中型タクシーは、5ナンバー車でありながら全長4.6m以上、乗車定員6名以下という独特な規格を持つ車両です。小型タクシーが全長4.6m以下、乗車定員5名以下であるのに対し、中型タクシーはわずかながら大きなサイズと定員を誇ります。
代表的な中型タクシー車種には以下があります。
特に注目すべきは、現代自動車が2025年3月に発売した「2025ソナタタクシー」です。この車両は従来の中型タクシーの概念を覆す革新的な機能を搭載しており、タクシー業界に新たな風を吹き込んでいます。
昭和時代には前方座席に3名が乗車可能な設計が一般的でしたが、現在の中型タクシーは安全性を重視し、乗務員1名+乗客4名の5名乗りが標準となっています。この変化により、小型車と中型車の実質的な違いが縮小し、多くの地域で区分の見直しが進んでいます。
中型タクシーの運賃体系は地域によって大きく異なります。地方都市では今でも「小型」「中型」の区分が残っており、中型タクシーの方が高い料金設定となっているケースが多く見られます。
しかし、東京特別区では2007年をもってこの制度が廃止され、現在は車両サイズに関係なく統一料金となっています。これは利用者の利便性向上と、料金体系の簡素化を目的とした措置です。
全国的な傾向として、以下のような区分への移行が進んでいます。
この変化は、車両性能の向上と利用者ニーズの多様化に対応したものといえるでしょう。地域によっては小型車専用乗り場が設置されているところもあり、料金差を活用した効率的な配車システムが構築されています。
2025年に発売された現代自動車の「ソナタタクシー」は、中型タクシーの技術革新を象徴する車両です。この車両には「タクシー統合端末」という画期的なシステムが搭載されており、従来別々の機器で運営されていた複数の機能を一元化しています。
統合される主要機能。
これらすべてが車内の12.3インチディスプレイを通じて操作可能となり、運転手の作業効率が大幅に向上しています。特に革新的なのは、ステアリングホイールボタンと配車サービスの連動機能です。コールカードを受諾すると自動的に「カカオナビ」で道案内が開始され、運転手の操作負担を軽減します。
この技術は単なる利便性向上にとどまらず、安全運転にも大きく貢献しています。運転中の操作が最小限に抑えられることで、事故リスクの低減と乗客の安心感向上を実現しています。
タクシー業界では現在、深刻な人手不足が課題となっており、各社が積極的な採用活動を展開しています。阪急タクシーでは新生活をサポートする取り組みとして、入社者に祝金10万円を支給する制度を導入しています。
採用形態も多様化しており、以下のような選択肢が用意されています。
全国ハイヤー・タクシー連合会では昭和41年から優良乗務員表彰制度を実施しており、業界全体の技術向上と安全意識の醸成に努めています。この制度は中型タクシーを含むすべての車種のドライバーが対象となっており、プロフェッショナルとしての誇りを支える重要な制度です。
健康経営にも注力する企業が増えており、阪急タクシーは「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されるなど、働く環境の改善が進んでいます。
現代の中型タクシー業界では、予約システムと配車アプリの進化が著しく、利用者の利便性が大幅に向上しています。大阪相互タクシーのような地域密着型の事業者でも、オンライン予約システムを導入し、事前予約から当日配車まで幅広いニーズに対応しています。
予約システムの特徴。
阪急タクシーでは専用スマートフォンアプリを提供し、乗車場所近くにいる車両を効率的に呼ぶことができるシステムを構築しています。このようなデジタル化の進展により、中型タクシーの利用がより身近で便利なものとなっています。
特に注目すべきは、芦屋市で2025年3月28日から開始された乗合タクシーの試験運行です。これは中型タクシーの新たな活用方法として注目されており、公共交通の補完的役割を果たす可能性を秘めています。
配車アプリの普及により、利用者は待ち時間の短縮と料金の透明性を享受できるようになり、中型タクシー業界全体のサービス品質向上に大きく貢献しています。今後もテクノロジーの進歩とともに、より便利で効率的なサービスの提供が期待されます。