地域高規格道路と高速道路の違い、特徴と機能

地域高規格道路と高速道路の違いをご存知ですか?走行速度、料金体系、整備目的の違いから、実例まで詳しく解説。ドライバーが知っておくべき重要な情報をまとめました。

地域高規格道路と高速道路の違いと役割

地域高規格道路と高速道路の基本違い
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高速道路の定義

全国規模で都市間を連絡する自動車専用道路。高規格幹線道路の中核を成す。

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地域高規格道路の役割

地域発展の核となる都市を連結し、高速道路を補完する広域道路ネットワーク。

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整備体制の違い

高速道路は全国レベルで統一、地域高規格道路は地域の実情に合わせ弾力的に整備。

地域高規格道路と高速道路の整備目的の違い

 

高速道路と地域高規格道路は、整備される目的が根本的に異なります。高速道路は「高規格幹線道路」として全国的な自動車高速交通網を形成することを目的としており、地方の中心都市を効率的に連絡し、大都市圏の環状道路機能を担っています。一方、地域高規格道路は「高規格幹線道路を補完し、地域の自立的発展や地域間の連携を支える道路」として指定されたもので、全国規模ではなく地域レベルでの経済活動や交通需要に応えるために整備されます。

 

地域高規格道路の機能は「連携機能」「交流機能」「連結機能」の3つに分類されます。連携機能は通勤圏の拡大や都市と農山村地域の連携を強化し、地域集積圏の拡大を図ります。交流機能は高速道路を補完して物資流通や人の交流を活発化させ、地域集積圏間の交流を促進します。連結機能は空港・港湾などの広域的交流拠点と連結することです。これらの機能により、地域高規格道路は「地域における広域的な幹線道路」としてのポジションを確立しています。

 

地域高規格道路と高速道路の走行速度とサービス水準の違い

走行速度およびサービス水準における違いは、両道路の大きな特徴です。高速道路は80km/h以上の設計速度で統一されており、一般的に100km/h前後での走行が可能です。一方、地域高規格道路は「概ね60km/h以上のサービス速度」を目安としており、60~80km/h程度が目安となります。

 

構造要件も異なります。高速道路は全ての交差点が立体交差(高架またはトンネル)であり、沿道アクセスは制限されています。これにより渋滞が少なく、安定した走行が可能です。一方、地域高規格道路は2003年の構造要件の見直し以降、より柔軟な基準が適用されるようになりました。現在、地域高規格道路は「平面交差も可能」「沿道アクセスも可能」という緩和要件が適用される場合があり、既存の一般道路を活用した整備も可能になっています。これは地域の実情に応じた経済的で効率的な道路整備を可能にしています。

 

地域高規格道路と高速道路の通行料金体系と管理運営

通行料金の仕組みが両者の大きな違いとなります。高速道路(高規格幹線道路)は有料道路が大多数であり、NEXCO(東日本・中日本・西日本)や本州四国連絡道路公団によって管理・運営されています。通行料金は距離に応じて計算され、中長距離利用時には割引が適用される場合があります。例えば普通車の料金は1kmあたり約24.6円が基本となり、100kmを超える長距離走行で25~30%の割引が受けられます。

 

地域高規格道路の料金体系は地域によって大きく異なり、多様な形態をとります。有料道路として整備されるものもあれば、無料開放されているものもあります。例えば、鳥取県内の地域高規格道路である山陰近畿自動車道は無料開放されています。これは国土交通省が「新直轄方式」で整備した一般国道の自動車専用道路として位置付けられているためです。この方式は不採算地域において国が直接整備・管理することで、地域住民へのサービス提供を優先させています。

 

地域高規格道路の構造的柔軟性と現実的な活用例

地域高規格道路は高速道路よりも構造的な自由度が高いという特徴があります。この柔軟性が、地域のニーズに対応した効率的な道路整備を可能にしています。1994年当初の構造要件は厳格でしたが、2003年の見直しで大幅に緩和されました。

 

緩和前は「4車線以上」「全ての交差点が立体交差」という厳しい条件でしたが、現在は「2車線以上」「平面交差の許可」「現道の活用」が可能になっています。これにより、既存の一般道路を改善して地域高規格道路として指定する道路が増えています。例えば、都市圏自動車専用道路として仙台・東京・名古屋・大阪・広島・北九州・福岡などの都市圏内で整備された都市高速道路の一部が地域高規格道路として位置付けられています。

 

全国では1994年の第1回指定で計画路線138路線(約6,950km)が指定され、1998年の第2回指定でさらに54路線が追加されました。整備区間のうち約3,289km(1067km供用済み)が実際に利用可能な状態にあります。

 

地域高規格道路と高速道路の統合動向と将来の展望

注目すべき動きとして、2023年に国土交通省は方針転換を発表しました。これまで計画策定手続きが異なっていた「高規格幹線道路」と「地域高規格道路」を統一し、両者を新たに「高規格道路」と位置付け、一体的な道路ネットワークとして管理・整備する方針を示したのです。この統合は、日本の道路ネットワーク政策における大きな転換点です。

 

この施策により、全国的な高速交通網と地域的なニーズのバランスが一層重視されるようになります。スクラップアンドビルド(古い施設を廃止して新しい施設を建設)の方針に基づき、限られた予算を効果的に配分し、全国の道路ネットワークの最適化が図られることが期待されています。地域発展と全国規模の交通効率化の両立を目指した、より統合的な道路政策へとシフトしているのです。

 


参考:国土交通省道路局では、高規格道路の詳細な定義と役割について、官方資料で確認できます。

 

国土交通省「道の相談室:道路についての定義・用語」
参考:地域高規格道路の整備状況と具体的な指定路線については、各地方整備局の資料で確認可能です。

 

中部地方整備局「地域高規格道路とは」

 

 


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