ガソリン色は世界で違う理由と国別の特徴

ガソリンの色は日本でオレンジ色に統一されていますが、世界ではどのような色をしており、なぜ国によって異なるのでしょうか?各国の事情から見る燃料の違いとは?

ガソリン色が世界で異なる背景

ガソリン色が世界で異なる背景
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ガソリン本来の色と着色理由

ガソリンは本来無色透明ですが、安全管理のため人工的に着色されています

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日本の規格基準

JIS規格K2202-2012でオレンジ色と統一され、誤給油や混油を防止

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国別規格の多様性

世界では色の定義がなく、各国が独自の基準や習慣で対応

ガソリン色が日本でオレンジ色に定められた安全規格

 

日本のガソリンがオレンジ色に着色されるのは、JIS規格(K2202-2012)によって厳密に定められているためです。ガソリンは引火性が高く、マイナス40℃でも気化・爆発するほど危険な液体であり、一目でガソリンと識別できるようにするための措置です。この着色によって、軽油(淡黄色)や灯油(無色透明)との誤給油や混油を防ぎ、ドライバーや施設管理者の安全を確保しています。

 

レギュラーガソリンとハイオクガソリンの両方がオレンジ色で統一されているのは、どちらも同じ安全カテゴリに属するためです。多くのドライバーは給油ノズルの色(赤:レギュラー、黄:ハイオク、緑:軽油)で区別していますが、実際のガソリン液体自体は同じオレンジ色です。この色分けは、1970年代から1980年代にかけて国際的な安全基準の統一が進む中で、日本も採用した重要な安全管理システムです。

 

ガソリン色が実は薄いグレープフルーツジュース色である実態

多くの人がガソリンを「無色透明」や「黄金色」と想像していますが、実際のガソリンは薄いグレープフルーツジュースのような色をしています。オレンジ色と一般的には説明されますが、メーカーによって濃さに若干の差があり、より赤い色に見えることもあれば淡く見えることもあります。この色の違いは、着色に使用される添加物の種類や濃度、また液体の量と光の当たり方に依存します。

 

興味深いことに、多くの人がガソリンだと思っている色は、実は軽油の薄黄色に近いというミスマッチが存在します。法律によってガソリンの実物写真を撮影・公開することが禁じられているため、一般大衆がガソリンの真の色を正確に認識する機会が限定されています。携行缶に入れたガソリンを見る際にも、ガソリンタンクは光が当たらないように設計されているため、実際の色を確認する機会はほとんどありません。

 

ガソリン色で区別される世界の燃料種と航空機用の特殊規格

世界的には、ガソリンの着色方法が国によって大きく異なります。アメリカやカナダではガソリンが薄い黄緑色をしており、日本のオレンジ色とは明らかに異なります。この色の違いは、使用される着色剤の種類や、各国の安全基準、さらには石油精製プロセスの違いに起因しています。軽油との区別、灯油との区別といった安全管理の重要性は共通していますが、具体的な色選択は各国の歴史的背景や規制環境に左右されています。

 

特に注目すべき例として、航空機用ガソリン(AVGAS)があります。100LL規格の航空機用ガソリンは綺麗な青色に着色されており、自動用のガソリンと完全に区別されます。これは、航空機という特殊な環境での誤給油防止が極めて重要だからです。一方、ジェットエンジン用の燃料(JET A-1やJP-4)は無色透明のままです。このように、用途に応じて色分けを行うことで、世界中で安全な燃料管理が実現されています。

 

ガソリン色から判別できる不正軽油検査と品質管理

ガソリンや軽油の色は、単なる安全識別だけでなく、品質管理や脱税行為の検出に使用されます。不正軽油(軽油に灯油や重油を混ぜて税金回避する行為)の検査では、色が重要な判別基準となります。灯油を混ぜると液体が透明になり、重油を混ぜると真っ黒になるため、色の異常は脱税行為の可能性を示唆しています。ただし、悪質な業者は色をカモフラージュするため、色だけでなく専用分析器による詳細な検査が行われます。

 

さらに、ガソリンと軽油は色だけでなく気化速度でも判別できます。軽油は気化しにくく、ガソリンは気化しやすいという物理的性質があります。灯油と軽油の区別は色に頼る他に判別方法がないため、着色規格の厳格な運用がより重要になります。不正軽油検査は各地の税務署や運輸局によって定期的に実施され、色の検査に続いて化学分析が行われることで、正確な品質判定が可能になっています。

 

ガソリン色の国別違いと国際的な石油インフラの多様性

世界のガソリン価格は国ごとに大きく異なり、それに伴いガソリンの供給形態や着色方法も多様化しています。2024年6月現在、日本のレギュラーガソリンは約170円/Lですが、世界平均ハイオクは1.33米ドル(約210円)/Lとされています。ガソリンが世界で最も高い地域は香港で1L当たり505円、最も安い国はイランで4.5円と、実に100倍以上の差があります。

 

最も高いノルウェー(329円)では炭素税を含む懲罰的な税金がガソリン価格の大部分を占め、EV(電気自動車)への転換を促進する政策が反映されています。一方、イラン(4.5円)やリビア(4.9円)などの産油国では、政府の莫大な補助金によって低価格が実現されています。これらの価格差が大きい背景には、石油の埋蔵量、国内精製能力、税金体系、輸送コスト、環境政策など、複数の要因が絡み合っています。

 

ガソリンの色自体も、各国の経済状況やインフラ整備の進捗によって影響を受けます。先進国では厳密な規格管理により色が統一されていますが、発展途上国の一部ではガソリンの品質管理に課題があり、色が予定と異なることもあります。石油精製技術の進化、環境規制の強化、国際的な安全基準への適合といった要素が、ガソリンの色選択と国別差異を生み出しています。

 

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世界のガソリン価格比較:世界で最も高い香港から最も安いイランまで、20か国の詳細なガソリン価格と背景事情について紹介されているページ

 

 


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