ウェブサイト(リアルタイム工事進捗情報)
https://tokyo-gaikan-project.com/
国土交通省による開通予定と基本情報
https://www.e-nexco.co.jp/activity/agreeable/open_schedule/kanto/kanto12.html

 

 


タジマ 安全帯 L型D環止め(アルミ2穴・ブラック) ベルト幅50mm用 軽量なアルミ製 安全ロープ取り付け穴付 TA-LAD2BK