シーケンシャルウインカー、通称「流れるウインカー」は、正式には「連鎖式点灯方向指示器」と呼ばれます。従来の点灯パターンとは異なり、LEDが順番に点灯することで光が流れるように見えるのが特徴です。2014年までは違法改造として取締りの対象でしたが、法改正により日本でも使用が認められるようになりました。ただし、2014年以降も細かい保安基準が厳格に設定されており、単に「流れるウインカー」というだけではなく、その具体的な点灯パターンや装着方法が車検合格に大きく影響します。
参考までに、純正で流れるウインカーを採用している車種も増えていますが、社外品を後付けする際は特に注意が必要です。メーカーが「車検対応品」「保安基準適合品」と謳っていても、取付方法や車種によっては不合格になる可能性があり、実際に有名メーカーの製品でも検査場で不合格判定を受けたケースが報告されています。
流れるウインカーが車検に通るための最重要条件の一つが「水平方向への点灯」です。内側から外側に向かって横方向に光が流れなければならず、縦方向への点灯は絶対に認められません。特に注意が必要なのはミニバンなど縦長のテールランプを持つ車両です。
縦長のテールランプに流れるウインカーを装着する場合、形状的に縦方向の点灯になってしまうケースが多く発生しています。「車検対応品」として販売されているキットでも、実装方法によっては上下方向に流れていると判定され、車検場で不合格になってしまいます。さらに複雑なのは、複数の点灯パターンがプログラミングされている製品の場合、素人による取付では予期しない動作をする可能性があることです。ハイエースなどの人気カスタム車種でも、このポイントで検査不合格となるケースが後を絶ちません。
ウインカーの点滅周期は法律で厳密に定められており、毎分60回以上120回以下という範囲内に収まっていなければなりません。この基準から外れると、いかに見た目が素晴らしくても車検には通りません。点滅が遅い場合はウインカーリレーの不具合が疑われ、点滅が速い場合はLEDウインカーの抵抗値不足やハイフラッシャー現象が考えられます。
特に気をつけたいのは「複数のウインカーの周期が異なる」というトラブルです。フロントウインカー、サイドウインカー、リアウインカーのすべてが完全に同期していなければならず、一つでも周期がズレていると不合格判定を受けます。通常のウインカーリレーではなく、流れるウインカー専用のリレーを使用する必要があり、社外品を取付ける際は必ず専用のコントロールユニットが付属しているか確認することが大切です。
保安基準に明記されている重要な条件に「全点灯」と「同時消灯」があります。つまり、LEDが順番に点灯していくわけですが、最終的にはすべてのLEDが点灯状態になる必要があります。その後、全LEDが同時に消灯する仕組みになっていなければいけません。
この条件を見落とす人が多く、「光が流れるように見える」だけの製品では不合格になります。また、全点灯に到達する過程で何らかのLEDが切れていると、左右対称性が失われるため車検に通りません。一般的には製品自体にはこのプログラムが正しく組み込まれていますが、取付時の配線ミスや、時間経過によるLED不具合などで検査時に問題が生じることがあります。購入時には全点灯の確認、定期的なLED点検を忘れずに行いましょう。
流れるウインカーの有効性は点灯パターンだけでなく、取付位置によっても左右されます。保安基準では細かい寸法が定められており、ウインカーの上縁部が地面から2.1メートル以下、下縁部が0.35メートル以上という高さの規制があります。さらに注意深く見ると、ウインカーの左右最内縁の間隔が600ミリメートル以上離れていること、車体の最外側からウインカーの最外縁までの距離が400ミリメートル以内に収まっていることが求められます。
純正の位置にウインカーを装着する場合は基本的に問題ありませんが、社外品テールランプへの装着時には要注意です。実際に有名メーカーの製品であっても、流れるウインカー点灯時に指示部の最縁内間隔が600ミリメートル以下になってしまい、検査不合格になったケースが報告されています。古い整備書の情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、最新の保安基準を確認した上で、必要に応じて専門業者に相談することをお勧めします。
ウインカーレンズのひび割れは、多くのドライバーが軽視しがちですが、車検では厳格に判定されます。明確な基準がなく、検査員の判断に委ねられるという曖昧さがあるため、わずかなひび割れでも検査官によっては不合格にされる可能性があります。レンズの一部が欠けている場合はほぼ確実に不合格ですが、細かいひび割れでも光の透過性や安全性の観点から問題視されることがあります。
ウインカーレンズは物理的なダメージを受けやすく、走行中の飛び石や接触事故などで傷つく可能性があります。「2年前は通った」という過去の経験に頼らず、毎回の車検前に念入りチェックし、怪しいひび割れを見つけたら迷わず交換することが重要です。特に持ち込み検査場では検査基準が厳しい傾向にあるため、事前の修理は必須と考えるべきです。
参考情報：ウインカーの点灯基準の詳細は国連欧州経済委員会の規制情報を確認できます。また、大阪などの運輸支局では電話相談窓口でレンズ基準について質問することも可能です。
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