シビックRSのレブマッチシステムは、クラッチペダルのストロークセンサー、トランスミッションのニュートラルポジションセンサー、トランスミッションの回転数センサーの3つのセンサー情報を活用して動作します。システムはドライバーの変速操作を常時検知し、トランスミッションの回転数からシフトアップかシフトダウンかを瞬時に判断します。
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変速時にクラッチペダルが踏み込まれニュートラルポジションを通過すると、システムは適切なエンジン回転数を算出して自動制御を実行します。1速から3速へのシフトアップや、5速から2速といった飛び越しシフトダウンでも、システムがエンジン回転数を最適に制御してなめらかな変速を可能にします。
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ホンダの公式情報によると、レブマッチシステムはON/OFF切り替えが可能で、変速中にアクセル操作があった場合はアクセル操作を優先する設計となっています。ダウンシフト時にオーバーレブ回転に至ると判断した場合や、クラッチペダルがしっかり奥まで踏み込まれていない場合など、特定の条件下ではシステムが動作しないこともあります。
参考)https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/civictyper/2024/details/136227090-67454.html
シビックRSには、シングルマス軽量フライホイールが採用されており、重量で23%、慣性モーメントで30%の削減を実現しています。この軽量化により、エンジンの吹け上がりレスポンスが向上し、吹け下がりは50%も高速化されました。
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従来のデュアルマスフライホイールと比較して約5kgの軽量化が図られており、これがシフトチェンジ時の回転落ちの速さに直結しています。レブマッチシステムとの組み合わせにより、素早い回転変化に対してもシステムが正確に追従し、気持ちの良いシフトワークが可能となっています。
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ただし、軽量フライホイールには注意点もあります。低速域でのストップ&ゴーでは、半クラッチ状態でアクセルペダルを踏み込むと予想以上に鋭く吹け上がる傾向があり、慣れないとギクシャクしやすいという特性があります。これはワインディングロードでは優れた特性となりますが、市街地走行では運転技量の差が出やすい部分でもあります。
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シビックRSには、北米仕様の「SI」をベースとした専用サスペンションが採用されています。スプリングとスタビライザーを強化し、車高を5mmダウン(1415mm→1410mm)することで、ロール剛性を11%向上させています。
参考)https://kakakumag.com/car/?id=22236
フロントサスペンションのコンプライアンスブッシュは、液封式からソリッドラバーに変更されました。この変更により、旋回時に外輪が縮み切った際の挙動がコントロールしやすくなり、荒れた路面でも車体の揺れを抑制する性能を実現しています。
参考)https://news.kakaku.com/prdnews/cd=kuruma/ctcd=7010/id=144941/
ブレーキシステムもRS専用に開発されており、フロントディスクローターが大径化されています。踏み始めからドライバーの意図した通りの減速度が発生し、コントロール性も向上しています。カタログには記載されていない進化点として、フロントナックルが専用品に、リアアームにはタイプR用のものが採用され、高剛性化が図られています。
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レブマッチシステムの最大のメリットは、熟練を要するヒール&トゥ操作を誰でも可能にする点です。シフトダウン時の回転合わせをシステムが自動で行うため、MT初心者でも常に100点のブリッピングでクラッチに優しい運転ができます。
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youtube
モータースポーツ誌の試乗レポートでは、「シケイン進入時のフルブレーキからの3速から2速へのシフトダウンが、吸い込まれるように入っていくのはまさに快感」と評価されています。レブマッチ機能があまりにも便利で、シフトを丁寧にやらなくても入ってしまうという指摘もあり、技量低下への懸念も挙げられています。
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シビックタイプRと同様、RSでもレブマッチシステムは全てのドライブモード(コンフォート、スポーツ、+R)で機能します。クラッチの摩耗を軽減し、車を長く維持するためにも、レブマッチ機能を積極的に使用することが推奨されています。youtube
参考)レブマッチシステムがめちゃ便利 MT初心者目線|たま。@タイ…
シビックRSには、1.5L VTEC TURBOエンジンが搭載されており、最高出力134kW(182ps)/6,000rpm、最大トルク240Nm(24.5kgf・m)/1,700-4,500rpmを発揮します。トランスミッションは6速MTのみの設定で、CVTやATの選択肢はありません。
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低回転域から高回転域までトルクフルなパフォーマンスを発揮し、アクセルを踏み込んだ瞬間から力強く加速する応答性を備えています。北米仕様の「SI」は約20馬力アップしていますが、日本向けは騒音規制の関係で導入できなかったとホンダの開発担当者は説明しています。
開発責任者によると、シビックタイプRでは日常域で3速くらいまでで十分であるのに対し、RSは「6速すべてを使い切れる楽しさ」を目指して開発されました。ステアリングコラムのトーションバーレートを60%向上させ、操舵のダイレクト感を増してタイヤの接地感をリニアに感じ取れるようにしています。
シビックRSはタイプRの廉価版ではなく、独自のコンセプトで開発されたモデルです。エンジン出力はRSが182ps、タイプRが330psと大きく異なりますが、日常公道で走れるスポーツカーとしての完成度を追求しています。
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価格面では、RSの予想価格が398万円とされており、タイプRと比較して大幅に手が届きやすい設定となっています。最後の国産ガソリンMT専用モデルとなる可能性があるため、MT好きのドライバーにとって注目すべき1台となっています。
RSはタイプRのような過激さはないものの、サスペンションは芯のある印象で、ワインディングロードでの軽量フライホイールならではのキレのあるエンジンレスポンスとステアリングフィールは素晴らしいと評価されています。車高ダウンも5mm程度に抑えられており、輪留めによるリアバンパーの損傷リスクもタイプRより低く、実用性も考慮された設計です。
参考)ASCII.jp:Honda「シビックRS」が「This i…