高速道路で走るCNGトラックは、燃費でディーゼル車に勝ることがある。
CNGトラックの燃費を語るとき、まず単位の話から始めなければなりません。ディーゼルや軽油は液体なので「km/L(キロメートル毎リットル)」で燃費を表しますが、CNGは気体なので「km/m³(キロメートル毎立方メートル)」が使われます。単位が違うということですね。
この単位の違いが混乱のもとです。富士運輸が実施した関西〜関東4往復・4,694kmの走行試験では、大型CNGトラック(いすゞ ギガ)の平均燃費は4.3555km/m³を記録し、比較対象のディーゼル大型トラックは4.272km/Lでした。数字だけ見ると似たように思えますが、天然ガス1m³と軽油1Lのエネルギー量は異なるため(天然ガス45.0MJ/m³、軽油38.2MJ/L)、単純比較には注意が必要です。
実走行エネルギー効率で比較した場合、国土交通省や交通安全環境研究所のデータによると、従来型のオットーサイクル方式のCNG大型トラックはディーゼル大型トラックに対して熱効率が25〜30%程度劣るという指摘もあります。つまり、燃料費のトータルコストを下げるためには、燃費の数値以上に「燃料単価の差」を活かすことが重要になります。
一方で、エコトラック社による2tトラックの実走行比較データでは、地場配送(市街地)ではディーゼルが燃費で上回るものの、高速道路走行ではCNG車が逆転することが確認されています。走行環境次第で結果が変わるということです。大型車でも同様の傾向があり、高速道路中心のルートであれば燃費差は縮小または逆転します。
| 走行条件 | CNGトラック(2t) | 新型ディーゼル(2t) |
|---|---|---|
| 地場配送(市街地) | 8.73km/m³ | 8.20km/L |
| 長距離(高速中心) | 7.09km/m³ | 7.87km/L(旧型:7.96) |
※出典:エコトラック社の実走行データをもとに作成
参考:交通安全環境研究所による天然ガストラックの実証運行データの概要
国土技術政策総合研究所 天然ガストラック概要ページ
燃費の数値だけを見ていても、実際にかかるコストはわかりません。重要なのは「1km走るのにいくらかかるか」という実費です。
CNGの燃料単価は地域や供給会社によって異なりますが、天然ガスは石油系燃料に比べて価格変動が比較的緩やかな点が特徴です。大規模な地政学的リスクが発生して原油が高騰した際も、LNG・CNGの価格変動はゆるやかな傾向があります。これは運送事業者にとって経営上の「リスクヘッジ」になります。
track-library.comの試算データによると、CNGトラックのランニングコストはディーゼルやガソリン車と比較して、おおよそ60〜80%程度に抑えられると言われています。コスト削減が基本です。さらに補助金制度や税制優遇を組み合わせた場合、年間3.6万km走行する運送事業者では1台あたり約30万円の経費削減が見込めるという試算もあります。
エコトラック社の実証データでは、大型CNG車を大型ディーゼル車の代わりに都市間輸送に活用した場合、年間100万円〜200万円の燃料代削減が可能とされています。これは大型トラックの年間燃料費が売上の20〜30%を占めることを考えると、経営収益に直結する数字です。
なお、いすゞ「ギガ」のCNG車とディーゼル車の車両本体価格差はおよそ400万円前後(税抜)です。長期的な燃料費削減と補助金を合わせれば、この差額を吸収できる計算になります。車両価格の高さだけで判断しないことが条件です。
参考:燃費改善ポイントと効率的な運転方法(UDトラックス)
大型トラックの燃費とは?改善ポイントと効率的な運転方法を解説(UDトラックス)
CNGトラックの燃費は、走行条件と運転方法によって大きく変わります。これは押さえておくべき重要なポイントです。
まず走行条件について。前述のとおり、高速道路走行中心のルートではCNG車の燃費はディーゼルと互角かそれ以上になる場合があります。一方、市街地での頻繁な発進・停止が多い地場配送ルートでは、ディーゼルに対してやや不利になる傾向があります。CNG車は一定速度を保つ高速走行で本領を発揮する車だということです。
次に運転方法です。CNGトラックに限らず、トラック全体でいえば、アイドリングストップの効果が大きいとされています。1時間のアイドリングで消費する燃料は、大型車で約1.5Lに相当します。毎日1時間のアイドリングストップを徹底すれば、年間で2〜4万円の燃料代節約になる計算です(ガソリン換算)。これは使えそうです。
エンジン回転数を1,500〜2,000rpm程度に抑えた定回転走行も効果的です。急発進・急加速を避け、早めにアクセルを離すことで燃費は改善します。市街地走行では頻繁な加減速をなくすだけで約2%、郊外走行では約6%の燃費向上が期待できるとするデータもあります。
また、CNGスタンドの位置を事前に把握したルート設計も欠かせません。燃料補給計画が甘いと航続距離300〜600km(一充填)という制約の中で運行に支障が出ることがあります。スタンドの場所は必ず確認しておくことが原則です。
CNGトラックの最大の弱点のひとつが、航続距離と充填インフラの問題です。厳しいところですね。
現状のCNG大型トラックの一充填あたりの航続距離は、車両や積載量・走行条件にもよりますが、おおむね300〜600km程度とされています。関西〜関東間の輸送に活用した富士運輸の事例では、容量1,080L(約216Nm³)の燃料タンクを搭載した「ギガ」で高速モードの一充填走行距離は約600kmを確保しています。ただし、一般的な市街地走行モードでは300km前後まで落ちることがあります。
一方、ディーゼルトラックの航続距離は1,000km以上が一般的であり、その差は歴然です。CNGトラックの航続距離はディーゼルの約半分〜6割が現実です。
充填インフラについては、CNGスタンド(エコステーション)の数がガソリンスタンドと比べて圧倒的に少ない点が課題です。東京都や大阪府などの都市圏では整備が進んでいますが、地方エリアでは補給場所を事前に確認しなければ運行できないケースもあります。
このため、CNGトラックが最も効果を発揮しやすいのは「拠点間を決まったルートで往復する輸送」です。関西〜関東などの幹線輸送で拠点にCNGスタンドを設置している事業者、または都市圏で一定ルートを巡回する配送事業者にとっては、インフラの問題が比較的小さくなります。どのルートで使うかが条件です。
逆に、日々ルートが変わるフリーの配送業務や、地方を広域カバーする輸送には適性が低いと言えます。導入前にルートとスタンド位置を照らし合わせる作業は必須です。
参考:西部ガス・天然ガス自動車の特徴と航続距離
西部ガス|天然ガス自動車の特徴・航続距離について
車両本体価格が高いCNGトラックですが、補助金と税制優遇を組み合わせることで、実質的な導入コストを大幅に引き下げることができます。補助金の存在は必須の知識です。
令和7年度現在、国が実施している「ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業」では、天然ガストラックを対象に、同クラスの標準的なディーゼルトラックとの価格差の1/2を補助します。申請は車両購入前・購入後どちらも可能で、令和7年4月1日以降に新規登録された車両が対象です(令和8年2月27日までの登録が必要)。
東京都では別途、圧縮天然ガス(CNG)自動車に対する補助金も設けており、車両総重量3.5t超〜8t以下は1台あたり10万円、8t超は1台あたり20万円が補助されます。国の補助と都の補助の併用も可能なケースがあります。
東京ガスの「天然ガス自動車活用支援制度(大型CNGトラック向け)」では、充填量に応じて30万円の支援を受けられるプログラムもあります(4年間で30,000m³以上の充填が条件)。ガス会社の支援制度も確認することをおすすめします。
補助金の申請手続きはjGrantsまたはメールで行えます。ただし、申請前に購入してしまうと「購入後申請」扱いになるため、交付決定を受けてから購入する「通常申請」と手続きの流れが異なります。どちらの申請方法が自社に合っているかを確認してから手続きを進めましょう。
補助金情報は毎年変わります。最新の情報は公益財団法人北海道環境財団(執行団体)の公式サイトで確認することを強くおすすめします。
参考:令和7年度 ハイブリッド・天然ガストラック導入支援事業の詳細
トラックとバス対象 環境対応車両の導入費補助 ハイブリッド・天然ガス車導入支援事業(令和7年度版解説)
参考:東京都 圧縮天然ガス自動車導入補助金
東京都環境局|圧縮天然ガス自動車(CNG自動車)導入補助金
CNGトラックが注目される理由は、燃料費のコスト削減だけではありません。環境性能の高さが、長期的な「見えない経費削減」につながる点が見逃されがちです。意外ですね。
排気ガスの比較で言うと、CNGトラックは黒煙とSOx(硫黄酸化物)をほぼ100%削減、NOx(窒素酸化物)を60〜70%削減、CO₂(二酸化炭素)を20〜30%削減します。富士運輸の走行試験では、ディーゼル大型トラックのCO₂排出量が604g-CO₂/kmだったのに対し、CNGトラックは526g-CO₂/kmで、削減率は12.9%でした。エンジンが汚れにくいという特性から、エンジン内のカーボン堆積が少なく、エンジン寿命が延びてメンテナンスコストが削減されやすいというメリットもあります。
排気がクリーンであることは、荷主企業や取引先からの評価にも影響します。近年、荷主が「環境対応」を取引条件として重視するケースが増えており、CNGトラックの導入が継続的な取引や新規受注につながるケースもあります。環境対応は今や経営判断の一部です。
また、ディーゼルの黒煙は車体・積荷・周辺環境を汚染しますが、CNGは黒煙ゼロのため清潔なイメージを保てます。食品や精密機器の輸送では特に評価されやすいポイントです。
エンジンオイルの品質管理も燃費維持に関わります。富士運輸の事例では、シェル「リムラR6」全合成ディーゼルエンジンオイルを採用し、エンジン内部のクリーン維持と長寿命化を図っています。高品質オイルの使用は初期費用がやや高くなりますが、エンジン寿命延長と燃費維持という長期的なメリットが見込めます。長期視点で考えれば問題ありません。
参考:富士運輸 大型天然ガストラック走行試験データ(CO₂削減率含む)
富士運輸株式会社|大型天然ガストラックの運行データ(PDF)

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