軽専用駐車場への普通車の駐車は法律違反ではありません。その理由は、駐車場が公道ではなく私有地だからです。駐車場法という法律は公道にある路上パーキングスペースが主な対象であり、コインパーキングや施設の駐車場に関する具体的なサイズ規定は法律では定められていません。駐車場運営会社が独自に設定したルールに過ぎないため、違反そのものが存在しないという法的解釈になります。
警察が出動することもなく、罰金も科されません。ただし駐車場管理者がルール違反と判断した場合、移動や退去を命じられる可能性があります。これは法的強制ではなく、あくまで私有地のルール適用です。
法律違反ではないものの、実際には多くのトラブルが発生しています。駐車場管理者からの報告によると、軽専用スペースに普通車が置かれている報告は定期的に受け付けているといいます。問題となるケースの多くは、軽自動車と普通車で利用料金が異なる場合です。
車両サイズを偽ったうえで安い料金で利用していると受け止められることがあり、常習者であれば注意を受けることもあります。差額の請求をされるケースもあり、単純な違法性の問題以上にトラブルへと発展しやすいのです。利用料金が同額の駐車場では比較的トラブルが少ないという報告もあります。
軽自動車の規格は全長3,400mm以内、全幅1,480mm以内です。一方、普通車や5ナンバーのコンパクトカーは全長4,700mm以下、全幅1,700mm以下と定められています。軽専用駐車場の一般的な寸法は幅2.28m×長さ3.6mであり、これは軽自動車のサイズに基づいて設計されています。
普通乗用車用の駐車スペースは幅2.5m×長さ5.0m、さらに最近は幅2.7~3.0mと大きなスペースが標準化されています。軽専用駐車場は軽自動車規格に基づいているため、普通車を停めると駐車スペースからはみ出す可能性が高く、物理的に難しい状況になるのです。
駐車場の敷地内に柱や壁などの障害物がある場合、全長5m確保できない箇所が生じます。そのような限られたスペースを活用するために、軽専用駐車場が設置されるケースが多いのです。駐車場全体の台数を増やすための工夫であり、敷地内を無断駐車させないための措置でもあります。
国土交通省の指針では軽自動車の駐車スペースは幅2.0m×長さ3.6mが基準とされており、これにより全体的な駐車場効率が高まります。狭い道幅しかなく5mの長さを確保できない場合でも、軽専用スペースとして活用すれば駐車場としての機能を果たせるということです。
軽自動車のナンバープレートは黄色が標準ですが、2019年のラグビーワールドカップ記念仕様や東京オリンピック・パラリンピック仕様では白ナンバーが存在します。このため、実は軽自動車なのに普通車に見えるケースが増えています。
軽専用駐車場に白ナンバーの軽自動車が停まっていても、見た目からは普通車だと勘違いされるのです。その結果、他の利用者から「普通車が違法に停めている」という報告が管理者に入り、不要なトラブルが生じることもあります。この誤認識は駐車場管理の現場で頻繁に発生しているとのことです。
軽専用駐車場の寸法設定や法的背景について:駐車場の駐車枠に関する法律的な観点と実務運用について詳しく解説しています
軽専用駐車場に普通車を停める場合の法的解釈と料金トラブル:具体的なトラブル事例と管理者の対応方法について
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでは、乗用車スペースと大型車スペースが厳格に分離されています。これはトラック運転手やバス乗務員の休憩確保が絶対的に必要だからです。停められる台数に制限があるため、異なるスペースへの駐車は他者への大きな迷惑となります。
一般の商業施設駐車場とは異なり、高速道路の駐車枠は法的な遵守義務がより強く働きます。マナーというレベルを超えた実質的な約束事であり、案内表示に従うことが強く求められるのです。