本庄道路1期区間は、埼玉県本庄市沼和田から群馬県高崎市新町までの延長7.0kmで、2003年度に事業化されました。この区間は神流川を渡る橋梁部分を含む難工事区間として知られており、全体事業費は当初の約260億円から約362億円に増額されています。
現在の工事状況について、関東地方整備局によると「早期の開通を目指し、鋭意努力していく」との回答が得られており、具体的な開通時期は明示されていないものの、着実に工事が進行中です。
神流川橋の建設は特に注目すべき工事で、標準横断図によると橋梁部の幅員は27.25mと土工部の24.25mより広く設計されており、将来の交通量増加にも対応できる構造となっています。
2022年度に事業化された本庄道路2期区間は、埼玉県深谷市岡から埼玉県本庄市沼和田までの延長6.1kmです。この区間の特徴は以下の通りです。
2期区間は1期区間と比較して平坦な地形を通過するため、工事の進捗は比較的順調に進むと予想されています。深谷バイパスとの接続部分では、既存の交通インフラとの整合性を図りながら設計が進められています。
現在の国道17号は、深谷市から本庄市、高崎市にかけて慢性的な渋滞が発生しています。特に問題となっているのは以下の区間です。
本庄道路の開通により、これらの渋滞ポイントを迂回することが可能となり、所要時間の大幅な短縮が期待されています。国土交通省の試算では、深谷~高崎間の所要時間が現在の約1時間から約30分に短縮される見込みです。
また、災害時の代替ルートとしての機能も重要で、関越自動車道に何らかの問題が発生した際のバックアップ機能を果たすことができます。
本庄道路の整備に合わせて、本庄市と上里町では「道の駅」の設置構想が進んでいます。この道の駅は、単なる休憩施設ではなく、地域の観光拠点としての機能も期待されています。
本庄市の道の駅基本構想では、以下の機能が検討されています。
上里町も独自の道の駅計画を進めており、両市町の連携により、本庄道路沿いに複数の道の駅が設置される可能性があります。これにより、ドライブ観光の新たな魅力が生まれることが期待されています。
本庄道路の建設は、地域経済に多方面にわたる影響を与えています。まず、建設工事そのものが地域の建設業界に大きな経済効果をもたらしており、総事業費約662億円の大部分が地域経済に還元されています。
開通後の経済効果としては、以下が期待されています。
物流効率化による効果
観光産業への影響
企業誘致効果
一方で、現道の国道17号沿いの商業施設には、通過交通の減少による売上への影響も懸念されており、地域全体でのバランスの取れた発展が課題となっています。
特に注目すべきは、本庄早稲田駅周辺の開発との相乗効果です。新幹線駅と高速道路アクセスの両方を備えた立地条件は、首都圏からの企業移転や新規立地にとって非常に魅力的な条件となっており、本庄道路の開通がこの優位性をさらに高めることになります。
また、農業分野でも効果が期待されており、農産物の出荷時間短縮により、より新鮮な状態で首都圏市場に供給できるようになることで、地域農業の競争力向上が見込まれています。
関東地方整備局の本庄道路事業概要
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000839804.pdf
本庄道路の整備により、埼玉県北部から群馬県南部にかけての交通体系が大きく変化することは確実です。単なる渋滞解消だけでなく、地域の産業構造や生活様式にも長期的な影響を与える重要なインフラ整備として、今後の進展が注目されています。