内掛けハンドル メリット デメリット 安全性 正しい握り方 回し方

内掛けハンドルの操作法について、力を入れやすいというメリットがある一方で、エアバッグ作動時の怪我リスクや素早い操作困難などのデメリットが存在します。安全で正確なハンドル操作を実現するには、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

内掛けハンドル メリット

内掛けハンドルの基本情報
操作の特徴

逆手で握り直して上から下へと引っ張るように回す方法

💪
力を入れやすい

大きな力を入れやすく、重いハンドルでも一気に回せる

🚗
従来の浸透背景

パワーステアリング装備車が少なかった時代に広まった技術

内掛けハンドル操作における力学的メリット

内掛けハンドルは、逆手で握り直してハンドルを上から下へと引っ張るように回すため、大きな力が入れやすいという特徴があります 。特にクルマが停車している時や極低速時などのハンドルが重い状態でも一気に回せることから、パワーステアリング装備車が少なかった時代に浸透したとされています 。
参考)内掛けハンドルの危険! 正しいハンドル操作とは

 

この操作方法では、腕の筋力を効率的に活用できるため、ハンドルを切る際に必要な力を軽減できるメリットがあります。引く動作は人間の身体構造上、押す動作よりも力を入れやすく、重いハンドルでも比較的楽に操作することが可能です 。
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現代でも駐車場での切り返しや、低速での大きなハンドル操作が必要な場面では、この力学的なメリットを感じるドライバーが存在します。

 

内掛けハンドル操作時の身体負荷軽減効果

内掛けハンドル操作は、特に力の弱い方や高齢者にとって、ハンドルを回す際の身体的負荷を軽減する効果があります。引く動作は自然な筋肉の使い方に近く、肩や腕への負担が分散されます 。
また、パワーステアリングが普及していない時代の車両では、この操作方法が実用的な解決策として機能していました。重いハンドルを回すために必要な力を効率的に生み出せるため、特に女性ドライバーや体力に自信のないドライバーに好まれる傾向がありました 。
ただし、これらのメリットは主に従来のハンドル設計や旧式のパワーステアリングシステムにおいて顕著であり、現代の軽量化されたハンドルシステムではその必要性は大幅に減少しています。

 

内掛けハンドル特有の操作感とコントロール性

内掛けハンドルを使用するドライバーの中には、この操作方法によって独特のタイミング感や操作感を得られると感じる人がいます。引く動作による操作は、押す動作とは異なる筋感覚を提供し、特定の運転シーンでは優位性を感じるケースがあります 。
特に狭い場所での駐車や車庫入れの際、内掛けハンドルによる大きなハンドル操作は、一連の動作として自然に感じられるドライバーも存在します。この操作に慣れ親しんだドライバーにとっては、長年培った運転技術の一部として位置づけられています。

 

しかし、専門家からは、現在のクルマの設計思想や安全装備を考慮すると、このような個人的な操作感よりも、より安全で効率的なハンドル操作方法を習得することが推奨されています 。

内掛けハンドル操作がもたらす重大なリスクと危険性

内掛けハンドル操作には重大な安全リスクが存在します。最も深刻な問題は、衝突などの事故でエアバッグが展開した場合、重大な損傷を腕・手首・肩に負う危険があることです 。
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エアバッグは乗員の安全を確保するために設計されていますが、内掛けハンドルで胸の前で手がクロスした状態でエアバッグが開くと、腕で胸を強打してしまい、本来安全に機能するはずのエアバッグが逆に大怪我の元となってしまいます 。
自動車会社では、内掛けハンドルは操作が遅れる上に、衝突時に逆手でハンドルを切った状態でエアバッグが膨らむと大けがになる可能性が高くなるとしています 。現代の安全装備を考慮すると、この操作方法は推奨できない危険な手法といえます。

内掛けハンドルによる運転精度と反応速度への影響

内掛けハンドル操作は、とっさの操作に弱いという重大な欠点があります。急に人が飛び出してきたり、何らかの緊急事態が発生した際、素早いハンドル操作ができないため、事故回避能力が大幅に低下します 。
この操作方法では、ハンドルをどの程度回したかの認知度が低くなるため、フロントタイヤがどの程度切れているかがわかりにくく、ハンドルを戻した時にもどこが中立なのか間違えやすいという問題があります 。
また、内掛けハンドル操作時は必然的にドライバーの背中がシートから離れ気味になるため、シートに身体がしっかりと固定されず身体がふらつきやすくなり、視認性も低下して安全で正確な運転操作ができなくなります 。これらの要因により、運転の精度と安全性が著しく損なわれる結果となります。