通関手続き どれくらいかかる必要期間と流れ

通関手続き どれくらいかかる期間と必要手順

通関手続き 輸入時の標準的な日数

 

通関手続きにかかる時間は、輸入と輸出で大きく異なります。輸入の場合、海上貨物では入港から輸入許可まで平均2.5日を要するのに対し、航空貨物は平均0.5日程度で完了します。財務省関税局の調査では、通関申告から許可が下りるまでの所要時間は、海上貨物で2.4時間、航空貨物で0.3時間という統計結果が報告されています。

 

海上貨物の通関に時間がかかりやすい理由は、航空機と比べて船舶は積載量が格段に多いことにあります。また、税関の休業日である土日は原則として通関手続きが停止されるため、週末を含むかどうかでも期間が大きく変動します。週末を含む場合は平均4.4日、含まない場合は1.3日と、実に3.1日の差が生じることが統計から明らかになっています。

 

ただし、EMSや緊急貨物については土日も通関手続きが行われるため、急ぎの案件では利用価値があります。個人輸入の場合、条件が整っていれば1～2日程度で完了することが多いとされています。

 

通関手続き 他法令該当時の処理期間

通関手続きの期間は、貨物の内容によって大きく変わります。食品衛生法や植物検疫法、動物検疫法といった他法令に該当する貨物の場合、通常2.2日で済む手続きが平均3.6日に延伸します。つまり、1.4日以上の時間を要する追加検査や許可申請が発生するのです。

 

他法令対象の代表的な品目としては、食品や医薬品、化学品、おもちゃ（乳幼児が口に触れるもの）、生鮮食品、肉製品などが挙げられます。例えば、海外で一般的なサプリメントや健康食品であっても、日本では医薬品扱いとされることがあり、これが輸入トラブルの大きな原因となっています。「病気が治る」「免疫力が上がる」といった効能表現がパッケージやWEB上にあると、景品表示法違反により医薬品扱いとなることもあります。

 

食品輸入の場合、厚生労働省の食品等輸入届出、衛生証明書、試験成績書などの提出が必須となり、検査に不合格となったら消毒処理か廃棄処分を余儀なくされます。事前に品目の規制対象性を十分に調査することが、通関期間を短縮させるための最優先事項です。

 

通関手続き 書類審査と検査区分による違い

税関での通関処理は、貨物の申告内容と実績に応じて3つの区分に分類されます。最も迅速な「区分1：簡易審査（即時許可）」では、申告が完了すると即座に輸入許可が下ります。これは過去に正確な申告を繰り返し行っている輸入者が該当することが多く、申告から許可までの時間がほぼゼロに近い状態です。

 

「区分2：書類審査」では、税関の担当官が提出された通関書類を確認し、検査が必要かどうかを判断します。書類のみの審査で許可が下りる場合もありますが、不備や疑問点があると区分3へ移行する可能性があります。

 

「区分3：検査」では、書類審査に加えて貨物そのものを検査します。初回輸入や新しい貨物の場合、ほとんどがこの区分3に該当します。検査方法としてはLCL貨物（混載貨物）では見本検査や全量X線検査が実施され、コンテナ貨物ではX線検査や開披検査（コンテナを開けて中身を確認）が行われます。

 

過去の通関実績が評価されて区分が変わることも可能です。正確な関税申告と適切な手続きを繰り返すことで、次回以降は書類審査のみで許可が下りる可能性が高まります。

 

通関手続き 書類不備による遅延リスク

通関手続きで最も時間を要する原因は、書類の不備や内容の不一致です。インボイスの金額ミス、パッキングリストと実物の数量相違、HSコード（関税分類番号）の誤りなど、一つの誤りでも税関から修正・訂正を求められます。このような場合、予定していた期間よりも数日から数週間の遅延が発生することもあります。

 

通関手続きに必要な主要書類は、インボイス（商業送り状）、パッキングリスト、B/L（船荷証券）、貨物到着通知書、貨物説明書の5種類です。特に重要なのは、これらすべての書類における貨物の「同一性」が明確であること、つまり品番や数量がすべての書類で一致していることです。通関業者はこれらの書類の整合性を厳密にチェックしており、一つでも不一致があるとストップされます。

 

週末を含むスケジュールや、税関の繁忙期（年度末や大型連休の前後）における審査の長期化も考慮が必要です。あらかじめ余裕を持ったスケジュールを立て、信頼できる通関業者と事前に書類内容を確認する体制を整えることが、通関期間の遅延防止に最も効果的です。

 

通関手続き 期間短縮と通関費用の考え方

通関手続きの期間を短縮する最も確実な方法は、AEO制度（認定通関業者制度）の活用です。AEO認定を受けた事業者は、保税地域への搬入・到着前に申告と許可を受け取ることができるため、通常の手続きよりも時間を大幅に短縮できます。実績として、AEO認定後のリードタイム短縮を回答した事業者の中には、複数日の短縮を報告する企業も多く存在します。

 

また、通関手続きにかかる費用として、関税・消費税のほかに通関手数料が発生します。通関業者への輸入申告料は数千円から数万円程度で、書類作成、税関とのやり取り、検査対応などが含まれます。2018年10月の法改正により、従来の上限額11,800円の規定は廃止されていますが、多くの業者は従来の料金を基準に設定しています。税関検査が必要な場合は5,000～10,000円程度の追加費用、複雑な検査では2万円～10万円程度かかることもあります。

 

輸入消費税は課税価格（商品価格＋運賃＋保険料など）に対して10%が課税されるため、事前の見積もりと予算計画が重要です。信頼できる通関業者から事前に詳細な見積もりを取得することで、想定外のコスト増加を防ぐことができます。

 

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参考情報：通関手続きに関する政府資料と法規制について
税関 郵便物の輸入通関手続きについて
厚生労働省 食品輸入手続きについて
税関 AEO制度のメリット

 

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