駐車場法は、都市における道路交通の円滑化と都市機能の維持を目的として、昭和32年に制定された法律です。この法律では、駐車施設の構造や設備に関する技術的基準を定めており、地方公共団体が条例で建築物に駐車施設の設置を義務付ける根拠となっています。基準は国土交通省の「駐車場設計・施工指針」で示され、車室の寸法、天井高、車路幅などが具体的に規定されています。
参考)「駐車場法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定
2025年3月には標準駐車場条例が改正され、共同住宅への荷さばき駐車施設の附置義務追加や、車椅子使用者駐車施設の基準見直しが行われました。この改正は2026年4月1日に施行される予定で、通信販売の利用増加や物流の「2024年問題」への対応が背景にあります。自動車を日常的に利用する方にとって、これらの基準は駐車場の使いやすさに直結する重要な要素です。
参考)共同住宅の荷さばき施設義務化で標準条例改正 26年4月施行

駐車場からのまちづくり: 都市再生のために
駐車場法における車室の寸法基準は、車両の種類によって異なる規定が設けられています。四輪車の基本的な車室寸法は、幅2.3m以上、奥行5.0m以上が最低ラインとされており、これは小型乗用車を想定したサイズです。普通乗用車の場合は幅2.5m以上、奥行6.0m以上が標準となり、より広いスペースが推奨されています。一方で軽自動車専用の車室では、幅2.0m以上、奥行3.6m以上のスペースで設置が可能です。
参考)立体駐車場の寸法は?幅・奥行きなど国土交通省のデータをもとに…
自動二輪車の車室は、幅1.0m以上、奥行2.3m以上という基準が定められています。特に注目すべきは、2025年の改正で新たに基準が明確化された荷さばき駐車施設で、幅3.0m以上、奥行7.7m以上、はり下の高さ3.2m以上と規定されました。これは2トン車が安全に出入りできることを前提とした寸法です。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000016/16355/guidebook(-P30).pdf
車路の幅員についても基準があり、駐車場内での車両の円滑な移動を確保するために重要な要素となっています。天井高は車両の高さに応じて設定され、機械式駐車場などでは特に厳密な管理が求められます。
参考)https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/5395/rogaikizyun.pdf
国土交通省の駐車場設計・施工指針の詳細な技術基準はこちらで確認できます
附置義務制度とは、駐車場法第20条に基づき、地方公共団体が条例で一定規模以上の建築物に駐車施設の設置を義務付ける制度です。この制度の目的は、路上駐車の解消と道路交通の円滑化にあります。対象となる地域は、駐車場整備地区、商業地域、近隣商業地域などで、都市計画で定められた区域内が中心です。
参考)倉庫や工場の附置義務駐車場とは?制度の内容や目的も解説|倉庫…
特定用途に該当する建築物には、百貨店や店舗、事務所、倉庫、工場などがあり、これまで共同住宅は含まれていませんでした。しかし2025年3月の駐車場法施行令改正により、2026年4月1日から共同住宅も特定用途に追加されることになりました。この改正は、超高層共同住宅の増加や宅配需要の拡大により、外部からの駐車需要が大きくなったことが背景にあります。
参考)「駐車場法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定
附置義務が適用される建築物の規模は自治体ごとに異なりますが、国が示す標準では、人口50万人以上の都市で延床面積1,500㎡以上、50万人未満の都市で1,000㎡以上が目安となっています。駐車台数の算定基準も用途や地域により異なり、例えば商業地域の倉庫では特定用途部分250㎡ごとに1台の設置が標準とされています。
大阪市の駐車施設附置条例の具体的な取扱いガイドブックはこちらで参照できます
駐車場法では、高齢者や障害者の移動円滑化を図るため、特定路外駐車場に車椅子使用者用駐車施設の設置が義務付けられています。車椅子使用者用駐車施設は、幅3.5m以上を確保する必要があり、一般車室の幅2.3m以上と比べて大幅に広いスペースが求められます。これは車両の横でドアを全開にし、車椅子の乗降に必要なスペースを確保するためです。
参考)障害者用駐車スペースとは?パーキング・パーミット制度も紹介
設置台数については、駐車場の規模に応じて基準が定められており、収容台数50台以下は1台、100台以下は2台、150台以下は3台、200台以下は4台が必要です。200台を超える場合は、収容台数に1/100を乗じた数に2を加えた台数以上の設置が求められます。これらの基準は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」に基づいています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/pdf/090515_2.pdf
車椅子使用者用駐車施設の配置については、出入口からの経路ができるだけ短くなる位置に設けることが求められ、施設入口に最も近い場所への設置が一般的です。また、車椅子使用者用駐車施設からの移動経路は段差を設けず、出入口幅80cm以上、通路幅120cm以上を確保する必要があります。2025年の標準駐車場条例改正では、車椅子使用者駐車施設の車高基準の追加と規模の変更も行われました。
参考)[国交省]「標準駐車場条例」を改正
国土交通省の車椅子使用者用駐車施設等の適正利用ガイドラインはこちらで確認できます
駐車場整備地区とは、駐車場法第3条に基づき、自動車交通が著しくふくそうする地区で、道路交通の円滑化と都市機能の維持のため、駐車場の整備が特に必要な地区として都市計画で定められた区域です。この地区内では、附置義務制度がより厳格に適用され、建築物の新築や増築時に駐車施設の設置基準が強化されます。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000005/5188/20170110_panhuretto.pdf
駐車場整備地区内での附置義務の適用基準は、一般的に商業地域や近隣商業地域よりも厳しく設定されており、延床面積2,000㎡を超える特定用途の建築物が対象となることが多いです。算定基準も地域により異なり、例えば駐車場整備地区では特定用途部分500㎡ごとに1台の駐車施設が必要とされる自治体もあります。
路外駐車場の届出制度については、駐車場法第12条で規定されており、以下の3要件を満たす駐車場を設置する際は事前の届出が必要です。①一般公共の用に供する駐車場であること、②駐車の用に供する面積の合計が500㎡以上であること、③利用者から駐車料金を徴収することです。届出事項には、駐車場の位置、規模、構造、設備などが含まれ、変更する場合も同様に届出が必要となります。
参考)駐車場法に係る基準・届出について|西宮市ホームページ
2025年3月7日に公布された駐車場法施行令の改正により、共同住宅が初めて特定用途に追加され、2026年4月1日から施行されます。この改正の背景には、超高層共同住宅による土地の高度利用や、通信販売の利用拡大に伴う宅配需要の急増があります。物流業界の「2024年問題」への対応として、路上での荷さばきによる交通渋滞や歩行者の安全性確保も改正の重要な理由です。
参考)国交省/共同住宅の荷さばき駐車施設不足で、駐車場法の一部改正…
改正により、地方公共団体は条例で共同住宅に対して荷さばき駐車施設の設置を義務付けることが可能になります。標準的な基準としては、2,000㎡かつ50戸以上の共同住宅に対し、100戸あたり1台の荷さばき駐車施設を設置することが目安とされています。ただし大規模物件では駐車需要が縮小される傾向があるため、400戸以上は基準の0.5倍、800戸以上は0.25倍に調整される想定です。
荷さばき駐車施設の規模は、2トン車が安全に出入りできることを前提に、幅3.0m以上、奥行7.7m以上、はり下の高さ3.2m以上と定められました。この基準は一般的な乗用車の車室寸法(幅2.3m以上、奥行5.0m以上)と比べて大幅に大きく、配送車両の大型化にも対応しています。
また今回の改正では、公共交通利用促進措置による附置義務緩和規定の追加や、既存の附置義務駐車施設の振替・緩和に係る規定も新設されました。これにより、車種ごとの需給の偏りへの対応や、歩行者の安全性確保のための駐車場集約なども推進されます。
国土交通省の標準駐車場条例改正に関する詳細なプレスリリースはこちらで確認できます
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