指定空気圧に合わせていれば安全だと思っていても、ロードインデックスが不足したタイヤでは走行中にバーストするリスクがあります。
タイヤのサイドウォールには、「195/65R15 91H」といった英数字の羅列が刻印されています。このうち「91」の部分がロードインデックス(LI)と呼ばれる数値です。ロードインデックスは、タイヤ1本が支えることのできる最大負荷能力(最大荷重)をキログラムで表したものであり、この数値が大きいほど、より重い荷重に耐えられることを意味します。
ロードインデックスはそれ単体で決まるものではありません。重要なのは「どの空気圧のときに、その最大荷重を発揮できるか」という点です。つまり、ロードインデックスと空気圧は常にセットで考える必要があります。
例えばロードインデックス91のタイヤは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)の規定では空気圧250kPa(約2.5kgf/cm²)のときに615kgの荷重に耐えられますが、空気圧を180kPaまで下げると最大負荷能力は大きく落ちます。これが基本です。
空気圧が低いとタイヤの剛性が下がり、同じ重さの車体を支えきれなくなるのです。車体はタイヤ4本で支えられているため、1本あたりの荷重は車両総重量を4で割った値に近い数字になります。ロードインデックスの数値がその荷重を下回っていれば、法規上・安全上ともに問題が生じます。
ロードインデックスと最大負荷能力(最大荷重)の対応は、JATMAやETRTO(欧州タイヤ・リム技術機関)などの基準で定められた規格表によって管理されています。以下が代表的なロードインデックスの対応表です。
| ロードインデックス(LI) | 最大負荷能力(kg) |
|---|---|
| 75 | 387 |
| 80 | 450 |
| 82 | 475 |
| 84 | 500 |
| 87 | 545 |
| 88 | 560 |
| 89 | 580 |
| 90 | 600 |
| 91 | 615 |
| 92 | 630 |
| 94 | 670 |
| 95 | 690 |
| 96 | 710 |
| 97 | 730 |
| 98 | 750 |
| 100 | 800 |
| 103 | 875 |
| 107 | 975 |
上の表のように、ロードインデックスの数値が1上がるだけで最大負荷能力は数十キログラム単位で変わります。これは意外ですね。
たとえばロードインデックス91のタイヤから90のタイヤに変えると、1本あたりの最大負荷能力が615kgから600kgへ、15kg減ることになります。4本合計では60kgもの差が生まれます。成人男性1人分の体重に相当する差です。
この表と実際の空気圧を組み合わせるのが「空気圧対応表」です。同じロードインデックス91でも、空気圧が低ければ実際に支えられる荷重は額面通りにはなりません。空気圧が条件です。JATMA規格では最大空気圧を入れた状態で初めてロードインデックスの最大荷重を発揮できるとされています。そのため、日常の走行では「推奨空気圧で規定の荷重を支える」という考え方が基本になります。
参考:JATMAによるタイヤの負荷能力対応表に関する技術資料
一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)公式サイト – タイヤ技術情報
ロードインデックスが純正指定を下回るタイヤを装着した状態で車検に臨むと、そのまま不合格になります。これは見落とされやすい落とし穴の一つです。
道路運送車両法の保安基準第167条では、タイヤの負荷能力が車両の軸重に対して十分であることが求められています。純正タイヤのロードインデックスを下回るタイヤを取り付けた場合、最大積載時の軸重に耐えられないとみなされるため、車検で指摘事項となります。インチアップやタイヤ交換をした後に「なぜか車検に通らなかった」という事態は、このロードインデックス不足によるケースが少なくありません。
さらに、車検をパスできたとしても安全上のリスクは残ります。ロードインデックスが不足した状態での高速道路走行や、フル乗車・大量の荷物を積んだ走行は、タイヤへの過負荷によるバーストにつながる危険性があります。高速走行中のバーストは死亡事故に直結するケースもあり、軽視できません。
知っておくべき重要な点が一つあります。保安基準不適合の状態で公道を走行した場合、整備不良として6点の行政処分(免停ライン)や整備不良罰則(5万円以下の罰金)の対象となる可能性があります。「タイヤのサイズが合っていれば問題ない」という思い込みは危険です。
ロードインデックスを確認する手順は非常にシンプルです。タイヤのサイドウォールに記載された数値を確認し、車両の純正指定ロードインデックス(車両マニュアルまたはドアステップのシール)と照合するだけです。これだけ覚えておけばOKです。
インチアップとは、ホイール径を大きくし、タイヤの扁平率を下げることでドレスアップや走行性能の向上を図るカスタムです。見た目がスポーティになる一方、このときにロードインデックスが下がってしまうことがあります。
インチアップ時には以下の3つを必ず確認する必要があります。
例えば、純正タイヤが「195/65R15 91H」(ロードインデックス91)だった場合、インチアップして「225/45R17 91W」のタイヤに変えるならロードインデックスは同じ91なので問題ありません。しかし「225/45R17 88W」を選んでしまうと、ロードインデックスが88に下がり、最大負荷能力が615kgから560kgに落ちます。4本合計では220kgもの差です。
厳しいところですね。特に軽自動車や小型車では純正のロードインデックスが低めに設定されているため、インチアップ後でも同等の数値を持つタイヤを選びやすいですが、ミニバンやSUVは純正のロードインデックスが高く設定されている場合が多く、対応するタイヤが限られることがあります。
空気圧の確認については、新しいタイヤのメーカーサイトや販売店に「そのタイヤの空気圧対応表」を提示してもらうと確実です。タイヤによってはJATMA規格ではなくETRTO規格(欧州規格)に準拠しているものもあり、最大空気圧の数値が異なります。ETRT O規格では最大空気圧が300kPaを超えるケースもあり、JATMA規格で設定された車両指定空気圧をそのまま入れると空気が足りない状態になることもあります。これは意外です。
参考:タイヤのインチアップとロードインデックスの関係についての技術的解説
ブリヂストン公式サイト – タイヤの知識(インチアップ・サイズ選択)
ロードインデックスと空気圧の管理は、タイヤ交換時だけで終わりにしてはいけません。日常のタイヤ管理においても、季節や乗車人数・積載量の変化がタイヤへの実質的な負荷に影響を与え続けています。
気温と空気圧の関係から説明します。気温が10℃下がるとタイヤの空気圧は約10〜15kPa低下するとされています。夏に230kPaで管理していたタイヤが冬には215kPa程度になることは珍しくありません。これが条件です。空気圧が下がれば、ロードインデックスが示す最大負荷能力を発揮できる状態からずれていくことになります。
一般的に「車のドアステップに書いてある指定空気圧を入れればよい」と思われがちです。しかし、この指定空気圧はあくまで「通常乗車・通常積載時」を想定した推奨値です。
5人乗りの車にフル乗車し、さらにトランクに荷物を満載した状態(GVWR:車両総重量の上限付近)では、1本あたりのタイヤにかかる荷重が大幅に増加します。こうした場面では、タイヤメーカーが提示する「荷重対応空気圧表」を参照して、空気圧を5〜20kPaほど高めに設定することが推奨されています。これを「高速道路走行前の空気圧補充」と合わせて行うことで、安全マージンを確保できます。
日常的な確認は月1回が目安です。デジタル式タイヤ空気圧ゲージを一つ持っておくと、ガソリンスタンドに行かなくても自宅で素早く確認できます。数百円から2,000円程度の製品で対応できるため、費用対効果も高いです。これは使えそうです。
また、スペアタイヤ(テンパータイヤ)のロードインデックスは通常タイヤより低く設定されていることが多く、装着時の最高速度制限(多くは80km/h)はそのためでもあります。緊急時にスペアタイヤを使う場合は、空気圧を規定値(多くは420kPa前後)に保っておくことも重要です。
| シーン | 推奨対応 | 目安の調整量 |
|---|---|---|
| 冬季(気温10℃低下時) | 空気圧を補充して規定値に戻す | +10〜15kPa |
| 高速道路走行前 | タイヤメーカー指定に従い補充 | +10〜30kPa(車種・タイヤによる) |
| フル乗車+荷物満載時 | 荷重対応空気圧表を参照 | +10〜20kPa |
| 通常の街乗り | ドアステップ指定空気圧を維持 | ±0(規定値通り) |
ロードインデックスの数値は「条件付きの保証」です。正しい空気圧管理があって初めてその能力を発揮します。つまり、ロードインデックスと空気圧はセットで管理するものです。
参考:タイヤの空気圧管理と季節変化に関するガイドライン
横浜ゴム公式サイト – タイヤ知識・空気圧管理ガイド

225/55R19 スタッドレスタイヤ&ホイール4本セット 新型40系アルファード/ヴェルファイア他 (※注意:30系以前のアルファード/ヴェルファイア装着不可) (※注意:タイヤロードインデックス,加重指数99)