消費税込とは、商品やサービスの価格に消費税を含めて表示する方式のことです。「税込」「総額表示」「内税」という言葉も同じ意味で使われています。たとえば本体価格が10,000円の商品に消費税10%が加算される場合、「11,000円(税込)」と表示されるのが消費税込の表示方法です。
参考)No.6902 「総額表示」の義務付け|国税庁
この表示方式では、消費者が実際に支払う金額が一目でわかるため、予算管理がしやすく安心して買い物ができるというメリットがあります。価格の比較も容易になり、異なる商品やサービスの価格を直接比較できる点も大きな利点です。
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日本では2021年4月1日から、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合、消費税込の総額表示が義務付けられています。これは消費者が価格表示と実際の支払金額が異なることで混乱することを防ぐための配慮です。
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消費税込(内税)と外税の違いは、消費税が表示価格の中と外のどちらに存在するかという点です。内税では「11,000円(税込)」のように消費税が表示価格に含まれて表記されますが、外税では「10,000円(税抜)」や「10,000円+税」のように、消費税が表示価格に含まれず別途支払う必要があります。
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外税表示の主なメリットは、税抜価格と税額を個別に表示するため、消費税分をはっきり認識できることです。特に事業者同士の取引では、税抜価格で表示される方が消費税の計算や仕入税額控除などの処理が簡単になるという利点があります。
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しかし消費者向けの価格表示では、2021年4月以降は総額表示が義務化されており、「1,000円+税」「1,000円(税別)」「1,000円(本体価格)」といった外税表示は認められていません。なお、事業者間の取引に関しては、外税表示でも問題ありません。
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消費税込価格の計算方法は非常にシンプルです。標準税率10%の場合、本体価格に1.1を掛けることで税込価格が算出できます。たとえば本体価格10,000円の商品なら、10,000円×1.1=11,000円が税込価格となります。
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逆に、税込価格から消費税額を取り出すには、税込価格を1.1で割った金額を引き算します。605円の税込価格なら、まず605円を1.1で割って550円を算出し、元の605円から550円を引くことで、消費税額55円が導き出せます。
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この計算で小数点以下の端数が出た場合、どう処理するかは各事業者の判断に委ねられています。財務省は、切り捨て、切り上げ、四捨五入のいずれの方法でも構わないとしており、事前に端数処理の方法を決めておくとトラブルを避けられます。
自動車を購入する際にも、消費税込の総額表示が適用されています。車両本体価格、オプション、諸費用に含まれる手数料なども消費税の対象となります。特に中古車販売では、2023年10月から「支払総額」の表示が義務化され、車両価格と諸費用を合計した費用を明示することが求められています。
参考)新車・中古車を購入した時の消費税
支払総額の内訳は、「車両価格(消費税込)」と「諸費用」に大きく分けられます。車両価格には消費税も含めた車両本体の価格や、すでに装着されているカーナビなどの装備品も含まれます。諸費用には自賠責保険料や税金、車の登録に伴う費用が含まれています。
参考)◆中古車の支払総額には何が含まれるのか?総額表示の義務化も解…
この表示義務化により、従来一部の販売店で行われていた不当な価格表示が是正され、消費者は購入前に実際の支払金額を正確に把握できるようになりました。一般社団法人自動車公正取引協議会のアンケートでは、消費者の90%が支払総額表示を支持しているという結果が出ています。
参考)中古車の支払総額には何が含まれる?総額表示の義務化も解説
国税庁が定める消費税込の具体的な表示例として、標準税率10%が適用される場合、以下のような表示が認められています。
参考)税込表示の義務化とは何?理由や表示の方法などを知ろう
実は「11,000円」とだけ表示されていても、国税庁の例として挙げられているため問題ありません。しかし「(税込)」で明確に税込価格と表記したり、消費税や税抜き価格がいくらか表示したりした方が、消費者にも正確な税込価格が伝わりやすいでしょう。
税抜・税込の両方を表示する場合には、消費者が税抜価格を税込価格と誤解することのないように注意が必要です。たとえば、税抜価格だけ文字サイズを大きくして、税込価格を目立たなくすることなどは避けるべきとされています。
参考)https://food-houmu.jp/back-number/food-009/
参考情報:国税庁による総額表示義務の詳細については、以下のリンクで確認できます。
自動車を購入する際、すべての費用に消費税がかかるわけではありません。新車を購入した場合、車両本体と付属品は課税仕入れとなりますが、自動車税等や自賠責保険料は課税対象外(不課税)です。リサイクル預託金も課税対象外となります。
参考)クルマ購入時にかかる税金って? - よくあるご質問|Hond…
中古車を購入した場合は取り扱いが異なる点に注意が必要です。車両本体と付属品は新車同様に課税仕入れですが、自動車税相当額等や自賠責保険料相当額は課税仕入れとなります。これは、中古車の場合、4月1日時点の所有者である売主が既に自動車税を納付済であり、買主にはその年の自動車税の納税義務が発生しないためです。
車を購入した場合、金額が大きいため「費用」ではなく「資産」として処理します。会計上、車は固定資産にあたるため、通常は「車両運搬具」という勘定科目を使って計上します。また、車は高額なもののため「減価償却」によって数年に分けて均等償却していく必要があります。
参考)車購入費の仕訳とは?新車・中古車・下取りの例や個人の場合を解…
意外と知られていないのが、ナンバープレートの消費税です。普通車や400cc以上のバイク等、陸運局で登録して発行される場合は非課税ですが、軽自動車や軽二輪車等、届出により発行される場合には課税となっています。登録の手続きは役所が行うため行政手数料の対価として非課税となり、届出の場合には届出の手続きはユーザーが行い役所はそれを受理するだけのため、ナンバープレート発行の対価として課税となるという違いがあります。
参考)ナンバープレートと消費税
参考情報:車両購入時の消費税課税区分について、さらに詳しい情報は以下を参照してください。
消費税込の総額表示義務化は、消費者保護の観点から重要な制度です。表示価格と実際の支払金額が異なることによる消費者の混乱を防ぎ、透明性の高い価格表示を実現しています。
消費者にとっての具体的なメリットとして、価格の比較が容易になることが挙げられます。税抜価格と税額を別々に計算する必要がなくなり、異なる商品やサービスの価格を直接比較できるようになりました。また、実際に支払う金額が一目でわかるため、予算管理がしやすくなり、予算オーバーを防ぎやすくなるという利点もあります。
価格に対する不透明感が解消されることで、消費者は安心して商品やサービスを購入でき、買い物の満足度が向上します。支払う金額に対する納得感が得られやすくなり、全体的な購買体験の質が高まっているといえるでしょう。
事業者側にとっても、総額表示は消費者との信頼関係構築に役立ちます。特に自動車業界では、支払総額表示の義務化により、一部で常習化していた過剰な請求問題が解消され、事業者間の公正な競争が促進されています。
参考)中古車の支払総額 表示義務化
なお、総額表示義務に違反した場合でも、現時点では罰金などのペナルティは課せられていません。しかし、中古車販売における支払総額表示義務については、広告表示と異なる請求を行った場合には走行距離や修復歴の不正表示と同様に厳しい罰則が課されるようになっています。
参考情報:総額表示義務化についての詳細は、財務省のホームページで確認できます。