レーダー探知機を付けていても、ループコイル式オービスには一切反応せず前科がつくことがあります。
ループコイル式オービスは、一見しただけでは取り締まり装置だとわからないほど目立たない設計になっています。路面にコイルが埋まっているため、路上を普通に走っている限り外見からはその存在を確認できません。これがこの装置のもっとも厄介な特徴のひとつです。
仕組みの核心は「ループコイル」と呼ばれる電線コイルです。アスファルト路面に長方形の溝を掘り、細い電線を2〜5巻き埋め込んだものがループコイルです。コイルに高周波電流(交流)を流すと磁界が発生し、その上を金属製の車両が通過するとコイルのインダクタンスが変化します。この変化を信号として捉えることで、車両の通過を検知します。
速度計測には3本のループコイルが使われます。
- スタートループ(A):最初のセンサー。車両の通過タイミングを計測開始
- コントロールループ(B):6.9m区間の中間地点(3.45m)に設置。異常走行を検知して誤撮影を防ぐ役割
- ストップループ(C):終端のセンサー。通過タイミングを計測終了
スタートからストップまでの6.9m(ハイエースの全長とほぼ同じ距離)を通過するのにかかった時間を計算し、速度に換算します。この計測を「A→B間」「B→C間」の2回行い、2回とも速度超過が確認された場合にのみ撮影が行われる仕組みです。
2回計測する理由はシンプルです。1回だけの計測では、急加速や急減速による一瞬の数値で誤射されるリスクがあります。2回とも超過という条件を設けることで、計測精度と公正さを担保しているということですね。
コントロールループ(B)はさらに「異常走行の検知」に特化しています。急激な速度変化が区間内に発生した場合、走行状態が不安定と判断され撮影は中止されます。測定精度を守るうえで重要な仕組みです。
Motor-Fan.jp「LHシステムの怖さを科学する」|ループコイルの構造と計測原理を詳細に解説した記事
ループコイル式を採用したオービスには、大きく分けて「ループコイル式(Lタイプ)」と「LHシステム」の2種類があります。見た目と性能がかなり異なるため、それぞれ把握しておくことが重要です。
ループコイル式(Lタイプ) は、日本国内に最初に導入された固定式オービスで、オービスの名称の由来にもなった装置です。路肩や中央分離帯にボックス型のカメラが設置され、見た目は比較的わかりやすい形をしています。初期モデルはフィルムカメラを使用していたため、フィルム切れになると撮影ができないという弱点がありました。現在は通信機能を持つデジタル式への更新が進んでいます。
LHシステム(ループコイル式高速走行抑止システム) は1994年に登場し、現在の幹線道路・首都高速で主流になっているタイプです。「LOOP COILのL」と「HIGH SPEEDのH」を組み合わせた名称で、速度計測はループコイル、撮影はデジタルカメラ+赤外線ストロボという構成になっています。撮影した画像データは専用回線でリアルタイムに管轄警察署へ転送されます。フィルム切れがなく、24時間365日稼働できるのが最大の強みです。
| 項目 | Lタイプ(従来型) | LHシステム |
|------|-----------|-----------|
| 計測方式 | ループコイル | ループコイル |
| カメラ | フィルム→デジタルに更新中 | デジタル(光磁気ディスク) |
| データ転送 | なし(フィルム回収) | 専用回線でリアルタイム転送 |
| 設置場所 | 一般道・幹線道路 | 首都高・幹線道路中心 |
| レーダー探知機 | 検知不可 | 検知不可 |
| Nシステムとの混同 | 少ない | 多い(外観が似ている) |
2つに共通するのは、どちらもレーダー波を一切発しないという点です。レーダー探知機はレーダー波や電波を検知して警告する装置なので、ループコイル式には根本的に反応しません。「レーダー探知機があれば安心」と思っている方にとっては、これが大きな落とし穴になります。
なお、LHシステムはNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)と外観が非常に似ています。Nシステムには速度警告板がなく、撮影時のフラッシュも弱い点で見分けられます。数km手前に「速度自動取締路線」の警告板があれば、前方にあるのはオービスだと判断して構いません。
cobby.jp「ループコイル式オービスの仕組みとは?」|Lタイプ・LHシステムの比較表を含む解説記事
オービスが具体的に何キロで光るかは、警察の機密事項として正式には公表されていません。これが基本です。ただし、多くの報告や法律上の整理から、目安となる数値は存在します。
固定式オービスの撮影が行われる速度の目安は以下の通りです。
- 🟡 一般道:法定速度+30km/h以上
- 🟡 高速道路:法定速度+40km/h以上
一般道60km/h制限の道路なら90km/h以上、高速道路100km/h制限なら140km/h以上が目安ということです。この超過速度は赤切符(正式裁判)の対象になり、6点以上の減点で一発免停となり、罰金は6万〜10万円、場合によっては懲役刑に至ることもあります。つまり固定式は、「撮影されたらほぼ確実に一発免停以上」という仕組みになっています。
ループコイル式オービスの光り方も独特です。撮影時には強いストロボフラッシュが発光します。昼間は太陽光の中で見えにくい場合もありますが、夜間は車内からはっきりと確認できるほど強い光です。赤みがかった光または白い強い光として見えることが多く、「後ろが一瞬明るくなった」と感じた場合は撮影された可能性があります。
また、撮影されてから出頭通知書が届くまでの期間は機種によって異なります。
| オービスの種類 | 通知書が届く目安 |
|-------------|--------------|
| デジタル式(LHシステムなど) | 2〜3日 |
| 従来フィルム式(旧型Lタイプ) | 1〜2か月 |
| レンタカー・社用車など | 最大2か月程度 |
通知が来ない場合もあります。撮影画像でナンバープレートが判読できなかった場合、複数車両が重なってしまった場合などは通知が届かないこともあります。ただし、「通知が来なかったから安心」と判断するのは危険です。デジタル式の場合は画像解析が高精度で行われており、通知が届かない確率は低くなっています。
cobby.jp「ループコイル式オービスの仕組みとは?」|撮影速度の目安と罰則一覧を掲載
ループコイル式オービスに対してレーダー探知機が機能しない理由は、計測原理の根本にあります。レーダー探知機は「電波(レーダー波)」を検知してドライバーに警告します。しかしループコイル式は電波を一切使いません。路面下に埋まったコイルで磁気の変化を捉えるだけなので、どんな高性能なレーダー探知機でも事前に察知する術がないということです。
これは非常に大きなポイントです。
多くのドライバーは「レーダー探知機があれば、オービスには対応できる」と信じています。しかしそれは、レーダー式・Hシステムにしか当てはまらない話です。国内の主流になりつつあるLHシステムを含むループコイル式、さらに現在急速に普及しているレーザー式オービスにも、レーダー探知機は反応しません。
では、ループコイル式オービスに事前対応するにはどうすればいいのでしょうか?
有効なのは、GPSオービスマップを内蔵したレーダー探知機またはスマートフォン向けオービス警告アプリの活用です。GPSを利用してオービスの設置場所をデータベース化し、接近時に音声・画面で通知する仕組みのため、電波を発しないループコイル式にも対応できます。
ただし、GPSデータベースに新設情報が反映されるには時間がかかります。設置から稼働まで試験期間があるとはいえ、データが更新される前の新設オービスには対応できません。これは知っておくべき限界です。
また、2016年以降に全47都道府県へ配備が完了した移動式オービスは設置場所が日々変わるため、GPSデータベースでの対応が追いつかない場合もあります。移動式はループコイル式ではなくレーザー式が主流ですが、こちらも電波を発しないためレーダー探知機は無効です。
結局のところ、どんな機器を使っても「固定式オービスの設置場所だけ速度を落とす」という方法はリスクが高くなる一方です。移動式が神出鬼没に増え、デジタル化で精度も上がっている現在、もっとも確実な対策は法定速度を守ることです。これが原則です。
HOOD RIDEZ「まずはオービスの種類を把握しよう!」|各オービスのレーダー探知機対応可否を整理した詳細記事
固定式のループコイル式オービスに注目するドライバーは多いですが、現在の取り締まりの「主戦場」は移動式オービスへと移りつつあります。この変化を知らないまま「固定式の場所だけ覚えていれば大丈夫」と思っているのは、非常に危険な思い込みです。
移動式オービスの現状をまとめると次の通りです。
- 🔴 2016年に埼玉・岐阜で試験導入開始
- 🔴 現在は全47都道府県の警察で運用中
- 🔴 生活道路・通学路・高速道路を問わず設置
- 🔴 警告板の設置義務が緩く、事前察知が難しい
- 🔴 +15km/h未満の超過でも検挙された事例あり
特に注目すべきは「+15km/h」という数字です。固定式オービスの撮影基準は一般道で+30km/h以上ですが、移動式にはその基準が適用されません。生活道路(30km/h制限)で45km/hで走っていれば撮影対象になりうる、つまり住宅街の生活道路でも油断できないということですね。
また、移動式が三脚設置された電柱の陰や路肩の目立たない場所に置かれているケースも報告されています。重量25kgほどの小型機(LSM-300など)は、ゴミ箱や標識と並べられていても気づきにくいほどコンパクトです。
固定式ループコイル式からの進化という文脈で見ると、現代の取り締まり装置はあらゆる方向で「事前察知を困難にする」方向に進化しています。移動式・レーザー式・GPS非対応の新設オービスが増えるほど、特定場所だけを意識した運転では対応できなくなっています。
速度計測の技術として見れば、ループコイル式は磁気センサーという非常にシンプルかつ正確な原理を持つ装置です。駐車場のゲート開閉や料金精算にも同じ技術が使われており、信頼性は実証済みです。ただし過酷な環境下(過積載車両の繰り返し通過・積雪地域など)では誤作動の可能性も過去に指摘されており、裁判での無罪判例もゼロではありません。それでも現在の主流であるLHシステムは「最も警察の威信がかかっているオービス」として、精度向上が続けられています。
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