立体交差ジャンクションは、複数の高速道路が異なる高さの平面上で交差する施設です。従来の平面交差では信号を使って車両を制御していますが、高速道路では車両が停止することなく通行できるよう、上下層分けられた構造になっています。
この設計により、路線容量が大幅に増加し、渋滞が解消され、交通事故も防止できます。特に日本の高速道路ネットワークにおいて、ジャンクションは都市間の物流や人流を支える重要な施設として機能しています。ジャンクションの手前には複数回にわたって進路案内標識が掲示されており、ドライバーの安全な運行を支援しています。
3つの高速道路が交差する場合、地形や交通量に応じて複数のタイプが採用されています。最初のタイプは「直結Y型」で、相互の交通量に大きな差がなく、交通量が比較的多い場合に使われます。神戸ジャンクション、山口ジャンクションなどが該当します。
次に「準直結Y型」は、一方の交通量が相対的に大きい場合に採用され、直結Y型に比べて必要な用地面積を削減できるため、用地確保が難しい都市部で重宝されています。栃木都賀ジャンクションがその例です。最後に「トランペット型」は、トランペットの形状に似た設計で、準直結Y型よりもさらに少ない用地面積での設置が可能です。大泉ジャンクションなど、インターチェンジでもよく見かけられるタイプです。
4つの高速道路が交差する場合、より複雑な立体構造が必要になります。最も代表的なのが「クローバー型」で、内側にきれいな円が4つ形成される美しい幾何学的形状です。しかし、クローバー型は広大な用地面積を必要とするため、日本の急峻地形では改良版が採用されています。川口ジャンクション、鳥栖ジャンクションなどが改良型クローバー型の例です。
「タービン型」は、交差部分がぐるぐると二重の円を描いて見える特徴的な形状です。久御山ジャンクション、三郷ジャンクションがその代表例で、クローバー型よりもコンパクトに設計されながらも、高い機能性を備えています。これらのジャンクション設計には、クロソイド曲線という緩和曲線が活用されており、快適かつ安全なハンドル操作を実現する精緻な幾何学が組み込まれています。
立体交差ジャンクションの設計には、交差する道路の数、交通量、周辺の地形、地方自治体のニーズなど、多くの要素が考慮されます。日本の高速道路は山間部に建設されることが多いため、確保できる平地が限られています。そのため、大きな空間を必要とするクローバー型よりも、より効率的なタービン型や改良型クローバー型が多く採用されているのです。
ジャンクション走行時の最大の危険は、複雑な道路構造による進路誤認です。ぼんやり流れに乗ってしまうと、行き先とは異なる方向に進んでしまう可能性があります。万が一間違った方向に進んでしまった場合でも、高速道路での逆走は厳禁です。落ち着いて次のインターチェンジまで進み、そこから一般道に下りてからルートに戻すという手順を踏む必要があります。
ジャンクションはカーブが急で、見通しが悪いことが多いため、スピードの出しすぎは特に危険です。規制標識に従って安全速度を守り、前方の渋滞に気付きやすくすることが追突事故防止につながります。ジャンクション手前に設置されている案内標識を見落とさないよう、事前にルート確認をしておくことが重要です。特に首都高のように複数の分岐が短い区間に集中している場合は、詳細図を事前に確認しておくと安心です。
ジャンクションから加速車線に入り本車線に合流する際は、素早い加速が不可欠です。加速が不十分だと、本線を走る車との速度差が大きくなり、かえって事故の原因になってしまいます。ルームミラーで後続車の動きに注意しながら、本線を走る車との速度差を最小限にして合流することが上手な運転のコツです。
首都高では左側からの合流だけでなく、右側からの合流箇所も多数あるため、周囲の車の流れに気を配る必要があります。基本的に本線へ合流してくる車は、自分が運転する車よりも速度が遅いことが多いので、車線変更して合流スペースを空けるという思いやりのある運転が事故防止につながります。短い区間で分岐や合流が存在する板橋・熊野町ジャンクション間や堀切・小菅ジャンクション間などの難所では、「首都高ドライバーズサイト」で公開されている詳細図やポイントを事前に確認することが、安全運転の第一歩です。
国土交通省ウェブサイト
(ジャンクションとインターチェンジの正式な定義、立体交差の法律上の規定について)
首都高速道路㈱
(首都高の複雑なジャンクション構造、安全運転ガイドラインの詳細情報)