小松白川連絡道路は、石川県小松市の北陸自動車道小松ICから岐阜県大野郡白川村の東海北陸自動車道白川郷ICまでを直結する延長約50kmの地域高規格道路です。1994年12月16日に計画路線として指定されており、両県を隔てる急峻な両白山地を長大トンネルで貫通する構想となっています。
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このルートの最大の特徴は、現在の迂回路線である小矢部砺波JCT経由の大幅な迂回を解消し、石川県と岐阜県を最短距離で結ぶことです。直線距離では50kmにも満たない近さでありながら、急峻な山岳地帯のため道路網が極めて限定的な地域において、画期的な短絡ルートを提供します。
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現在のルート詳細については、2024年3月に開催された第2回小松白川連絡道路検討会において技術的調査の方向性が示されており、長大トンネルの実現可能性について具体的な検討が進められています。
小松白川連絡道路の工事進捗は現在、技術的検証段階にあります。2021年に先進技術の検証方法を具体化し、2022年に実際の技術検証を実施、2023年には先進技術が導入可能であることが確認されました。
2024年3月末には第2回小松白川連絡道路検討会が開催され、今後の具体的な動きとして長大トンネルの技術的調査が実施されることが決定されています。両県は事業化の準備段階である「計画段階評価」に向けて、道路が果たす役割の整理を進めており、白山信仰への配慮や能登半島地震の影響も考慮されています。
工事着手に向けては、費用便益分析などを踏まえた整備基本方針の取りまとめが必要で、その後に概略ルートの決定へと進む予定です。ただし、東海北陸道の4車線化事業や中部縦貫道の工事が優先される可能性があり、本格的な予算投入は他事業の進捗次第となる見込みです。
小松白川連絡道路の開通予定時期については、現時点で具体的な年次は公表されていません。現在は技術的検証段階であり、長大トンネルの実現可能性を確認している状況です。
事業化までのプロセスを見ると、まず地元主体による整備基本方針の策定が必要で、その後国の「計画段階評価」により概略ルートが決定されます。これらの手続きを経て初めて具体的な設計・施工段階に入るため、開通までには相当な期間を要すると予想されます。
さらに、現在進行中の東海北陸道全線4車線化事業や中部縦貫道(福井~高山~松本)の整備が優先される可能性があり、小松白川連絡道路への本格的な予算配分はこれらの進捗状況に左右される見込みです。技術的な困難さと予算の優先順位を考慮すると、開通は2030年代以降となる可能性が高いと考えられます。
現在、石川県と岐阜県を結ぶ唯一の直接ルートは国道360号であり、特に県境部分は「白山白川郷ホワイトロード」という有料道路になっています。この道路は全長33.3km、最高標高1450mに達するスーパー林道で、麓からの標高差が約1000mという極めて厳しい峠道です。
白山白川郷ホワイトロードは土砂崩れなどの被害を受けやすく、最近では2022年夏の道路崩落により翌春まで通行止めとなった事例があります。また冬季は閉鎖されるため通年通行ができず、観光バスや大型トラックなどの通行にも制約があります。
一方、小松白川連絡道路が実現すれば、信号なし・峠越えなし・災害による通行止めなしでの通過が可能になります。石川県の試算によると、小松市~白川村の移動時間は最大70分もの短縮が期待され、金沢や加賀市方面から松本・長野方面への移動において大幅な利便性向上が見込まれています。
小松白川連絡道路の開通は、日本海側と太平洋側を結ぶ物流ルートとして大きな経済効果をもたらすと期待されています。現在の迂回ルートでは大型車両の通行が困難な白山白川郷ホワイトロードに代わり、年間を通じて安定した物流が可能になります。
特に観光面では、白川郷という世界遺産への新たなアクセスルートとして機能し、石川県側からの観光客増加が見込まれます。中部縦貫道の完成と合わせれば、小松から松本、さらに小淵沢方面まで3時間圏内となり、広域観光周遊ルートの形成に大きく貢献します。
また、能登半島地震を受けて代替ルートの重要性が再認識される中、小松白川連絡道路は北陸道や中部縦貫道の代替区間としての役割も期待されています。災害時のリダンダンシー確保という観点からも、その整備意義は高まっています。地元からは「通年通行化は悲願」との声もあり、地域の長年の課題解決につながる重要なインフラとして位置づけられています。