ナンバープレートの表示に関する法的根拠は、道路運送車両法第19条および第73条に明確に定められています。自動車は、国土交通大臣から交付を受けた自動車登録番号標(ナンバープレート)を「見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない」と規定されています。この法律は平成28年に改正され、平成28年4月1日から表示基準が明確化されました。
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さらに2021年10月1日からは、新規登録車両に対して取り付け位置や角度が数値で明確に規定される新基準が適用されています。この改正により、これまで曖昧だった「見やすい位置」という表現が、具体的な角度や位置の数値基準として示されるようになりました。法律の目的は、車両の識別を確実にし、交通事故や犯罪の際に車両を特定できるようにすることです。
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違反した場合の罰則は道路運送車両法第109条第1項に定められており、50万円以下の罰金に処することが規定されています。また、番号標表示義務違反に対する違反点数は2点となっており、過去の違反歴によっては免許停止処分にもつながる可能性があります。
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ナンバープレートに関する違反行為には、複数の類型が存在します。まず、カバーの装着は無色透明であっても全面的に禁止されています。多くのドライバーが「透明なら問題ない」と誤解していますが、これは明確な違反です。
参考)https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000108114.pdf
回転させて取り付けること、プレートを折り返すこと、シールなどで被覆することも禁止されています。特にバイクで車両サイドにプレートを移動後、縦向きにするカスタムは即座に復帰が必要です。装飾フレームについてはサイズの規定内で、番号や文字に被らないものであれば使用可能ですが、バイクではフレームの使用自体が禁止されています。
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意外と知られていないのが、泥や埃などの汚れ、雪などが付着してナンバープレートの数字や文字が判別しにくい状態を放置することも違法になるという点です。冬季に雪が付着したまま走行していると、それだけで違反の対象となる可能性があります。また、経年劣化による退色や事故での変形も、識別に支障がある場合は運輸支局で再交付を受ける必要があります。
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2021年10月1日以降に新規登録される車両には、ナンバープレートの取り付け角度について具体的な数値基準が適用されています。前面プレートの場合、上下向きは上向き10度から下向き10度まで、左右向きは左向き10度から右向き0度までと定められています。回転させての取り付けは水平を保つことが義務付けられています。
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後面プレートについては、プレートの上端が1.2m以下の場合、上下向きは上向き45度から下向き5度まで、左右向きは正面0度から左向き5度までとなっています。プレート上端が1.2m超の場合は、上下向きが上向き25度から下向き15度、左右向きは正面0度から左向き5度と規定されています。
ナンバーフレームについても厳格な基準があり、幅は上部10mm以下、左右と下部は18.5mm以下、厚さは上部6mm以下(上部の幅が7mm以下の場合は10mm以下)、その他30mm以下と定められています。ボルトカバーは直径28mm以下、厚さ9mm以下で、番号に被らず脱落の恐れがないものとされています。なお、これらの新基準は2021年10月以降の新規登録車のみが対象で、それ以前に登録された車両は従来の基準が適用されます。
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ナンバープレートを全く装着せずに走行した場合、表示義務違反よりもさらに重い罰則が科される可能性があります。実際の事例として、軽自動車を運転していた際に正しい車両番号標をつけていない状態で運転し、道路運送車両法違反として逮捕・勾留された事例が報告されています。このケースでは、依頼者の真摯な反省と家族のサポートが評価され、最終的に懲役刑ではなく罰金刑での解決となりました。
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他人のナンバープレートを盗んで使用するいわゆる「天ぷらナンバー」の場合、さらに悪質性が高いと判断され、逮捕される危険性が高まります。天ぷらナンバーが発覚するのは、主に交通違反・事故や職務質問などの機会です。その場で発覚した際、抵抗せず素直に捜査に応じる姿勢を見せれば、逮捕を伴わない任意の在宅事件として処理される可能性もあります。
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違反点数2点という数字は一見軽微に思えますが、過去3年以内に免許停止等の処分を2回以上受けている場合は、番号標表示義務違反をしただけで免許停止処分となる可能性があります。過去3年間の違反点数は累積され、処分基準点数に達した場合、免許停止処分や免許取消処分の対象となるため、決して軽視できません。
愛車のナンバープレートが違反状態になっていないか、定期的に確認することが重要です。まず、カバーやシールが装着されていないか、プレートが折れ曲がっていないか、回転していないかをチェックしましょう。中古車を購入した場合や、知人から譲り受けた車両の場合は、前オーナーがカスタムしている可能性があるため特に注意が必要です。
参考)https://bikeman.jp/blogs/bikeparts/motobike-68
定期的な清掃も欠かせません。泥や埃、雪などが付着してナンバーが見えにくい状態は違反となるため、洗車時にはナンバープレートもしっかり洗浄する習慣をつけましょう。経年劣化で退色したり、事故で変形したりした場合は、運輸支局や自動車検査登録事務所に申請して再交付を受けることが推奨されます。
カスタムを行う際は、国土交通省が公開している基準を事前に確認することが大切です。2021年10月以降に新規登録された車両については新基準が適用されますが、それ以前の車両は当時の基準に準じていれば問題ありません。ただし、基準を満たさない状態での走行は違反となるため、カスタムパーツを購入する際は販売店に新基準対応かどうかを確認するようにしましょう。
参考)2021年10月1日、ナンバープレートの法律改正!何が違反に…
国土交通省の公式サイトではナンバープレート表示基準の詳細が掲載されており、イラスト付きで分かりやすく確認できます
JAFの公式サイトではナンバープレートに関するよくある質問と回答が掲載されており、実務的な疑問を解決できます