辰巳パーキングのジャンプ台と称される速度抑制ハンプは、実際に測定すると高さ10.7cm、全長約5m程度のサイズとなっています。フルサイズセダンよりもやや大きい程度の規模で、本線合流手前の出口付近に設置されています。この段差は、一般的な速度抑制施設として、車両が過度なスピードで通過することを物理的に抑制する設計になっています。
路面には「段差あり」という標示がされており、ドライバーに対して注意喚起がなされていますが、減速指示は明記されていません。本線合流という特性上、ドライバーは加速することを想定しますが、この短い距離に段差が設置されているという矛盾が、かえってスピードを出したくなる心理につながっています。
2023年1月中旬の設置から間もなく、SNSでこのハンプをジャンプ台に見立てた動画が大量に投稿されるようになりました。加速した車両が段差を越えて宙に浮く様子は、ゲームやアクション映画のような迫力があり、特に若年層のドライバーの間で瞬く間に拡散されました。グーグルマップにも「辰巳ジャンプ台」という名称が登録され、わざわざこのスポットを目当てに訪れるユーザーまで出現する状況になりました。
実際に現場で観察すると、平日の夕方から夜間にかけても、ジャンプ台周辺で写真撮影をする人々で小型車枠がほぼ満車になるほどの混雑が見られます。海外からの観光客も含め、様々なドライバーがこの施設を見学に訪れており、インターネット文化の波及スピードの速さを象徴しています。
設置後、懸念されたのが実際のジャンプ行為です。多くのドライバーは適切に減速して通過していますが、PA内とは思えないほどの加速でジャンプを試みるドライバーも散見されます。ジャンプ台で実際に飛行するには、相当な助走速度が必要なため、PA内で加速しすぎるドライバーが存在する状況になっています。
特に問題とされているのが、周回行為です。「9号線→C1→11号線→湾岸線→9号線」というルートで首都高を周回し、同じジャンプ台を何度も飛んでいる車両が複数目撃されています。このような行為は、本線合流時の他の車両への影響やPA内の安全性を損なう恐れがあり、警察の取り締まり対象にもなっています。
ジャンプ台の話題とは別に、辰巳パーキングエリアそのものは「車好きの聖地」として知られています。東京タワーやレインボーブリッジを背景にした夜景は非常に美しく、フォトジェニックなスポットとして高く評価されています。スーパーカーやチューニングカー、ドリフト仕様のスポーツカーなど、様々なジャンルの高級車が集結するため、車愛好家にとっての交流の場となっています。
23区内にあるパーキングエリアとしては比較的大規模で、普通車29台、大型車17台が収容可能です。駐車料金が不要で時間制限もないため、気軽に立ち寄れるのが魅力です。これらの特徴が、週末や深夜の集客につながり、モーターショーのような光景が現出しています。
首都高速側では、ジャンプ台の設置目的が暴走族対策であったことを公式にコメントしています。ただし、設置後の実態として、かえって名所化してしまい、ジャンプを試みるドライバーが増加したという逆効果が生じています。
本線合流時に設置された段差であるため、センターラインが黄線で本線左車線からの車線変更が禁止されています。そのため、約200mの右車線を使って加速が可能になっており、これがジャンプを試みるドライバーの助走区間になってしまっています。首都高速では、この問題に対する継続的な対応を模索しており、ドライバー教育や取り締まり強化などの検討が続いています。
ドライバーの安全意識向上が何より重要であり、パーキングエリア内という限定的な空間での危険な運転行為は、他の利用者への危害や交通事故のリスクを高めています。適切な速度管理と安全運転の実践が、すべてのドライバーに求められる時代となっています。
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