75歳以上のドライバーは、運転免許証の更新時に認知機能検査の受検が義務付けられています。この検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の6か月前から受けることができます。検査時間は約30分ですが、結果通知や答え合わせを含めると1〜2時間程度かかります。
参考)認知機能検査について|警察庁Webサイト
認知機能検査は全国共通の内容で実施され、記憶力と判断力を測定する2つの検査項目から構成されています。検査結果は後日、認知機能検査結果通知書として書面で通知されます。対象者には更新期間満了日の6か月前までに、警察から認知機能検査等の通知が届きます。
参考)高齢者講習前の認知機能検査のイラストの覚え方!出題流れも解説
総合点の算出には独自の計算式が用いられており、「総合点=2.499×手がかり再生の点数+1.336×時間の見当識の点数」で計算されます。手がかり再生の配点が大きいため、特にこの項目への対策が重要です。
参考)「採点方法」|警察庁Webサイト
手がかり再生は、認知機能検査の中核をなす検査項目で、16枚のイラストを記憶し、後で思い出して答える問題です。検査では、4種類のイラストが描かれたボードが4枚提示され、動物、野菜、昆虫などのさまざまなイラストが使用されます。
イラストを覚える時間は約5分間で、試験官から「この中に、△△があります。それはどれですか?」という形で質問されます。例えば「この中に、楽器があります。それはどれですか?」と質問され、「オルガンです」と声に出して答える形式です。
回答は「自由回答」と「手がかり回答」の2段階で行われます。自由回答はヒントなしで答える方式で、手がかり回答は試験官からヒントをもらって答える方式です。採点基準は、自由回答で正解すると2点、手がかり回答のみの正解は1点、両方とも不正解の場合は0点となります。
イラストを覚えた後には「介入問題」と呼ばれる別の課題が挟まれます。これは、数字が記載された表から指定された数字を探して斜線で消す作業で、検査時間は約2分です。この介入問題の正誤は採点に影響せず、記憶から回答までに時間を空けることが目的です。
認知機能検査の結果が36点未満の場合、「認知症のおそれあり」と判定され、医師の診断が必要になります。この場合、警察から連絡があり、臨時適性検査の受検または診断書提出命令により医師の診断を受けることになります。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-cognitive-function-test/
医師の診断で「認知症でない」と診断された場合は、高齢者講習を受講すれば運転免許を更新できます。一方、「認知症である」と診断された場合は、聴聞などの手続きを経たうえで免許の取消しまたは効力の停止を受けることになり、運転ができなくなります。
参考)高齢者講習に不合格はある?講習対象者や種類・内容も解説
認知機能検査は再検査の受検が可能です。ただし、受検するたびに手数料が必要になります。36点以上を取得した場合は「認知症のおそれなし」と判定され、2時間の高齢者講習(受講料6,450円)を受講することで免許更新の手続きを進められます。
参考)認知症を発症したら免許はどうなる?認知機能検査について徹底解…
運転技能検査は、75歳以上で普通免許を所持し、かつ運転免許証の有効期限満了日直前の誕生日の160日前から3年間に一定の違反歴がある方が対象です。この検査は2022年5月13日から導入されました。
参考)https://www.kamiike.co.jp/blog/2023/07/31/4195/
対象となる違反行為は11種類で、信号無視、速度超過、横断歩行者等妨害、携帯電話使用等などが含まれます。検査では普通自動車でコース内を運転し、指示速度による走行、一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げなどの基本的な運転技術が評価されます。
参考)高齢者(75歳以上の方)の免許更新について|香川県警察
採点は100点満点から減点方式で行われ、大型二種・中型二種・普通二種の場合は80点以上、それ以外の免許保持者は70点以上で合格となります。運転技能検査は更新期間中であれば何度でも受けることができます。検査は指定教習所等で実施され、手数料は各自動車学校により異なります。
参考)免許証更新時、75歳以上の高齢ドライバーを対象に実車試験(運…
認知機能検査のイラスト記憶には、効果的な覚え方がいくつか存在します。まず、テキストや問題集を活用した事前学習が推奨されています。検査で出題されるイラストや検査用紙は警察庁の公式ホームページに掲載されており、事前に確認することができます。
イラストはA〜Dの4つのパターンがあり、全部で64枚のイラストから16枚が出題されます。どのパターンが出題されるかは当日まで分かりませんが、事前に見たことがあるだけでも本番の緊張を大きく減らせます。
参考)【認知機能検査 イラスト対策 2025】パターンCの覚え方を…
効果的な記憶方法として、語呂合わせ法(イラストの頭文字をつなげる)、俳句法(5・7・5のリズムで覚える)、場所法(家の中の場所と関連付ける)などが紹介されています。また、ストーリー法で記憶したあとに模擬試験形式で解くことで、「思い出す力」が強化されます。
参考)【全64枚】認知機能検査で出題されるイラストパターンとストー…
YouTube動画などで短縮版や完全版の模擬試験が公開されており、本番と同じ制限時間・出題枚数で練習することができます。まず短縮版の模擬試験から取り組んで記憶の定着を確認し、より本番に近い練習をしたい場合は完全版に挑戦することが推奨されています。
運転に不安を感じる高齢ドライバーは、自主的に運転免許証を返納することができます。加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった方や、運転免許が不要になった方が対象です。
参考)高齢者運転免許自主返納の促進|川西市
運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を受けることができます。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用することができます。記載住所が兵庫県内で65歳以上の方は、運転経歴証明書を提示することで様々な特典を受けることができます。
参考)運転免許証の自主返納について|警察庁Webサイト
ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方は自主返納することができません。また、自主返納後5年以上または運転免許失効後5年以上が経過している方、交通違反等により免許取消しとなった方も運転経歴証明書の交付を受けることができません。
地域の実情に応じて、自治体や事業者等による様々な支援が行われており、詳細は一般社団法人全日本指定自動車教習所協会が運営する「高齢運転者支援サイト」で確認できます。手続きの方法や特典の詳しい内容については、各都道府県警察のホームページで案内されています。
警察庁の認知機能検査の詳細ページ
検査の流れ、イラストのサンプル、採点方法などの公式情報が掲載されています。
高齢運転者支援サイト(全日本指定自動車教習所協会連合会)
認知機能検査の方法と内容、各種支援制度について詳しく解説されています。