ITS世界会議2026が変える自動運転と未来の交通

2026年10月、韓国・江陵で開催される第32回ITS世界会議。自動運転やコネクテッドカーの最前線が一堂に集まるこのイベント、車好きなあなたはもう注目していますか?

ITS世界会議2026、江陵で開かれる自動運転と未来交通の祭典

あなたの愛車は、今後5年以内に「道路と会話」しないと時代遅れになる可能性があります。


🚗 ITS世界会議2026 3つのポイント
📍
開催地・会期

2026年10月19日〜23日、韓国・江陵(カンヌン)オリンピックパークにて開催。90か国・6万人規模の参加を見込む、世界最大の交通テクノロジーイベントです。

🤖
テーマ

"Beyond Mobility, Connected World"(モビリティを越えて、つながる世界へ)。自動運転・コネクテッドカー・AIが交通をどう変えるかを議論します。

🏎️
車好きへの注目点

トヨタ・ホンダ・パナソニックなど日本の大手自動車メーカーも毎回出展。自動運転の実証デモや最新V2X技術を実際に目で見られるチャンスです。


ITS世界会議2026とは何か、車好きが知るべき基礎知識

ITS世界会議(ITS World Congress)は、欧州・北米・アジア太平洋の3地域を代表するITS団体(欧州:ERTICO、北米:ITS America、アジア太平洋:ITS Japan)が共催する、世界唯一の国際交通テクノロジー会議です。1994年にパリで第1回が開催されて以来、毎年持ち回りで開催されており、2026年は第32回目にあたります。


「ITS」とは Intelligent Transport Systems の略で、日本語では「高度道路交通システム」と呼ばれます。簡単にいえば、人・道路・車両を情報ネットワークでつなぎ、交通事故や渋滞などの問題を解決する技術体系のことです。カーナビ、ETC、自動運転コネクテッドカー、V2X通信(車と信号機・歩行者などが通信し合う技術)はすべてITSの一部です。


つまり、車好きにとっては「いま乗っているクルマの未来が決まる場所」と言っても過言ではありません。


第32回ITS世界会議2026の開催地は、韓国北東部・江原道(カンウォンド)の沿岸都市「江陵(カンヌン)市」です。人口約21万人と比較的小さな都市ですが、2018年平昌冬季オリンピックの開催地として整備されたインフラが今も残っており、年間約1000万人が訪れる人気リゾート地でもあります。会場となるのは「Gangneung Olympic Park(江陵オリンピックパーク)」で、その広大な敷地が今度は「交通テクノロジーのオリンピック」の舞台に変わります。


主催は韓国国土交通省と江陵市、主催運営機関は江陵ITS世界会議組織委員会およびITS Koreaです。参加目標値は「90か国・60,000人」と公式発表されています。東京ドームのグラウンド面積が約1.3万㎡であるのに対し、6万人規模というのはさながら大きなスタジアムを満員にするほどのスケール感です。これが「交通のオリンピック(Transport Olympics)」と呼ばれる所以です。


参考リンク(ITS Japanによる第32回ITS世界会議2026江陵の公式案内)。
https://www.its-jp.org/katsudou/its_wc/gangneung_2026/


ITS世界会議2026の見どころ、自動運転デモとコネクテッドカー技術の最前線

今回の会議テーマは "Beyond Mobility, Connected World"(モビリティを越えて、つながる世界へ)。単に速く移動するという「車の役割」を超え、道路・都市・人がすべてつながる世界を目指す、という宣言です。これは口先だけではありません。


会議のコングレストピックとして正式に設定されているのは、次の5分野です。


- Automated Driving & Electric Vehicles(自動運転と電動化)
- Smart Infrastructure(スマートインフラ)
- Mobility Services(モビリティサービス)
- AI-Driven & Data-Centric Systems(AI・データ駆動型システム)
- Policy & Governance(政策とガバナンス)


特に車好きが目を向けるべきは「Automated Driving」と「Smart Infrastructure」の2つです。これが原則です。


自動運転のデモンストレーションについては、主催者側が「Autonomous Vehicle Pilot Program(自動運転車パイロットプログラム)」を予定しています。さらに「Smart Intersection System(スマート交差点システム)」「Emergency Vehicle Priority System(緊急車両優先システム)」「Smart Crosswalk Information Display System(スマート横断歩道情報表示)」なども実際に走行・稼働する状態で展示される予定です。これだけのデモを一度に見られる機会はほかにありません。


テクニカルビジット(技術視察ツアー)も用意されており、江陵市内のUrban Information Center(都市情報センター)やNaver Data Center GAK(韓国最大級のITデータセンター)、自動運転の公道実験場として知られる「K-City」(京畿道に位置する全長320mの模擬市街地実験施設)なども見学対象として検討されています。K-Cityは東京ドーム約1.8個分の敷地に実際の市街地を再現した施設で、韓国がいかに自動運転を本気で進めているかがわかります。


また、江陵市は2026年までに47億ウォン(日本円で約50億円相当)を投入し、オリンピックパークを中心に江陵駅・江門海辺・烏竹軒を結ぶ15.8kmの区間で観光型自動運転車のテストドライブを実施予定です。15.8kmというのは東京の山手線一周(約34km)のほぼ半分。それだけの距離を実際の公道で自動運転するということです。これは使えそうです。


参考リンク(江陵市によるITS世界会議2026公式案内、日本語版)。
https://www.gn.go.kr/jpn/sub04_03_03.do


ITS世界会議2026に出展する日本メーカー、トヨタ・ホンダが見せる技術とは

「ITS世界会議なんて研究者や官僚が行くイベントだろう」と思っている方は、認識を改める必要があります。直近の2025年アトランタ大会(第31回)には、トヨタホンダ・パナソニック・デンソー・アイシン・ソニーといった日本を代表する自動車・電機メーカーが単独ブースで出展し、最新技術を競い合いました。


ホンダは「次世代 Honda SENSING」「CI運転支援(Cooperative Intelligent 運転支援)」「量産車両データを活用した道路異常検知技術」などを出展。トヨタはV2X通信(車と道路インフラが互いに情報を交わす通信システム)に関するセッションを2コマ担当し、最優秀リサーチ論文賞も受賞しています。パナソニック オートモーティブシステムズはSDV(ソフトウェア定義型車両)技術とセキュリティソリューションを展示しました。


つまり、このイベントは「将来の愛車の頭脳や神経がどう設計されるか」を各社が発表し合う場でもあるわけです。意外ですね。


2026年江陵大会でも、同様かそれ以上の日本メーカーの参加が見込まれます。特に韓国開催はアジア太平洋地域で3年に一度しか回ってこない「ホームグラウンド」的な回です。日本企業にとっても存在感を示す絶好の機会であり、例年以上に力の入った展示になる可能性が高いと言えます。


日本語で事前情報を確認できるITS Japanのポータルページも活用してください。


参考リンク(ITS Japan・ITS世界会議2025アトランタの詳細レポート)。
https://www.its-jp.org/katsudou/its_wc/atlanta_2025/


ITS世界会議2026の参加方法と、車好きが知っておくべきスケジュール

「研究者でも企業の人間でもないのに参加できるのか」という疑問は当然です。結論はシンプルです。一般の会議登録(参加登録)を行えば、展示会・デモンストレーション・一部のセッションに参加できます。


直近のアトランタ大会での参加料金を参考にすると、民間セクター・ITS America非会員・フル参加で早割USD 2,100(約32万円相当)、公的機関・フル参加早割でUSD 1,600(約24万円相当)という水準でした。展示会ブースの見学だけ、デモだけという参加形式があるかどうかは、江陵大会の公式サイトで2026年5月以降に開始される「会議登録受付」で正式に確認するのが確実です。


2026年の主なスケジュールを整理しておきましょう。


| 時期 | 内容 |
|------|------|
| 2026年3月31日 | 出展早割受付締切 |
| 2026年4月 | 論文採否通知 |
| 2026年5月 | 会議登録受付開始 ← 🔑参加者はここをチェック |
| 2026年7月 | Final論文提出締切 |
| 2026年8月 | 登壇者登録締切 |
| 2026年9月 | 発表資料提出締切 |
| 2026年10月19〜23日 | 本番:江陵オリンピックパーク |


参加者として申し込む場合、2026年5月の登録開始を逃さないようにする、というのが最初のアクションです。それだけ覚えておけばOKです。


また、現地までの移動はソウル(仁川国際空港)経由が一般的で、江陵まではKTX(高速鉄道)で約2時間です。平昌オリンピック時に整備された新幹線路線がそのまま利用できます。現地のホテル予約も早めに動くことをおすすめします。大型国際会議の開催期間はあっという間に近隣ホテルが埋まるためです。


参考リンク(ITS世界会議の歴代開催地・スケジュール一覧)。
https://www.its-jp.org/katsudou/its_wc/


ITS世界会議2026が車好きにとって「他人事ではない」理由

「展示会や学術会議に興味はないが、クルマの未来には興味がある」という車好きにこそ、このイベントの動向を追ってほしい理由があります。


ITS世界会議で議論・発表される技術は、おおむね3〜10年以内に市販車や道路インフラに実装されていきます。たとえば、2013年の東京大会でホンダが発表した「協調型自動運転技術」は、その後Honda SENSINGとして市販化されました。2019年のシンガポール大会ではV2X(車車間・路車間通信)の標準化が加速し、現在のトヨタITS Connectなどの直接的な下地となっています。


V2Xが普及した未来では、クルマが「赤信号が10秒後に青になる」という情報をリアルタイムで受け取り、エンジン回転数を自動調整したり、前方の見えない緊急車両の存在を先取りして通知したりします。つまり、運転の体験そのものが変わるわけです。


車好きにとって大事な視点はもう一つあります。日本では自動運転レベル4の公道走行が2023年に解禁され、2027年にはレベル5の実証実験も政府が計画するなど、技術の法制化が急速に進んでいます。ITS世界会議は、そうした政策と技術の方向性が「世界レベルで合意される場」でもあります。


韓国は「ITSマスタープラン2030(DREAMS on ITS)」というビジョンのもと、安全・効率・利便・変革の4つの戦略目標を掲げ、41のITSサービス実装を計画しています。江陵市もすでに750億ウォン(約800億円)以上を投じてスマート交通インフラを整備済みです。会議の舞台そのものが「ITSの生きた実験都市」になっているわけです。


将来、自分が乗るクルマが「ただの機械」ではなく「動くスマートデバイス」として進化していく流れを、誰よりも早くリアルに感じ取れるのが、ITS世界会議に注目することで得られる最大のメリットです。いいことですね。


参考リンク(ITS Japanによるアジア太平洋のITSの潮流レポート2025年版PDF)。
https://www.its-jp.org/wp-content/uploads/2025/06/tide2025.pdf