高速自動車国道法施行規則は、昭和46年9月8日に建設省令第19号として制定された法令で、高速自動車国道法第11条第2項の規定に基づいて定められています。この規則は、高速道路と道路等の連結の許可手続を定めることを主な目的としており、道路管理者や施設管理者が高速道路に接続する際の具体的な手続きを規定しています。
参考)e-Gov 法令検索
高速自動車国道法は、昭和32年法律第79号として制定され、高速道路に関する路線の指定、整備計画、管理、構造、保全等に関する事項を定めています。この法律の目的は、高速自動車国道の整備を図り、自動車交通の発達に寄与することにあります。施行規則はこの法律を具体的に運用するための詳細な手続きを定めた省令として機能しています。
参考)高速自動車国道法|条文|法令リード
規則の適用範囲は、高速自動車国道と連結する施設の管理者全般に及びます。具体的には、商業施設、レクリエーション施設、休憩所、給油所などの通行者の利便に供する施設や、相当数の者が高速道路を通行して利用すると見込まれる施設が対象となります。これらの施設を管理する者は、国土交通省令で定める手続きに従って連結許可を受けなければなりません。
参考)https://www.mlit.go.jp/onestop/015/images/015-001.pdf
高速道路を利用する運転者にとって、この規則は直接的な義務を定めるものではありませんが、高速道路のインフラ整備や施設配置の基準を定めることで、間接的に利用環境に影響を与えています。高速道路の構造や連結施設の配置は、この規則に基づいて計画・整備されており、運転者の安全性と利便性の確保に寄与しています。
連結許可の申請手続きは、高速自動車国道法施行規則第2条に詳細に規定されています。高速自動車国道法第11条第2号に掲げる施設の管理者が連結許可を申請する際には、国土交通大臣が定める整備計画に適合していることが前提条件となります。申請は随時受け付けられており、施設管理者はいつでも許可申請を行うことができます。
参考)高速自動車国道法施行規則 (高速自動車国道と道路等の連結の許…
連結許可申請書には、以下の事項を記載する必要があります。高速自動車国道の路線名、連結位置及び連結予定施設の詳細、連結のために必要な工事に要する費用の概算額などが必須項目です。これらの情報は、国土交通大臣が連結の適否を判断するための重要な材料となります。
参考)https://lawviewer.jp/law/346M50004000019.html
連結許可の基準は、施設の種類によって異なります。道路や一般自動車道などの施設は整備計画に適合する必要があり、商業施設やレクリエーション施設などは整備計画に加えて国土交通省令で定める施設の構造に関する技術的基準に適合しなければなりません。さらに、これらの施設が他の通路等に連結する場合は、政令で定める連結位置に関する基準も満たす必要があります。
参考)高速自動車国道法施行令 |Lawzilla(迷わない法令デー…
連結位置に関する基準は、高速自動車国道法施行令第6条で定められており、本線車道に接続する部分の具体的な要件が規定されています。この基準は、高速道路の安全性と円滑な交通流を確保するために設けられており、変速車線の配置や接続角度などの技術的な要件が含まれています。
参考)https://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2015data/1601/1601kaisei_mlit.pdf
許可を受けた施設の管理者は、国土交通省令で定める基準に従って施設の維持管理を行う義務があります。また、施設の構造について変更を行おうとする場合には、軽微な変更を除き、あらかじめ国土交通大臣の許可を受けなければなりません。これにより、連結施設の安全性と機能性が継続的に確保される仕組みになっています。
高速自動車国道法第17条は、高速道路の通行に関する基本的な制限を定めています。何人もみだりに高速自動車国道に立ち入り、または高速道路を自動車による以外の方法により通行してはならないとされており、高速道路は原則として自動車専用の道路として位置づけられています。国土交通大臣は、高速道路の入口その他必要な場所に通行の禁止または制限の対象を明らかにした道路標識を設ける義務があります。
高速道路を利用する運転者には、道路交通法第75条の10に定められる「高速自動車国道等運転者遵守事項」の遵守が義務付けられています。具体的には、高速道路で運転する際、燃料、冷却水、原動機オイルの量や積載物の状態を点検し、不足や転落、飛散を防止する措置を講じなければなりません。この義務を怠り、高速道路上でガス欠を起こした場合は「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となります。
参考)意外な交通違反も!? 高速道路を走行する際の注意事項・・・今…
高速道路でガス欠を起こした場合の罰則は、違反点数2点、反則金は大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円が科されます。ガス欠は事前に防げる事象であるため、高速道路を利用する前やサービスエリアのガソリンスタンドなどで余裕をもって給油することが推奨されています。燃料残量警告灯が点灯した場合は、一番近い場所で給油するか、最寄りのインターチェンジで高速道路を降りて給油してから再び高速道路に入るべきです。
参考)https://www.ics.or.jp/column/jikokosyouihan
高速道路上で事故や故障により停止した場合には、停止表示器材(三角表示板)の表示が道路交通法第75条の11によって義務付けられています。三角表示板の車載自体は義務ではありませんが、高速道路および自動車専用道路上で自動車を停止させる場合には表示が必須となります。停止表示器材の表示をしなかった場合には、違反点数1点と普通車の場合反則金6,000円が科されます。
参考)https://www2.police.pref.ishikawa.lg.jp/trafficsafety/upload/kousoku_tyui.pdf
安全運転義務違反も高速道路で頻繁に問題となる違反行為です。脇見運転は「安全運転義務違反」に該当し、違反点数2点、反則金は大型車12,000円、普通車9,000円、二輪車7,000円が科されます。高速道路では100km/hで走行していると1秒間で約28mも進むため、ごくわずかな時間の脇見でも追突事故などを引き起こす可能性があります。特にスマホの操作による脇見運転の場合は、より重い「携帯電話使用等違反」となり、事故がなくても違反点数3点、反則金は大型車25,000円、普通車18,000円、二輪車15,000円が科されます。
参考)反則行為の種別及び反則金一覧表 警視庁
高速自動車国道の整備計画は、高速自動車国道法第5条に基づいて国土交通大臣が定める重要な計画です。路線が指定された場合、国土交通大臣は政令で定めるところにより、当該高速道路の新設に関する整備計画を定めなければならず、これを変更する際も同様の手続きが必要となります。整備計画の策定は、高速道路の建設と管理の根幹をなすものであり、すべての道路管理行為に先立つ根源的な行為といえます。
参考)https://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2008_data/seminar0809.pdf
整備計画に定める具体的な事項は、高速自動車国道法施行令第2条第1項で規定されています。経過する市町村名、区間ごとの車線数、区間ごとの設計速度、連結位置などが主な項目として含まれます。これらの事項は、高速道路の機能と性能を決定づける重要な要素であり、後の連結許可の審査においても基準として用いられます。
国土交通大臣が整備計画を定める際には、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経なければならないとされています。また、関係都道府県(指定都市の区域内における整備計画にあっては当該指定都市)の意見を聴くことも義務付けられており、地方自治体の意向が反映される仕組みになっています。この手続きにより、国と地方の調整が図られ、地域の実情に即した高速道路整備が可能となります。
参考)https://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/603819.pdf
整備計画の変更が必要な場合として、インターチェンジの追加設置があります。インターチェンジの追加にあたっては、連結を希望する道路の道路管理者が国土交通大臣に対して連結許可申請を行い、許可を得ることが必要です。国土交通大臣は連結許可を行うにあたって、高速自動車国道法第5条に規定する整備計画に定める必要があるため、整備計画の変更手続きを並行して進めることになります。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/000209606.pdf
整備計画の変更に際しては、国から関係地方公共団体への意見照会が行われます。地方公共団体は計画の検討・調整を行い、連結許可申請を行った後、国が整備計画を変更し、最終的に連結許可が下りて事業着手となります。このプロセスを経て、新たなインターチェンジやスマートインターチェンジが設置され、高速道路の利便性が向上していきます。
参考)https://www.town.saitama-misato.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/42/s-ic-rule.pdf
高速道路利便施設の連結手続きには、開放型と閉鎖型の2種類があり、それぞれ異なる手続きが定められています。開放型の高速道路利便施設は、高速自動車国道における連結において、国土交通省本省が審査基準を公表し、ホームページ等で連結に関する情報提供を行います。国土交通大臣は、技術的な基準等による審査を行うとともに、地域経済への影響、まちづくり、環境の保全等の観点から、施設の所在する地方公共団体の意見を聴取します。
参考)https://www.city.wako.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/688/202033092357.pdf
閉鎖型の高速道路利便施設については、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(機構)が審査基準を公表し、手続きを進めます。機構はホームページ等で情報提供を行い、申出者の申出について技術的な基準等による審査を行います。審査にあたっては、開放型と同様に地方公共団体の意見聴取が行われ、さらに第三者委員会において連結許可の可否等について審議されます。
連結許可の期間は、連結許可の日から10年以内とされており、10年を超える場合は10年毎に更新する必要があります。この期間制限は、施設の適切な運営と維持管理を担保するための仕組みであり、定期的な見直しの機会を提供しています。連結許可は公安委員会への協議を経た上で行われるため、交通安全の観点からも慎重な審査が行われます。
連結許可に関する取扱いは、平成17年10月の道路局長通達「高速自動車国道又は自動車専用道路に連結する施設の許可の取扱いについて」に詳細が定められています。この通達では、SA・PA事業における民間活力の活用など、高速道路の利便性向上のための具体的な指針が示されています。近年では、民間事業者の参入を促進することで、高速道路利用者へのサービス向上が図られています。
参考)https://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2014data/1404/1404Expressway_sapa.pdf
連結許可を受けた施設の管理者が変更となる場合には、承継手続きが必要です。相続人、合併または分割により設立される法人などの一般承継人は、被承継人が有していた連結許可に基づく地位を承継し、承継の日の翌日から起算して30日以内に国土交通大臣にその旨を届け出なければなりません。また、国土交通大臣の承認を受けて連結許可に係る施設を譲り受けた者も、譲渡人の地位を承継することができます。
国土交通大臣は、連結許可には高速道路の管理のため必要な範囲内で条件を付することができます。この条件により、施設の運営方法や維持管理の基準など、個別の状況に応じた適切な管理が求められます。連結許可の基準と手続きは、高速道路の安全性と利便性のバランスを保ちながら、民間活力を活用した高速道路サービスの充実を実現するための重要な仕組みとなっています。
高速自動車国道法には、高速道路の安全と機能を守るための独自の罰則体系が設けられています。第26条では、高速道路を損壊し、もしくは高速道路の附属物を移転、損壊して高速道路の効用を害し、または高速道路における交通に危険を生じさせた者に対して、5年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。この罪は未遂罪も罰せられる重大な犯罪として位置づけられています。
参考)https://www.e-nexco.co.jp/assets/pdf/company/law_ordinance/covnants/revision_220401.pdf
さらに重大な事態として、第27条は高速道路を損壊等して自動車を転覆させ、または破壊した者に対して10年以下の懲役を科すと定めています。この罪を犯して人を傷つけた場合は1年以上の有期懲役、死亡させた場合は無期または3年以上の懲役と、極めて重い刑罰が規定されています。高速道路での事故が重大な結果を招きやすいことから、このような厳罰が設けられています。
過失による高速道路の損壊等についても、第28条で罰則が定められています。一般の者が過失により第26条第1項の罪を犯した場合は50万円以下の罰金ですが、高速道路の管理に従事する者が犯した場合は1年以下の禁錮または100万円以下の罰金とより重い処罰が科されます。管理従事者には高い注意義務が課されていることが分かります。
連結許可に関する違反についても罰則が設けられています。道路法第71条の準用規定に基づく国土交通大臣の命令に違反した者は、100万円以下の罰金に処せられます。また、第14条に規定する特別沿道区域内での建築制限に違反した場合は30万円以下の罰金が科されます。これらの罰則により、高速道路周辺の環境と安全が保護されています。
法人に対する罰則も規定されており、法人の代表者や従業者が業務に関して違反行為をした場合には、行為者を罰するほか、その法人に対しても各本条の罰金刑が科されます。これは両罰規定と呼ばれるもので、法人としての管理責任を追及する仕組みです。高速道路の安全確保には、個人だけでなく組織としての責任も重要であるという考え方が反映されています。
国土交通大臣に代わって権限を行う者(第9条の規定により)は、罰則の適用については国土交通大臣とみなされます。これにより、権限を委譲された者も適切に職務を遂行する責任が担保されています。高速自動車国道法の罰則体系は、高速道路という特殊な交通環境における安全と秩序を維持するため、道路交通法とは別に独自の規定を設けている点が特徴的です。
公式な法令情報については、以下のリンクで確認できます。
高速自動車国道法施行規則(e-Gov法令検索)
こちらは高速自動車国道法施行規則の全文が掲載されており、連結許可手続きの詳細を確認できます。
高速自動車国道法(e-Gov法令検索)
こちらは高速自動車国道法の全文が掲載されており、高速道路の管理や罰則規定の根拠法令を確認できます。
国土交通省「道路行政の簡単解説」(PDF)
こちらは道路法と高速自動車国道法の関係や道路の種類について分かりやすく解説されています。