道路占用許可費用と申請手続き完全ガイド

道路占用許可の申請にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。占用料の計算方法、申請手続きの流れ、注意点まで、自動車を利用される方が知っておくべき道路占用許可のポイントを詳しく解説します。道路使用との違いを理解していますか?

道路占用許可費用

📋 この記事のポイント
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占用料の仕組み

道路価格×使用料率×占用面積で算定。地域や物件種別により大きく異なる

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申請手続きの流れ

道路管理者への申請。通常2~3週間の審査期間が必要

⚠️
無許可使用のリスク

1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性

道路占用許可費用の基本的な計算方法

道路占用許可を取得すると、占用料という費用が発生します。占用料は「道路価格×使用料率×占用面積」という基本式で計算されますが、必要に応じて修正率が適用されることもあります。道路価格は固定資産税評価額を基に算出され、地域によって大きく異なるため、同じ面積を占用しても場所によって費用は変わってきます。
参考)https://www.mlit.go.jp/road/senyo/pdf/senyoryo02.pdf

占用料の支払いは一般的に年単位または月単位で行われ、占用期間が30日に満たない場合でも1か月分として計算されます。例えば、東京都の一級地(千代田区、中央区、港区など)では看板の占用料が34,000円/年/㎡となる一方、町村では3,080円/年/㎡と約10倍以上の差があります。
参考)道路の占用料金

道路占用許可の申請手数料と占用料の違い

道路占用許可申請には、一般的に申請手数料はかかりません。これは道路使用許可の申請手数料(都道府県により2,000円~2,700円程度)とは大きく異なる点です。しかし、許可を受けた後に道路占用料を道路管理者に納める必要があります。
参考)道路使用許可申請、道路占用許可申請とは?|サポート行政書士法…

占用料は占用している物件の種類、大きさ、場所によって異なります。例えば、新宿区の場合、足場・仮囲で年間36,200円/㎡、朝顔(危険防止用の出っ張り)で年間10,900円/㎡となっています。占用期間が月単位で設定でき、翌年度にわたる場合は12か月以内に限り申請が可能です。
参考)http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000258482.pdf

道路占用許可の地域別費用の具体例

地域によって占用料には大きな差があります。東京都では地域を一級地、二級地、市、町村に分類し、それぞれ異なる料金を設定しています。一級地とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区の区域を指し、最も高額な占用料が設定されています。​
具体的な費用例を見ると、足場の場合、一級地では29,700円/年/㎡、二級地では17,700円/年/㎡、市では8,800円/年/㎡、町村では3,080円/年/㎡となっています。日よけの場合は一級地で3,270円/年/㎡、二級地で2,810円/年/㎡、市で1,820円/年/㎡、町村で460円/年/㎡です。道路の種別(国道、都道、県道、市町村道)によっても占用料が異なるため、事前の確認が重要です。​

道路占用許可の申請に必要な総額費用

道路占用許可にかかる総額費用は、占用料に加えて、行政書士などの専門家に依頼する場合は代行手数料が発生します。代行料金は申請先の道路管理者によって異なり、埼玉県内の例では国道の場合70,000円、県道の場合40,000円~60,000円程度となっています。
参考)料金(報酬)と手数料 - 道路使用・占用許可申請代行サービス…

自分で申請する場合、占用料以外に役所まで行くための交通費やガソリン代、書類作成のための資料収集費用などが必要です。道路占用許可は原則として申請と許可証受領で最低2回は役所を訪問する必要があり、事前相談も含めるとさらに回数が増えることもあります。
参考)道路使用許可、道路占用許可にかかる費用は? - 道路使用・占…

工事用足場を設置する場合の具体例として、出幅1.0m×延長12.5mの足場では、占用面積が13.0㎡となり、新宿区の料金で年間470,600円の占用料が発生します。これに朝顔(出幅1.5m×延長12.5m、面積19.0㎡)を追加すると、年間207,100円が加算され、合計で677,700円になります。​

道路占用許可費用を抑えるための工夫

道路占用許可の費用を抑えるためには、いくつかの工夫が可能です。まず、占用面積を最小限に抑えることが重要です。占用料は面積に比例して増えるため、必要最小限の面積で申請することで費用を削減できます。​
占用期間の設定も重要なポイントです。月単位で計算されるため、工事期間を正確に見積もり、不要な期間を含めないようにすることで無駄な費用を省けます。ただし、天候不順などで工事が延期される可能性も考慮し、ある程度余裕を持った期間設定が推奨されます。
参考)道路使用許可申請事例集

また、道路占用が本当に必要かどうかを事前に検討することも大切です。敷地内での作業で済む場合は道路占用許可が不要になり、費用を大幅に削減できます。道路管理者への事前相談で、占用範囲を最適化する提案を受けることも有効な方法です。
参考)【道路使用許可・占用許可】申請の流れ

道路占用許可申請の手続きと必要書類

道路占用許可の申請は、占用したい道路を管理する道路管理者に対して行います。国道は国(または委任を受けた都道府県)、都道府県道は都道府県、市町村道は市町村が管理者となります。申請方法には、オンラインによる電子申請と書面による申請の2種類があり、国が管理する道路ではどちらの方法も選択できます。
参考)道路占用許可とはどんな許可?道路使用許可との違いや申請方法

申請に必要な書類は、道路占用許可申請書に加えて、申請箇所位置図、申請箇所案内図、現況写真、平面図、横断図、縦断図、構造図、交通規制図、工程表などがあります。申請内容によって必要な添付書類は異なるため、事前に道路管理者に確認することが重要です。​
審査期間は原則として2~3週間程度かかりますが、申請先の道路管理者や申請内容によって異なります。自分で初めて申請する場合は4~6週間程度、専門家に依頼する場合は3~4週間程度を目安にすると良いでしょう。​

道路使用許可との違いと両方の許可が必要なケース

道路占用許可と道路使用許可は別の許可制度です。道路占用許可は道路法に基づき、道路を継続的・独占的に使用する場合に必要で、道路管理者に申請します。一方、道路使用許可は道路交通法に基づき、交通の安全に支障が生じる可能性のある行為に必要で、管轄警察署に申請します。​
根拠法令、申請先、目的がそれぞれ異なるため、工事内容によっては両方の許可が必要になるケースがあります。例えば、ビルの外壁工事のために道路上に足場を設置する場合、道路を継続的に占用するため道路占用許可が必要であり、同時に交通の妨げとなるため道路使用許可も必要です。
参考)道路使用許可と道路占用許可の違いは?

両方の許可が必要な場合、一般的には道路使用許可→道路占用許可の順で申請しますが、地域や道路管理者によっては順序が逆になることもあるため、事前に確認することが重要です。道路使用許可の申請手数料は都道府県により異なり、2,000円~2,700円程度です。
参考)都道府県別道路使用料金一覧

道路占用許可なしで使用した場合の罰則

道路占用許可を取らずに道路を占用した場合、道路法第100条により1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。これは道路使用許可違反の罰則(3か月以下の懲役または5万円以下の罰金)よりも重い罰則となっています。
参考)【道路使用許可・占用許可】知らないじゃ済まない違法行為と罰則…

実際に罰則が適用されるケースは多くありませんが、道路の一部を長期間占有する場合、道路を占有したことにより交通の妨害や交通事故を引き起こす場合、周囲の住民や通行人に迷惑をかける場合などには、罰則が適用される可能性が高くなります。
参考)道路使用許可・道路占用許可を取得せずに無断で使用・占用した場…

道路の不法使用や不法占用は犯罪とみなされるため、必ず事前に許可を取得することが重要です。許可取得前に足場を組んでしまったケースでも、事情を説明し道路管理者と調整することで許可が取得できた例もありますが、これは極めて例外的なケースです。​

道路占用許可の対象となる物件の種類

道路法第32条により、道路を占用できる物件は法令で定められています。主な占用物件には、1号物件(電柱、電線、広告塔など)、2号物件(水管、下水道管、ガス管など)、3号物件(鉄道、軌道など)、4号物件(歩廊、雪よけ、日よけなど)、5号物件(地下街、地下室、通路など)、6号物件(露店、商品置場など)、7号物件(政令で定める工作物など)があります。
参考)道路:道路占用制度 - 国土交通省

自動車を利用する方に関係する占用物件としては、工事用足場・仮囲い、危険防止用の朝顔、壁面看板や袖看板、日よけやひさし、ゴンドラなどが該当します。これらを道路上または道路にかかる形で設置する場合は、必ず道路占用許可が必要です。
参考)足場等の道路占用許可申請(占用料):新宿区

一方、道路上に立て看板を設置する場合、のぼりや横断幕を設置する場合、店舗前の路上に商品置場を増設する場合などは、占用許可を受けられません。道路は本来すべての人が自由に通行できる公共の場所であり、占用が認められるのは法令で定められた物件に限定されています。
参考)道路使用許可・道路占用許可取得サポート

道路占用許可申請時の注意点とトラブル回避

道路占用許可申請では、いくつかの注意点があります。まず、申請は工事開始の十分前に行う必要があり、当日申請では間に合いません。審査に2~3週間かかることを考慮し、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。​
現場の測量を正確に行い、占用面積を正確に算出することも重要です。面積が大きすぎると無駄な占用料を支払うことになり、小さすぎると実際の作業に支障が出る可能性があります。道路境界より区道に突出する部分の投影面積を正確に測定し、小数点以下の端数は切り上げて計算します。​
役所での事前確認も欠かせません。申請上問題がないか、必要書類は何かを事前に相談することで、スムーズな申請が可能になります。特に、通常は許可されない区域での申請や、特殊な工事内容の場合は、担当者との綿密なやり取りが必要になることもあります。​

道路占用許可の更新と延長手続き

道路占用の期間は申請時に設定しますが、工事の遅延などで当初の期間を超えて占用が必要になる場合があります。占用期間が翌年度にわたる場合は、12か月以内に限り一度の申請で許可を受けることが可能です。例えば、6月10日から翌年度5月31日までの12か月間を一度に申請できます。​
占用期間が1年を超える場合は、占用申請を2回に分けて申請する必要があります。また、許可を受けた期間内であっても、天候不順や不測の事態で工事が予定通り進まないことがあるため、あらかじめ予定変更の可能性を考慮した期間設定が推奨されます。​
実際の作業が2日間程度でも、最長許可期間である15日間で申請しておくことで、更新申請の煩雑さを避けることができます。ただし、期間を長く設定すると占用料も増えるため、バランスを考えた期間設定が必要です。​

道路占用許可申請を専門家に依頼するメリット

道路占用許可申請は自分で行うことも可能ですが、行政書士などの専門家に依頼するメリットは多くあります。専門家は道路管理者との調整に慣れており、必要書類の作成や手続きをスムーズに進めることができます。特に、通常は許可されない区域での申請や複雑な案件では、専門家の交渉力が大きな力を発揮します。​
時間の節約も大きなメリットです。自分で申請する場合、事前調査、書類作成、役所への複数回の訪問など、多くの時間と労力が必要になります。専門家に依頼すれば、その時間を本業に充てることができ、結果的にコストパフォーマンスが良くなることもあります。​
専門家の代行料金は、国道で70,000円程度、県道で40,000円~60,000円程度が相場です。この費用には、書類作成、役所との調整、申請手続きの代行などが含まれており、占用料は別途必要になります。複数の申請が必要な場合や、道路使用許可も同時に必要な場合は、まとめて依頼することで効率的です。​
<参考リンク>
国土交通省 道路占用制度:道路占用制度の概要と占用可能な物件について詳しく解説されています
国土交通省 道路占用許可手続:オンライン申請と書面申請の手順について詳細な情報が掲載されています
東京都建設局 道路占用許可基準及び道路占用料について:東京都の道路占用許可基準と占用料の詳細が確認できます