トヨタヴィッツの3代目モデルは、2010年12月から2020年3月まで販売された名車です。新車価格は106万円から400万円という幅広い価格帯で展開され、多様なニーズに対応していました。
エンジンラインナップ
駆動方式はFFが基本で、1.3Lエンジンには4WDモデルも設定されていました。特に注目すべきは、1.5Lハイブリッドモデルの追加により、JC08モード34.4km/Lという驚異的な低燃費を実現したことです。
現在は販売終了となっているため、中古車市場での購入が主流となっています。中古車価格は19万円から435万円と幅広く、走行距離や年式、グレードによって大きく異なります。
ヴィッツ新型の最大の魅力は、コンパクトカーでありながら優れた燃費性能と走行性能を両立させた点にあります。
燃費性能の詳細
ハイブリッドシステムは1.5L直列4気筒エンジン(最高出力54kW/4800rpm)とモーター(最高出力45kW)を組み合わせ、システム全体で力強い走りを実現しています。モーターの最大トルクは169N・m(17.2kgf・m)と、発進時の力強さも十分です。
走行性能の特徴
軽量ボディと低重心設計により、市街地での取り回しの良さと高速道路での安定性を両立させています。特に最小回転半径4.7mという数値は、狭い道路や駐車場での使い勝手の良さを物語っています。
ヴィッツ新型は豊富なグレード展開が特徴で、用途や予算に応じて最適なモデルを選択できました。
ガソリンモデルの主要グレード
ハイブリッドモデルの価格帯
特に注目すべきは、2018年5月に追加されたGR SPORTグレードです。このモデルは専用のエアロパーツや足回りのチューニングが施され、スポーティな走りを楽しめる仕様となっています。
グレード選択のポイント
中古車市場では、ハイブリッドモデルが59万円から187万円、ガソリンモデルが19万円から435万円で取引されています。
ヴィッツは単なる国内向けコンパクトカーではなく、トヨタの世界戦略車として重要な役割を果たしてきました。
グローバル展開の実績
海外では「ヤリス」という車名で展開され、特に欧州市場では高い評価を獲得しています。2017年からはWRC(世界ラリー選手権)にも参戦し、18年ぶりの復帰ながら第2戦でいきなり優勝を飾るという快挙を成し遂げました。
技術的な特徴
2020年にヴィッツは生産終了となり、後継車種として「ヤリス」が登場しました。これにより、国内外で統一された車名となり、さらなるグローバル展開が期待されています。
ヴィッツ新型には、一般的にはあまり知られていない興味深い特徴や開発秘話があります。
車名の由来と開発コンセプト
「ヴィッツ」という名前は、ドイツ語の「WITZ」(才気、機知の意)から生まれた造語です。この名前には、小さなボディに大きな知恵と工夫を詰め込んだという開発陣の想いが込められています。
意外な技術的特徴
開発における革新的な取り組み
ヴィッツの開発では、プラットフォームからエンジン、トランスミッション、サスペンションまで、基本コンポーネントをすべて新設計しました。これは当時のコンパクトカー開発としては珍しいアプローチで、「コンパクトサイズでありながら広く多用途に使える室内」という目標を達成するための徹底した設計思想の表れでした。
WRCでの活躍
2017年のWRC復帰は、ヴィッツ(ヤリス)の技術力を世界に示す絶好の機会となりました。第2戦での優勝は、単なる偶然ではなく、長年培われた技術力の結晶といえるでしょう。
環境への配慮
ヴィッツ新型の開発では、「地球環境を考えた省資源、省エネルギー」が重要なテーマとして掲げられました。軽量化による燃費向上だけでなく、製造過程での環境負荷軽減も考慮された設計となっています。
現在、中古車市場でヴィッツを選ぶ際は、これらの技術的背景を理解することで、より適切な選択ができるでしょう。特にハイブリッドモデルは、発売から数年経った今でも先進的な環境性能を誇っており、長期的な使用を考える上で魅力的な選択肢となっています。